「生命保険はどこがいいのか」と考えたとき、保険会社の知名度やランキングを参考にする方も多いでしょう。
しかし、すべての人に共通して最適な生命保険会社や商品というものはありません。生命保険は、加入する目的や必要な保障額に合った商品を選ぶことが重要です。
家族構成や収入、将来の生活設計によって、適した保険の種類や保障内容は異なります。また、同じ種類の生命保険でも、保険会社によって保険料や保障条件、契約後のサポート体制などに違いがあります。
人気や保険料の安さだけでなく、商品や会社を複数の観点から比較することが大切です。
この記事では、生命保険を選ぶための4つのステップと、保険会社を比較するときのポイントを解説します。
生命保険はどこがいい?商品を選ぶときの4ステップ


生命保険を選ぶ際は、保険会社の知名度や商品の人気だけでなく、自分に必要な保障を満たしているかが重要です。
加入する目的や保障が必要な期間によって、適した保険の種類や商品は異なります。
まずは加入目的を明確にし、公的保障や貯蓄などを踏まえて必要保障額を見積もります。
そのうえで保険の種類を絞り込み、希望する条件を満たす商品を複数の保険会社から比較するのが基本的な流れです。
Step1. 加入目的を「誰のための保障か」で決める
最初に、生命保険で誰の、どのような資金に備えたいのかを決めます。死亡保障の場合、主な加入目的は次の3つです。
| 加入目的 | 候補となる保険の種類 |
|---|---|
| 遺族の生活費に備える | 収入保障保険、定期保険 |
| 子どもの独立などまで一定期間の死亡保障を確保する | 定期保険、収入保障保険 |
| 葬儀費用など、死亡する時期にかかわらず必要な資金に備える | 終身保険 |
加入目的は1つとは限りません。生活費と葬儀費用の両方に備えたい場合は、複数の種類を組み合わせる選び方もあります。
重要なのは、誰に・いつまで・どの程度の資金を残す必要があるかを整理することです。
「こどもが大学を卒業するまで生活費を残したい」「配偶者が老後を安心して過ごせるようにしたい」など言語化することで、必要な保障額を見極めやすくなります。
Step2. 必要保障額を「必要となる資金-準備できる資金」で考える
死亡保障の必要額は、「遺族に必要となる資金」から「準備できる資金」を差し引いて考えます。生命保険で備えるのは、この差額にあたる不足分です。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 必要となる資金 | 遺族の生活費、教育費、住居費など |
| 準備できる資金 | 遺族年金などの公的保障、配偶者などの今後の収入、貯蓄や資産、勤務先からの死亡退職金・弔慰金など |
家族構成や住まい、配偶者の働き方によって、必要保障額は大きく変わります。
ただし、1円単位ですべての金額を細かく決めようとしないことも大切です。保険金額の目安をつかむための概算と割り切り、余裕をもって計算することが、スムーズに商品を選ぶコツです。
Step3. 定期・終身・収入保障から種類を選ぶ
Step1・2で整理した目的と金額をもとに、保険の種類を選びます。死亡保障を目的とする場合、主な候補は「定期保険」「終身保険」「収入保障保険」の3つです。
| 項目 | 定期保険 | 終身保険 | 収入保障保険 |
|---|---|---|---|
| 保障期間 | 一定期間 | 一生涯 | 一定期間 |
| 保険金の受取方法 | 一時金 | 一時金 | 年金形式(毎月など)が基本 |
| 保険料の傾向 | 同じ保険金額なら終身保険より割安な傾向 | 3種類の中では高めの傾向 | 一般的な定期保険より割安な傾向 |
| 解約返戻金※ | ないか少ない商品が多い | 商品・設計によって異なる | ないか少ない商品が多い |
| 主な用途 | 子どもの独立までなど期間を区切った保障 | 葬儀費用、相続対策など | 遺族の生活費 |
※解約返戻金…保険解約時、保険会社から払い戻されるお金。金額や返戻率(支払済保険料に対する返戻金の割合)の推移は商品・契約内容によって異なる。
一定期間に大きな保障が必要なら定期保険、死亡保障を一生涯確保したいなら終身保険が候補です。
時間の経過とともに必要保障額が減っていく場合は、受け取れる総額が徐々に減る収入保障保険が向いています。
解約返戻金がある商品の場合、将来まとまった資金が必要なときに解約することで、貯蓄に近い使い方が可能です。
ただし、商品や解約時期によっては支払済保険料を大きく下回る可能性があるため、長期的な資金計画が必要になります。
Step4. 条件に合う商品・保険会社を候補にする
種類と保険金額、保障期間が決まったら、その条件を満たす商品を複数の保険会社から探して候補にします。
候補を比べるときは、保険料の安さだけで決めないようにしましょう。商品の条件や保険金・給付金の支払い条件、保険会社の健全性もあわせて確認すると、長く続けられる契約を選びやすくなります。
生命保険会社はどこがいい?比較するときのポイント


生命保険は、商品そのものだけでなく、その商品を販売し保険契約を引き受ける保険会社の選定も重要です。
似た商品でも、保険会社によって保障内容や保険料が大きく異なります。
また、申込方法や契約後のサポート体制にも違いがあるため、会社ごとの特徴も比較することが重要です。
知名度やランキングの順位だけにとらわれず、複数の観点から各社の特徴を確認しましょう。
①希望する種類・保障を扱っているか確認する
生命保険会社によって、取り扱っている商品の種類や商品設計は異なります。
たとえば定期保険は扱っていても収入保障保険は扱っていない会社や、終身保険の払込方法の選択肢が限られている会社があります。
また、同じ種類の保険でも、商品ごとに次のような違いがあります。
- 選べる保険期間(「10年」「60歳まで」など)
- 設定できる保険金額の上限・下限
- 付加できる特約の種類
- 健康状態や喫煙状況による保険料率の区分
保険料率の区分がある商品では、たばこを吸わない人や健康診断の数値が基準内の人の保険料が割安になる場合があります。
まずは加入したい保険種類を決めてから、該当する商品を販売している保険会社をピックアップすると、候補を絞り込みやすくなります。
②保険料は条件をそろえて比較する
複数社の保険商品を比較するときは、年齢・性別・保険金額・保険期間・払込期間などの条件をできるだけそろえます。
たとえば35歳で加入する場合、死亡保険金額が同じ1,000万円でも、保障期間が10年間の商品と65歳までの商品では保険料が異なります。
保障条件が違うまま保険料を比べても、どの商品が割安なのかは正確に判断できません。
また、特約の有無や保険料の払込方法(月払・年払など)も、保険料に影響する要素です。
喫煙状況や健康状態によって保険料が変わる商品もあるため、適用される保険料率の区分も確認する必要があります。
各社で条件を完全に統一できない場合は、どのような違いがあるのかを把握したうえで比較することが重要です。
③申込方法や相談・契約後のサポート体制を比較する
生命保険の申込経路には、インターネット、保険会社の営業担当者、保険代理店などがあります。
どの経路で申し込めるかは商品によって異なり、相談や契約後のサポート体制にも会社ごとの違いがあります。
比較する際の主な確認項目は、次のとおりです。
- 申込経路(インターネット、営業担当者、保険代理店など)
- 保障内容や商品について相談できる窓口と相談方法
- 契約内容の変更や保障の見直しに関するサポート
- 保険金・給付金の請求方法と請求時のサポート
- 問い合わせ窓口の種類や受付時間
生命保険は長期間にわたって契約を続けることも多いため、加入時だけでなく契約後の対応も重要です。
ライフステージの変化に伴う保障の見直しや保険金請求など、必要なときにどのようなサポートを受けられるかも比較することが大切です。
④保険金・給付金の支払いや苦情に関する情報を確認する
多くの生命保険会社は、保険金・給付金の支払件数や支払対象とならなかった件数、苦情の受付件数や主な内容を公式サイトなどで公表しています。これらは、保険会社の対応状況を比較する際の参考情報になります。
ただし、件数だけで会社の良し悪しを判断することはできません。契約件数が多い会社ほど不支払件数や苦情件数も多くなりやすく、扱う商品の構成や支払事由によっても数字の意味は変わります。
件数だけでなく、保険金・給付金が支払対象とならなかった理由や苦情の内訳も確認することが重要です。
また、苦情への対応や改善の取り組みが公表されている場合は、その内容も保険会社の対応方針を知るための参考情報になります。
なお、各社の公表情報は、生命保険協会「生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払情報」で確認することも可能です。
参照:生命保険協会|生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払情報
⑤財務健全性や行政処分などの公的情報を確認する
生命保険は数十年にわたって契約が続くこともあるため、保険会社の健全性も確認しておきたい項目です。
主な確認先と指標は次のとおりです。
- 各社の決算資料・ディスクロージャー資料(経営や財務の状況をまとめた開示資料)
- ESR(経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率)などの健全性指標
- 格付会社による保険金支払能力の格付け
- 金融庁が公表する行政処分などの情報
- 生命保険契約者保護機構による契約者保護の仕組み
ESRは、保険会社の資産と負債を時価に近い考え方で評価し、将来のリスクへの備えを示す指標です。
2026年3月31日から経済価値ベースのソルベンシー規制が適用されており、ESRは健全性を確認する主要な指標の一つとなっています。
生命保険契約者保護機構は、万一保険会社が破綻した場合に契約の継続を支援する仕組みです。ただし、契約条件の変更によって保険金額などが減る場合があるため、健全性の確認と組み合わせて考えておくと安心です。
なお、どの指標も1つだけで会社の安全性を断定できるものではありません。複数の情報を組み合わせて確認してください。
⑥ランキングは評価基準を確認して参考にする
ランキングサイトや口コミサイトの評価は、作成する媒体によって評価の基準が異なります。主な基準には次のようなものがあります。
- 契約件数・申込件数
- 顧客満足度
- 保険料の安さ
- 保有契約高(保障している金額の合計)
- 売上・保険料収入
- アンケート評価
たとえば保有契約高のランキングは会社の規模を表しますが、自分に適した保険会社かどうかは違う論点です。
申込件数のランキングで上位の商品も、人気がある理由が自分の目的と一致しているとは限りません。
何を基準にした順位かを確認し、候補となる会社や商品を知るための参考情報として活用してください。
よくある質問


生命保険を選ぶ際には、ランキングの順位や保険会社の評判、最低限必要な保障など、さまざまな疑問があります。
持病がある場合の加入条件も含め、よくある質問への回答をまとめました。
生命保険の第1位はどこですか?
すべての人に共通する生命保険の「第1位」は決められません。
ランキングの1位は、何を基準に順位をつけたかによって変わるためです。
申込件数で1位の商品と、顧客満足度や保険料の安さで1位の商品が同じとは限りません。
順位の高さよりも、自分の加入目的と必要保障額に合う商品かどうかを優先して判断してください。
入ってはいけない生命保険は?
誰にとっても入ってはいけない生命保険というものはありません。
問題になりやすいのは、契約内容と本人の目的が合っていない状態です。
たとえば次のような状態の場合は、加入前や見直しの際に内容を確かめておくと安心です。
- 目的と保障内容が合っていない(遺族の生活費に備えたいのに、保障期間や金額が足りないなど)
- 保険料の負担が家計に対して大きい
- がんや医療の特約など、必要性を確認していない特約が付いている
- 契約内容を理解しないまま加入している
保険料を払い続けられなくなると、途中で解約して必要な保障を失うことにもつながります。
生命保険で「やばい会社」はどこですか?
特定の生命保険会社が危険かどうかは、インターネット上の評判だけでは判断できません。
会社の経営状態を確認するには、財務健全性や行政処分の有無など、客観的な情報を調べることが重要です。
主な判断材料は次の3つです。
- 金融庁が公表する行政処分などの情報
- 各社が開示する財務・健全性の情報
- ESR(経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率)などの健全性指標
根拠のはっきりしない情報にとらわれないよう、公表情報を複数組み合わせて確認すると、会社の状況を冷静に判断できます。
最低限入っておくべき生命保険は?
全員に共通する「最低限入っておくべき生命保険」はありません。
死亡保障が必要かどうかは、自分が亡くなったときに経済的に困る家族がいるかで変わります。
配偶者や子どもなど扶養家族がいる場合は、遺族年金や貯蓄、配偶者の収入で足りない資金があるかを確認します。不足する分を死亡保障で補うのが基本的な考え方です。
扶養家族がいない場合は、大きな死亡保障を持たない選択肢もあります。葬儀費用などを貯蓄でまかなえるかも含め、家族構成や資産の状況から必要性を判断してください。
ネット申込と対面申込ではどちらがいいですか?
インターネットと対面のどちらから申し込むかは、希望する相談方法や手続きの進め方によって変わります。
申込方法だけで、保険料の安さや保障内容の優劣が決まるわけではありません。
比較するときの主な観点は次のとおりです
- 保険料
- 保障内容
- 相談方法
- 申込手続き
- 契約後のサポート体制
自分で保障内容を調べて申し込みたい場合は、インターネットでの申込が候補になります。
一方、担当者から説明を受けながら決めたい場合は、対面で相談する方法が適しています。
両方の申込方法に対応している保険会社もあるため、それぞれのサービス内容を確認することが重要です。
持病があっても生命保険に加入できますか?
持病があっても、生命保険に加入できる場合はあります。
健康状態や告知の内容によっては、通常どおり加入できるほか、保険料の割増や一定期間の死亡保険金の削減などの条件が付く場合もあります。
通常の生命保険への加入が難しい場合は、告知項目を少なくした引受基準緩和型保険も選択肢の一つです。
告知では、健康状態を正確に伝える必要があります。告知義務に違反すると、契約が解除されたり、保険金・給付金が支払われなかったりする場合があるためです。
まとめ


生命保険を選ぶうえで重要なのは、評判のよい会社や人気商品を探すことよりも、自分や家族にとって必要な保障を確保することです。
保険商品にはさまざまな特徴があり、何を重視するかによって適した商品は変わります。
また、公的保障や貯蓄で十分に備えられるのであれば、必ずしも保障を増やす必要はありません。
生命保険は、加入すること自体が目的ではなく、万一の際に生じる経済的な負担に備えるための手段です。保障内容や支払条件に疑問が残る場合は、保険会社や代理店に確認することも大切です。
自分が納得できる条件を明らかにし、今の生活と将来の備えの両方を考えながら、無理のない保険選びを進めましょう。


