医療保険を上手く活用することで、7大疾病のリスクに備えることができます。
しかし「7大疾病に医療保険で備える必要はある?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
必要性を見極めるためにも、7大疾病の特徴や公的医療保険の保障範囲などを把握しておくことが大切です。
本記事では、7大疾病の種類・特徴や公的医療保険の保障範囲、民間の医療保険で7大疾病に備える必要性などを解説します。
また、7大疾病に備える場合に確認すべきポイントも解説しますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
7大疾病とは?それぞれの特徴と影響
まず、7大疾病と呼ばれているのは以下の病気です。
- がん
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝硬変
- 慢性腎不全
これらの病気は生活習慣が主な要因となっており、日本人の多くが罹患しています。
それぞれの特徴や影響について解説していきます。
がん
がんは、異常な細胞が体内で急速に増加し、周囲の組織や臓器を破壊する病気です。
「悪性腫瘍」とも呼ばれており、3大疾病の1つにも数えられる病気です。
がんは、浸潤や転移という形で全身に広がる点も大きな特徴となっています。
食生活や運動などの習慣ががんの発症に関わっているため、生活習慣病の1つに挙げられています。
心疾患
心疾患は心臓に起こる病気の総称であり、何らかの要因によって心臓の働きに異常をきたすことで発症します。
狭心症や心筋梗塞、不整脈などが代表的な病気であり、がんと同じく3大疾病の1つです。
主に動脈硬化によって血液の流れが悪くなり、全身に血液を送る心臓に異常が出るケースが多くなっています。
動脈硬化は加齢や悪玉コレステロールの増加、内臓脂肪などによって引き起こされるため、運動や食生活などの生活習慣を意識することが効果的な予防法です。
脳血管疾患
脳血管疾患は、脳の血管に異常が発生することで脳細胞が破壊される病気の総称です。
主な病気にくも膜下出血や脳梗塞、脳内出血などがあり、がん・心疾患と並んで3大疾病と呼ばれています。
脳血管疾患は生活習慣の悪化による動脈硬化や高血圧、運動不足などが要因で引き起こされるケースが多いです。
また、飲酒や喫煙、睡眠不足、ストレスなども原因となる可能性があるため注意が必要です。
糖尿病
糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高くなってしまう病気のことです。
血糖値が高い状態が続いてしまうと、心臓病や失明、足の切断、腎不全などの合併症のリスクがあります。
糖尿病も食生活や運動習慣、ストレスなどが原因で引き起こされるケースが多い病気です。
高血圧性疾患
高血圧性疾患とは、高血圧が続くことによって心臓や血管に負担がかかって引き起こされる病気のことです。
初期症状では運動後の息切れ・動悸を感じるようになり、病気が進むと咳や痰、呼吸困難などの症状が表れます。
さらに心臓や血管の負担が大きくなることで動脈硬化が進行し、心疾患や脳血管疾患などの症状を引き起こすリスクがあります。
肝硬変
肝硬変とは、肝臓に生じた炎症を修復するときにできる「線維」という物質が増加し、肝臓全体に広がった状態のことを指します。
肝臓全体が硬くなり、小さくなって機能が低下してしまう病気です。
肝臓が硬くなるために腹水や食道静脈瘤が引き起こされたり、肝臓の機能低下による黄疸や肝性脳症などが問題となります。
慢性腎不全
慢性腎不全とは、腎臓の機能が低下して正常に働かなくなってしまう病気のことです。
数ヶ月から数年間にわたって腎機能が徐々に低下していき、夜間の尿が増えてトイレの回数が増えたり、吐き気や疲労感などの症状が出たりします。
症状が進行すると、最終的には透析・腎移植などをする必要も出てきます。
不健康な食生活や運動習慣、喫煙などが影響するため、日頃の生活習慣に気を付けることが重要です。
7大疾病は公的医療保険の負担対象?
日本では公的医療保険制度が充実しており、すべての国民が公的医療保険に加入する仕組みになっています。
7大疾病の場合は公的医療保険の保障が適用されるのでしょうか。
ここでは、公的医療保険の保障内容や自己負担が一定額を超えた場合の制度について解説します。
医療費の自己負担は1割から3割
7大疾病に限らず、医療機関でケガや病気の治療を受けた場合は原則として公的医療保険が適用されます。
医療機関の窓口で支払う自己負担額が医療費全体の3割(年齢によっては1〜2割)で済み、残りは公的医療保険が負担してくれるという仕組みです。
例えば7大疾病のひとつであるがんにかかって入院・手術をし、治療費が30万円かかった場合、自己負担額は3割の9万円となります。
7大疾病の治療にそれなりの費用がかかっても、公的医療保険のおかげで自己負担はかなり軽減されます。
なお、入院中の差額ベッド代や食費、先進医療を受けた場合の技術料などは公的医療保険制度の対象外です。
すべて自分で負担しなければならない点には注意が必要です。
高額療養費制度の存在
医療費の自己負担が一定の上限額を超えた場合、超えた部分の金額が払い戻される「高額療養費制度」があります。
公的医療保険制度の給付の一種で、医療費の自己負担が過度に大きくなることを防ぐ仕組みです。
高額療養費制度があることで、もし7大疾病で入院・手術をしても治療費の自己負担額が大きくなり過ぎることはありません。
ただしあとから払い戻される制度であるため、一時的には費用を負担しなければならない点には注意が必要です。
民間の医療保険で備える必要はある?
日本では公的医療保険が充実しており、7大疾病の治療費もある程度カバーすることができます。
そうした中で民間の保険会社から販売されている医療保険は加入する必要があるのでしょうか。
ここでは、民間医療保険で7大疾病に備える必要性について解説していきます。
公的医療保険対象外の費用はすべて自己負担になる
公的医療保険が適用される費用については自己負担が軽減されますが、保障対象外の費用については全額自己負担となります。
民間の医療保険で入院給付金や手術給付金などを受け取っていれば、自己負担額の軽減が可能です。
例えば、入院期間中の食事代や差額ベッド代、お見舞いにくる家族の交通費などは公的医療保険の対象外です。
民間医療保険の入院給付金があれば、入院をしている間の食事代や差額ベッド代の負担を軽減できます。
公的医療保険で保障されない費用をカバーするのが民間医療保険の大きな役割です。
収入が減少するリスクがある
7大疾病にかかった場合、入院や手術による治療で一時的に働けなくなるリスクがあります。
働けなくなることで収入が減少し、家族の生活などにも負担がかかってしまう可能性があります。
民間医療保険の給付金は使い道に制限は設けられていません。
一時的に減少した収入のカバーを目的に使えるため、家族の生活を守ることができます。
万が一の収入減少リスクを見据えて、民間の医療保険で備えておくというのもひとつの手です。
入院日数が伸びる可能性も
入院日数が伸びれば、その分だけ治療費やその他の費用は高くなっていきます。
公的医療保険を活用しても自己負担額が大きくなる可能性は十分にあるため、民間の医療保険で備えておくことが大切です。
7大疾病の中でも脳血管疾患の入院日数は長く、厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査」では平均在院日数が77.4日となっています。
長引く分だけ治療費や入院費などが高額になってしまうリスクがあるため、民間の医療保険を有効活用しましょう。
7大疾病に備える場合に確認すべきポイント
7大疾病に備えて医療保険に加入する場合、以下の3つのポイントを確認することが大切です。
- 一時金の給付
- 給付回数の制限
- 特約による保障内容
それぞれのポイントを押さえて、自分に合った医療保険を選びましょう。
一時金の給付
7大疾病に備えたいのであれば、一時金が給付される医療保険がおすすめです。
まとまった給付金によって、入院・手術になっても経済的な面で安心して治療に専念できる点が魅力です。
特に7大疾病の場合、治療が長引いて入院日数が長期化する可能性があります。
入院日数が長くなると治療費が高額になるだけでなく、収入が減少するリスクも考えられます。
自分自身の治療費や家族の生活を守ることを考えると、一時金が支給されるタイプの医療保険がおすすめです。
給付回数の制限
7大疾病に備えて医療保険を探す場合、病気の再発リスクに備えることも重要です。
給付回数に制限がないタイプの医療保険を選びましょう。
7大疾病の中でもがんは再発のリスクが高い病気であり、退院後に再び治療を行うケースは少なくありません。
医療保険によっては再発時の保障に対応していないケースもあるため、事前によく確認しておくことが大切です。
特約による保障内容
医療保険では、主契約に上乗せできる「特約」を自由に選ぶことができます。
主契約だけでは保障が足りない場合は、特約を上手く活用しましょう。
特約のなかには「3大疾病特約」や「7大疾病特約」など、特定の生活習慣病に手厚く備えられる特約があります。
また、女性特有の病気に備えられる「女性疾病特約」や先進医療を受けた際に給付金がもらえる「先進医療特約」なども選ぶことができます。
保険会社や商品によっても特約の内容が異なるため、さまざまな商品の主契約・特約の補償内容を比較した上で自分に合ったものを選びましょう。
記事のまとめ
7大疾病とは、食生活や運動習慣などの生活習慣が要因になるケースが多い病気のことです。
公的医療保険でも保障の対象になっていますが、収入減少のリスクや入院日数長期化などを考えると民間医療保険で備える必要性は高いと言えるでしょう。
また、7大疾病に備えて医療保険に加入する際、一時金の給付の有無や給付回数の制限、特約の保障内容などを比較することが大切です。
本記事でご紹介したポイントを参考に自分に合った医療保険を選び、7大疾病のリスクに備えておきましょう。