「人生100年時代」と呼ばれる現代において、ご自身やご家族の老後や介護について考えておくことは非常に大切です。
特に認知症は、高齢化とともに患者数が増えているため、介護の備えをしておく必要があります。
この記事では、認知症患者の介護について以下の3つのポイントを解説していきます。
- 認知症は公的介護保険の対象になる?
- 認知症保険の注意点
- 認知症保険は必要?
ご自身やご家族の将来を考える上で、認知症の保障について理解を深めておくことは大切です。
ぜひ、本記事をこれからの介護について考える際のご参考にしてみてください。
認知症は公的介護保険の対象になる?
結論から言うと、40歳以上の認知症患者であれば公的介護保険のサービスを受けることが可能です。
公的介護保険では下記のどちらかに該当する場合に介護サービスを受給することができます。
- 第1号被保険者:65歳以上で日常生活に介護が必要な方
- 第2号被保険者:40〜64歳で老化を原因とする「16種類の特定疾病」によって介護認定を受けた方
第2号被保険者が介護保険の対象となる「16種類の特定疾病」には、初老期における認知症も含まれています。
そのため65歳未満で認知症にかかっている方でも、40歳以上であれば公的介護保険のサービスを受給することができるということになります。
そもそも公的介護保険とは?
公的介護保険は、介護が必要な状態の方を社会全体で支える仕組みとしてスタートしました。
40歳〜64歳の方は加入中の健康保険と一緒に、65歳以上の方は年金から天引きされる形で保険料を支払います。
ここでは、公的介護保険について「どのようなサービスを受けられるのか」「どうなったら介護サービスを受給できるのか」といった内容を解説していきます。
介護施設の利用や訪問介護などを現物給付
介護保険は、介護サービスを現物給付するという形で利用者をサポートしています。
主に、以下のような介護サービスを利用することができます。
- 介護の相談やケアプランの作成
- 自宅への訪問介護サービス
- デイサービス等の通所介護サービス
- 施設に入居する介護サービス
- 福祉用具の貸与
例えば、認知症で日常生活に介護が必要な状態となった場合、上記のサービスの費用を1〜3割の自己負担で利用することができます。
受給には要介護認定が必要
介護保険のサービスを受給するためには、「要介護認定」を受ける必要があります。
要介護認定は段階に応じて「要支援1〜2」「要介護1〜5」というように区分されており、要支援1から段階が上がるごとに支給限度額も高くなっていきます。
例えば、認知症の進行度合いによって、「どの程度の介護サービスを受給するべきか」という点が変わってきます。
仮にご家族が認知症を発症して介護サービスが必要な状態になったら、まずは市区町村の窓口に要介護認定の申請に行きましょう。
介護保険の利用限度額は?
介護保険は、介護サービスを自己負担1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)で利用できる仕組みです。
要介護度によって利用限度額が異なるため、介護保険を利用する際には注意が必要です。
公的介護保険の1ヶ月の利用限度額は、以下の表の通りです。
要介護度 | 利用限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
上記の限度額を超えてサービスを利用した場合は、全額自己負担となります。
施設等を利用する際には利用限度額を確かめておきましょう。
民間の保険で認知症の保障を受けることもできる
ここまでは、認知症を発症した際に利用できる公的介護保険の制度について解説してきました。
しかし、公的介護保険はサービスの現物給付は受けられるものの、現金による保障を受けることができません。
一方で、民間の生命保険会社が販売している介護保険の場合は、現金による給付を受けることができます。
ここでは、認知症へ備えるための民間保険の特徴を解説していきます。
保険会社が定める基準に該当すると給付される
民間の介護保険では、保険会社が定める基準に該当する場合に現金が給付されます。
そのため要介護認定を受けていなくても、基準を満たしていれば保障されるという点で公的保険とは異なります。
例えば軽度の認知症の場合、公的保険では十分な給付を受けられない可能性もあります。
民間の保険に加入しておけば、足りない分をカバーすることも可能です。
ただし、契約内容によっては要介護認定を受けていても給付されないケースもあります。
公的介護保険と民間保険の違いを把握しつつ、公的保険でカバーできない分を保障できるような保険商品を探しましょう。
「認知症保険」という商品もある
民間の保険会社には、認知症に特化した「認知症保険」という商品もあります。
保障の対象となる被保険者の方が認知症と診断されたら、保険金や給付金を受け取ることができる商品です。
まとまった一時金を受け取れるタイプが一般的なので、認知症治療にかかる医療費や施設の利用費などの用途に使うことができます。
認知症は高齢化に伴って患者数も増加しているため、認知症に特化した保険を活用することを視野に入れてみても良いでしょう。
認知症保険を選ぶ際に注意したいポイント
民間の認知症保険を選ぶことを決めた場合に、注意しておきたいポイントを解説していきます。
保険選びの際は、主に以下の3つの点に注意しておきましょう。
- 商品によって認知症の対象範囲が異なる
- 免責期間がある商品もある
- 持病によって入れないリスクがある
それぞれの注意点を確認し、自分に合った認知症保険を選びましょう。
商品によって認知症の対象範囲が異なる
認知症保険は、認知症と診断された場合に給付金がもらえる保険ですが、給付の対象となる認知症の範囲は商品によって異なります。
そのため、場合によっては給付金がもらえない可能性があることに注意が必要です。
例えば、「器質性認知症と診断されること」を給付条件にしている場合もあれば、「軽度認知障害(MCI)」でも給付金を受け取れるケースもあります。
商品によって対象としている認知症の範囲が異なるため、契約する前に内容を確認しておきましょう。
免責期間がある商品もある
一部の認知症保険では、「免責期間」が設けられている場合があります。
加入後、免責期間中に認知症と診断されても保障を受けられないため注意が必要です。
保険によっては、免責期間が1年以上設けられている商品もあります。
加入の際には、「免責期間があるのか」「どれくらいの長さなのか」など詳しい内容をチェックしておきましょう。
持病によって加入できないリスクがある
認知症保険は、持病があると加入できないリスクがあることに注意しましょう。
特に認知症を発症していたり、認知症の疑いがあると診断されたりしている場合は、加入ができない可能性が高いです。
ただし、認知症の保険は契約時の告知事項が少ない「限定告知型」が多いため、病歴があっても契約しやすくなっています。
さまざまな認知症保険を比較し、ご自身が加入できる保険商品を探してみましょう。
認知症保険は必要?
認知症と診断された際に給付金がもらえる認知症保険ですが、本当に必要かどうかをじっくりと考えることが大切です。
必要のない保険を契約してしまうと、保険料が毎月の家計に負担をかける可能性があるからです。
もしご自身やご家族が認知症と診断され、介護が必要な状態になったとしたら、施設利用や訪問介護サービスの利用が必要となります。
しかし、要介護認定をされたら公的介護保険が利用できるため、自己負担額を抑えることができます。
自己負担額を預貯金によってカバーできるのであれば、無理に保険料を支払ってまで認知症保険を利用する必要はありません。
また、現在加入している医療保険ですでに認知症の保障が受けられたり、特約を上乗せできたりする場合もあります。
必ずしも認知症保険に加入しなければいけないわけではないので、ご自身の貯蓄状況や契約中の保険の内容をもとにじっくり考えてみましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談してみよう
ご自身やご家族の保険設計についてお悩みの方は、無料相談窓口で専門のFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
公的制度や民間の保険商品の特徴を理解した上でアドバイスしてくれるため、介護への備えについても安心して用意することができます。
また、医療保険や生命保険、資産運用など、お金にまつわる相談も受け付けていることが多いことも相談窓口の特徴です。
今後の人生設計に適切な保険や資産運用のプランを提案してくれるため、マネープランを見直すこともできます。
介護保険や今後のマネープランについて不安を感じている方は、ぜひ一度無料保険相談窓口を利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では認知症に備えられる介護保険の仕組みや、民間の認知症保険について解説してきました。
認知症の患者は、要介護認定を受けた場合に公的介護保険を受給することができます。
もし、公的保険だけでは保障し切れない分があれば、民間の認知症保険などを活用して備えを手厚くしておくことをおすすめします。
また、保険相談窓口を活用することで将来のマネープランや保険設計のアドバイスをもらうことができます。
ぜひ一度、保険相談窓口で今後の保険プランについての相談をしてみてはいかがでしょうか。