過去に病気をしていたり、現在も治療中の方の中には、万が一のことに備えて保険加入をしたいけれど「保険加入の際には審査があるため、加入するのが難しいのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、最近では持病や既往歴のある方でも加入しやすい保険が増えてきています。
加入時の告知内容が少なかったり、すでに病気をしている部分に関しては保障しないことを条件に契約できたりするのです。
とはいえ、通常の保険と比べてデメリットや注意すべき点も多いため、加入前にしっかりと理解しておく必要があります。
この記事では、持病があっても入れる可能性のある保険の種類について解説した後、デメリットや加入の際の注意点についてわかりやすくお伝えします。
そもそもどんな病気が「持病」に該当する?
まずは、そもそも保険における「持病」って何なの?と疑問に思う方に向けて、どんな病気が持病に該当するかを解説します。
「持病」とは長期的な治療を必要とし、いつまでも治らない病気のことを指します。
例えば、糖尿病や高血圧、リウマチ、ぜんそくなどが代表的です。
なかなか完治せず、慢性的に患っているため、「基礎疾患」や「慢性疾患」と呼ばれることもあります。
一般的に生命保険や医療保険では、持病があると加入が難しくなったり、条件付きでの加入となることが多いです。
保険への加入が難しいと言われている病気を以下に並べてみました。
加入が難しいと言われている病気一覧
- がん(悪性腫瘍)
- 脳卒中や脳梗塞
- 心不全や心筋梗塞
- 高血圧症
- 脂質異常症
- 不整脈
- 肝硬変
- 精神障害(うつ病) など
ただし、保険会社や保険商品によって加入の基準が変わるため、持病があるから絶対加入できないというわけではありません。
各保険会社では、通常の保険より基準を緩めた保険商品も展開しているので、持病があっても保険に入れる可能性はあるのです。
持病があっても入れる可能性のある保険の種類
早速本題に入っていきましょう。
持病がある方向けの保険は主に4種類あります。
- 条件付きの保険
- 引受基準緩和型保険
- 無選択型保険
- 少額短期保険
それぞれの保険について、特徴や保障内容の違いについて解説していきます。
条件付きの保険
条件付きの保険は、医療保険によくみられるパターンです。
持病を持っている人でも、特定の部位を保障の対象外としたり、保険料を割増することによって通常の保険に加入することができます。
また、保険金額を削減することによっても加入できる可能性が高くなるでしょう。
保険は、契約者が支払う保険料によって、誰かの万が一の保険金を賄っています。
持病がある人は保険金支払いのリスクが高いため、他の人と同じ条件で加入しては不公平です。
そのため、通常の保険であっても一定の条件をつけることによって、持病があっても加入できます。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、保険会社への告知項目が2~3つと少なく、それらに該当しなければ誰でも加入することができる保険です。
一般的には、以下のような項目を告知します。
- 最近3ヶ月以内に、医師から入院・手術・検査をすすめられたことがありますか?
- 過去1年以内に、入院または手術を受けたことがありますか?
- 過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物・肝硬変・総合失調症・認知症・アルコール依存症で、医師の診断・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがありますか?
1つも該当がなければ原則として、契約することが可能です。
ただ、注意しなければならないのが、通常の保険よりも毎月の保険料が割高になります。その上、加入してから一定の期間は給付金額が減額される可能性が高いです。
過去の病気や持病についても保障に含まれる一方で、経済的負担が大きくなるリスクがあるため、加入の際はじっくりと検討する必要があります。
無選択型保険
無選択型保険は、保険会社への告知が一切いらない保険のことです。
つまり、過去に病気していたり持病があったりしても、必ず加入することができます。
ただ、保険金支払いのリスクが高いことから、保障内容が限定的で、どの保険よりも保険料が高くなることに注意してください。
条件付きの保険や引受基準緩和型保険を検討したのち、最後の選択肢として考えることをお勧めします。
少額短期保険
少額短期保険とは、万が一の時の保険金額が少なく、保険期間も1~2年と短期間に設定されている保険のことです。
保障内容がシンプルで、ちょっとだけ備えたいという方に向いているため「ミニ保険」と呼ばれることもあります。
例えば、通常の死亡保障では2,000万~3,000万円の保険金額を受け取ることができますが、少額短期保険の死亡保障では300万円以下と上限が決まっているのです。
この少額短期保険には、糖尿病の治療中や投薬中、通院中の方でも申し込みができる保険商品があります。
そのため、持病があっても入れる可能性がある保険の一つと言えるでしょう。
持病があっても入りやすい保険のメリット
これまで、持病があっても入れる可能性のある保険の種類について解説してきました。
上記の4つのような保険に加入する際には、最適な保険を見つけるため、メリットやデメリットについてもしっかりと把握しておく必要があります。
まずはメリットについて解説します。
持病や過去の病歴があっても保障を受けやすい
持病があっても入れる保険の最大のメリットは、持病や病歴があっても保障を受けやすいという点です。
通常の保険では加入が難しい場合でも、医療費の負担を軽減する手段として活用できます。
持病がある方にとっては、病気の悪化や再発に備えられる安心感を得られるのも大きな魅力と言えるでしょう。
告知内容が少ないため、手続きがスムーズ
引受基準緩和型や無選択型は、通常の保険と比べて告知内容が少ない、もしくは告知が不要であるため、手続きから審査がスムーズに進みます。
あらかじめ持病があっても加入できることがわかっていれば、申し込み時の不安などもありません。
ただ、一概に引受基準緩和型・無選択型と言っても、保険商品によっては基準や対象外となる病気が異なるため、加入を検討する際には必ず確認してください。
持病があっても入りやすい保険のデメリット
次にデメリットについて解説します。
この2つを知らないと加入後に後悔することも考えられるため、しっかりと把握しておきましょう。
保険料が割高に設定されてることが多い
持病があっても入りやすい保険は、健康状態に不安があっても保障を受けられる反面、通常の生命保険や医療保険より保険料が割高に設定されていることが多いです。
その額は契約内容や年齢によって異なりますが、通常の1.5~2倍の保険料となります。
今は毎月の支払いに余裕があっても、ライフステージや家族構成の変化によって経済的負担が大きくなってしまうことも考えられます。
保障内容が制限されることがある
持病があっても入れる引受基準緩和型や無選択型の保険は、加入から一定の期間の保障が制限されていることがほとんどです。
加入後の1年間は給付される保険金が半額程度だったり、保障対象外となったりする部分があります。
保障内容が制限される期間や対象は保険商品によって異なるため、加入前に必ずチェックしてください。
持病や既往症を隠して加入するとどうなる?
持病があるにもかかわらず、その旨を告知せずに生命保険や医療保険に加入した場合、後に持病や既往歴が発覚すると保険金の支払いが拒否されることがあります。
さらに、重大な告知義務違反と判断されると、契約自体が解除となるリスクもあります。
そのため、保険に加入する際は正確な健康状態を告知し、持病があることをしっかりと伝えましょう。
記事まとめ
今回は持病があっても入れる可能性のある保険について解説しました。
持病や過去の病歴が気になる方は、まずは条件付きでも通常の生命保険や医療保険に加入できるかどうかを確認しましょう。
保険料が割高になる「引受基準緩和型」や「無選択型」の保険は、最後の選択肢としてみることをおすすめします。
また、自分はどの保険が最適かわからないという方は、保険の専門家に相談してみてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)などの資格を持ったプロであれば、ライフプランや家計を考慮した上で、最適な保険プランを提案してくれます。