医療保険は、ケガや病気で入院・手術などをしたときに給付金を受け取れる保険商品です。
保険金や給付金のなかには税金の対象となるものもありますが、医療保険の入院給付金や手術給付金は課税対象になるのでしょうか。
この記事では、医療保険の税金について以下の3点を解説します。
- 医療保険で給付金を受け取る場合に税金は発生するか
- 医療保険で税金が関係するのは保険料控除
- 課税対象となる保険の種類とは
医療保険の税金に関して不安な点がある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
医療保険で給付金を受け取る場合に税金は発生する?
医療保険やがん保険などの保険金・給付金は税金がかかりません。
所得税法施行令第30条において、「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」については非課税にすると定められています。
税金がかからない主な給付金・保険金の種類は以下の通りです。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 放射線治療給付金
- 通院給付金
- 特定疾病(三大疾病)保険金
- 先進医療給付金
- リビング・ニーズ特約保険金
- 介護保険金
医療保険やがん保険の給付金は、被保険者が受取人になることが一般的です。
しかし、被保険者ではない人が受取人の場合でも給付金・保険金は税金がかからない仕組みとなります。
医療保険で税金が関係するのは医療費控除
前述した通り、医療保険の保険金や給付金は原則税金がかかりません。
医療保険の受取で税金が関係してくるのは、確定申告の医療費控除です。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、超えた額をその年の所得から控除できる制度です。
所得控除の一種であり、医療費控除を受けると所得税や住民税の負担を軽減することができます。
例えば年間の医療費が20万円の場合、受けられる控除は「20万円−10万円=10万円」となります。
本来、確定申告は個人事業主などが行うものですが、確定申告の義務がない会社員でも医療費控除を受けられます。
「確定申告書」と「医療費の明細書」の2つを作成し、税務署に提出することで申請可能です。
医療費控除は医療保険の給付金を差し引く
医療費控除を受ける場合、医療保険で給付された入院給付金・手術給付金を差し引いて計算します。
例えば、年間の医療費が20万円で医療保険からの給付金が5万円だった場合、医療費控除は「20万円−5万円−10万円=5万円」となります。
ただし、差し引くのは給付金の原因となった疾病の医療費のみであり、差し引きできない部分があってもほかの医療費から差し引く必要はありません。
課税対象となる保険の種類は?
医療保険やがん保険の入院給付金・手術給付金には税金がかかりませんが、ほかの保険商品では税金が発生するケースがあります。
課税対象となる給付金・保険金は以下の通りです。
- 死亡保険金(終身保険・定期保険・養老保険)
- 満期保険金(学資保険・養老保険)
- 個人年金(個人年金保険)
また、貯蓄型の保険商品で満期前に解約したときに受け取れる「解約返戻金」も、税金がかかるケースがあります。
課税対象となる税金は、受け取る保険金の種類や被保険者・受取人の違いによって内容が異なります。
それぞれのケースについて確認していきましょう。
死亡保険金(契約者と被保険者が同じで受取人が相続人の場合)
死亡保険で契約者と被保険者が同一人物で、受取人が相続人の場合は、受け取る死亡保険金は「相続税」の課税対象となります。
ただし、受け取る保険金のすべてが課税対象になるわけではありません。
相続人が受け取る場合は保険金が「みなし相続財産」となり、一定額まで税金がかからないのです。
しかし、保険受取人が相続人ではない場合、非課税制度の適用対象外となります。
死亡保険金の受取人を指定する際は慎重に選びましょう。
死亡保険金(契約者と受取人が同じで被保険者が異なる場合)
死亡保険で契約者と受取人が同一人物で、被保険者が異なる場合は、受け取る死亡保険金は一時所得として「所得税」の対象となります。
例えば夫が妻を被保険者として生命保険を契約し、保険金の受取人を夫に設定するようなケースです。
一時所得の所得税は、死亡保険金から払込保険料総額と一時所得の特別控除50万円を差し引いて算出します。
例えば死亡保険金2,000万円で払込保険料総額が500万円の場合、一時所得は「2,000万円−500万円−50万円=1,450万円」です。
税金を計算する際には1,450万円の2分の1である725万円をほかの所得と合算し、所得税を算出します。
死亡保険(契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合)
死亡保険で契約者と被保険者、受取人がすべて異なる場合、受け取る死亡保険金は「贈与税」の対象となります。
例えば夫が妻を被保険者として生命保険を契約し、保険金の受取人を子どもに設定するようなケースです。
贈与税の計算をする際、基礎控除として110万円を差し引くことができます。
例えば死亡保険金が2,000万円の場合、贈与税の課税対象は「2,000万円−110万円=1,890万円」です。
1,890万円とほかの贈与を合算して、税率を乗じることで贈与税を計算します。
満期保険金(契約者・被保険者・受取人がすべて同じの場合)
養老保険などの満期保険金について、契約者と被保険者、受取人がすべて同一人物の場合、受け取る満期保険金は一時所得として「所得税」の対象となります。
死亡保険金の「契約者と受取人が同一人物で、被保険者が異なるケース」と同じ計算方法で税金が計算されます。
満期保険金(契約者と被保険者が同じで受取人が異なる場合)
満期保険金について契約者と被保険者が同一人物、受取人が異なる場合は受け取る満期保険金は「贈与税」の対象となります。
死亡保険金の「契約者・被保険者・受取人がすべて異なるケース」と同じ計算方法で税金が計算されます。
解約返戻金
貯蓄型保険の解約返戻金は、一般的に保険の契約者と受取人が同一人物になります。
そのため、解約返戻金を受け取った場合は一時所得として「所得税」の対象となります。
契約した保険の満期保険金を自分で受け取ったときと税金の計算方法は同じです。
まとめ
医療保険やがん保険の給付金・保険金は、税金は発生しません。
ただし医療費控除を受ける場合は税金が関係してくるため、確定申告で医療費控除を活用したい場合は注意が必要です。
また、死亡保険金や満期保険金、解約返戻金などは税金の対象となります。
ケースによって税金の内容や計算方法などが異なるため、事前によく確認しておきましょう。
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