民間の医療保険と介護保険は、保障内容が両方ともお金を給付する保障内容。
あらゆるリスクに備えるためにも「両方に加入し、併用することはできるのか?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
また、民間の医療保険・介護保険は、公的保険の保障内容で十分なのではないかと感じている方もいらっしゃることと思います。
そこでこの記事では、公的医療保険(健康保険)・公的介護保険でどこまでカバーされて、自己負担分はどこで生じるのかを解説。
それを理解したうえで民間の医療保険・介護保険のどちらに優先的に加入する必要があるのか、併用したほうが良いのかなどを説明します。
また、現在民間の医療保険・介護保険に加入している方もご自身の生活状況・ライフステージに合わせて必要・不要を検討し、見直しをすることも重要です。
ぜひご自身に合った保障プラン作りに生かしてください。
公的な医療保険と介護保険の違い
公的医療保険と公的介護保険は、保障内容に違いがあります。
医療保険は、給付の原因になること=保険事故は、病気や入院、手術です。
これらの場合は、公的医療保険が医療として法律が認める範囲での医療をカバーします。
そこで、生じる自己負担分をカバーするのを主な目的にして民間の医療保険商品が各種作られています。
これに対して、介護保険は、給付の原因となること=保険事故は、要介護状態になることです。
これらの場合も、公的介護保険により、法律が認める範囲で介護サービスの給付が行われます。
民間の介護保険の場合も、生じた自己負担分をカバーするのを主な目的としています。
目的は似ていますが、以下のような点が公的医療保険と介護保険の違いとして挙げられます。
医療保険 | 介護保険 | |
---|---|---|
保険事故 | 病気、入院、手術など | 要介護状態にあること |
加入対象者 | 全世代 | 40歳以上 |
サービス利用対象者 | 加入者 | 原則要介護認定をされた65歳以上 |
限度額 | なし | あり |
公的医療保険の基礎知識
公的医療保険は、自分や家族が病気やケガをしたときに医療費の一部が軽減される制度です。
病院やクリニックなどの医療機関で、保険証を提示すると医療費の自己負担が原則1~3割になります。
公的医療保険制度は、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つがあり、年齢や就労状況等によって異なるのです。
公的介護保険の基礎知識
公的介護保険は、40歳から国民全員の加入が義務付けられています。
65歳以上を第1号被保険者、40歳以上64歳以下を第2号被保険者と呼びます。
原則65歳から、要介護認定の結果を受けて、相応の介護保険サービスを利用することが可能。
ただ、「特定疾病が原因で要介護認定をされた」という条件を満たした場合、第2号被保険者も介護保険のサービスを利用できます。
公的な介護保険と医療保険の併用はできる?
公的医療保険と公的介護保険は、そもそも併用ができません。
要介護認定を受けている場合は、介護保険が適用されます。
要介護認定を受けていない場合は、医療保険が適用されるという仕組みにです。
というのも、公的介護保険サービスの利用が可能な状態になると、公的医療保険で適用されるサービスは、公的介護保険で利用できる医療・リハビリ・サービスですべて補えるので、併用する必要もありません。
点滴などの訪問看護や往診も、公的介護保険のサービスで利用することができます。
しかし例外もあり、以下のような方は要介護認定を受けていても、公的医療保険が優先されます。
- 厚生労働省が定める特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等者
- 急性増悪等で特別訪問看護指示書が出ている人
また、介護の原因となった疾患とは別の疾患については、公的な医療保険を利用することが可能です。
民間保険に加入する必要はある?
日本では、公的医療保険も、公的介護保険も「国民皆保険」制度。
そのため国民のほとんどが加入しています。
公的保険制度の保障内容で十分なため、民間の医療保険・介護保険に加入する必要はないと感じる方もいらっしゃるでしょう。
ただし、一概に民間保険への加入は不要とは言えません。
その理由を以下で解説していきます。
民間の医療保険の保障内容
民間の医療保険では、公的医療保険ではカバーしきれない自己負担分を補填することができます。
公的医療保険で自己負担が生じるところ・公的医療保険(外の諸費用がかかるポイントは以下のような点です。
- 健康保険の自己負担額
- 入院時の差額ベッド費用
- 先進医療費
- 病気の時に頼むヘルパーさん費用、交通費などの雑費
厚生労働省の調べによるとがんや、心筋梗塞の際にかかる自己負担額を調査・算出したところ、公的医療保険(健康保険)の加入者では、高額療養費制度の適用後でも、月9万円程度の医療費負担があります。
また先進医療費は、がんの放射線治療・遺伝子治療(100万円~300万円ほどかかる)など、先端医療技術を使った治療に必要なお金です。
先進医療費は、公的医療保険制度の保障適用外です。
このように考えると、公的医療保険だけでは、治療にかかる費用がとても高額になり、十分な保障がされるとは思えません。
(交通費は確定申告・年末調整の医療費控除の際には控除対象になりますが、健康保険ではカバーされません)
民間の医療保険の保障内容は、現金給付です。
上記の自己負担が生じるポイントを、民間医療保険で給付されるお金でカバーすることができます。
主な保障として支給されるお金は以下の通りです。
一時金
- 診断一時金
- 入院一時金
- 手術一時金
- 先進医療一時金
給付金
- 入院給付金(入院日額XXXX円、上限付きだが、入院期間に合わせて給付金が支給される)
- 外来給付金(入院給付金と同様の給付が外来について行われる)
なお、高度先進医療と、厚生労働省の指定のない先進医療がありますが、どこまでカバーされるかは、保険会社・医療保険商品によっても違いがあるので、約款をそれぞれ確認する必要があります。
民間の医療保険に加入したほうが良い人とは?
そもそも民間の医療保険加入割合は、男女合わせると全体で72.1%。
年代別の加入率について、20代は40%~50%、30代になると70%前後まで上昇しています。
そのため、若いうちから医療保険の重要性を感じている人が多いというのが現状です。
ただ、高額になりがちな入院・治療費用を貯金でカバーできるのであれば、民間医療保険に加入するは必要ありません。
そのため、医療保険に加入するべき人は以下の考えがある方です。
- 貯金の額が少ない。
- できるだけ手厚い保障内容にしたい。
このような状況、考えがある方は医療保険の加入はあったほうが安心でしょう。
特に若いころは貯金が不足しがちですので、民間の医療保険に加入することで、もしもの時に備えることができます。
また、病院に入院する期間は、仕事を休まねばならず、収入が減少します。
すると家計への経済的負担が大きくなることが考えられますよね。
独身、既婚にかかわらず、民間の医療保険に加入することで、金銭面で余裕ができ、安心することができるのです。
ただし、医療保険料が高額だと、貯金で備えるほうが効率的になる可能性も無きにしもあらずですので、ご自身の状況で判断することをおすすめします。
ちなみに自営業の方は、所得の減少にも備える意味で、医療保険のほか、就労不能保険で収入の低下に備えることが必要な場合も。
医療費と傷病手当金がないため、二重の負担があることが考えられるためです。
また女性の場合、民間の医療保険の中でも女性専用保険に入っておくことも合理的。
女性は40代から50代に女性特有の疾病を発症する可能性が高いためです。
女性特有の疾病に対応している女性専用の医療保険に加入することで、より自分に適応した保障プランにすることができます。
民間の介護保険の保障内容
民間の介護保険に加入する理由も、自己負担する必要がある範囲を、民間の介護保険でカバーするという考え方が基本です。
民間の介護保険も基本的には現金支給。
給付金や一時金の給付によって自己負担額をカバーするという仕組みです。
民間の介護保険は、65歳以上でなければ保障を受けることができないというわけではありません。
しかし、民間の保険会社が、要介護認定かそれに近い状態にあることを給付の条件としていますので、おおむね「65歳以上から給付がある」と思っているとわかりやすいです。
まず、公的介護保険で利用できる介護サービスの一覧は次のとおりです。
リハビリなどを代表とするこれらのサービスが、公的介護保険の給付内容となります。
原則として公的介護保険は現物給付ですので、サービスを給付され、1~3割の自己負担することは、公的医療保険制度と同様です。
- 居宅介護:リハビリ・入浴介助・訪問看護・デイサービスなど
- 通所介護:通所リハビリ・デイサービス(デイケア)・ショートステイなど
- 入所介護:老人保健施設・特別養護老人ホーム・グループホームなど
- その他:リハビリ用具や、移動補助用具などの福祉用具の貸し出し・購入補助サービス・住宅改修サービスなど
民間の介護保険の加入の要否を考えるときに、利用できるサービス内容のほかに、考慮すべきポイントが2つあります。
1つには公的介護保険には、サービスの給付の限度額があるということです。
介護サービスを利用したい方の介護状態によって、限度額は以下のように変わります。
要支援1 | 5,032単位(約50,320円) |
---|---|
要支援2 | 10,531単位(約105,310円) |
要介護1 | 16,765単位(約167,650円) |
要介護2 | 19,705単位(約197,050円) |
要介護3 | 27,048単位(約270,480円) |
要介護4 | 30,938単位(約309,380円) |
要介護5 | 36,217単位(約362,170円) |
なお「単位」とあるのは、介護保険のサービス事業者が、サービスを点数で表して、請求する仕組みがあるからです。
公的医療保険と同様、窓口では自己負担分のみを受取り、残りは国保連に請求する仕組みになっています。
上記の上限額のうち、1~3割の負担をすることができるかどうかが民間介護保険加入の検討のうえで、鍵になります。
ただし負担額については、住んでいる自治体の担当ケアマネージャーが調整をし、上限額を上回らないように介護サービスをコーディネートしてくれます。
もう一つポイントとなることは、サービスの給付内容にも制限があることです。
要介護認定の段階に応じて、利用できるサービスが異なります。
判断された段階によっては、希望するサービスを利用できないことも。
また公的介護保険は「公平に介護給付を行う」ことが制度の趣旨の一つです。
そのため、例えば有料老人ホームの入居費をはじめとして、法令の認める範囲外にも多くのニーズがあります。
在宅での介護に備えた、住宅の設備改修・介護器具の導入・家事に関して、自力では難しい場合のヘルパーサービスなどは自費負担になります。
介護をする側のご家族にとって、介護と家事の二重の負担を和らげるために、家事サービスなども有効な手段ですよね。
しかし、そのようなサービスは公的介護保険の保障適用範囲には入りません。
民間の介護保険は、こうした給付内容の制限に対応できます。
急激な高齢化が進行する中で、将来において公的な介護保険の制度も変化し、現在の制度内容との違いが出てくることも考えられます。
そこで、民間介護保険に加入することで、柔軟に給付金の使い道を考えることができます。
介護保険へ加入したほうが良い人は
こうした中、介護保険に入っておくべき人以下のような考えがある方があげられます。
- 貯金が少ない人
- 身寄りに不安がある人
- 自己負担の多いサービスを特に受けたい理由がある
晩婚化という社会情勢もあり、独身の方が増えている現代です。
配偶者や子どもがいない状態で、ご自身が将来介護状態になった場合、施設にお世話になる可能性も。
そうなれば、民間の介護保険に加入していたほうが将来の経済的負担が軽くなります。
さらに公的な介護保険は、若年層の介護需要にはこたえられない、というデメリットが。
公的医療保険と違い、給付が原則として65歳以上とされているからです。
むしろ生命保険・または医療保険の後遺障害特約加入などで備えるという手段が現実的です。
また、公的な制度でも、障害者総合支援制度があり、難病・障害・精神障害等について各種の助成があります。
民間の医療保険と介護保険、優先的に加入すべきなのはどちら?
- 民間の医療保険と介護保険の保障内容は、一時金や給付金といった現金給付の保障がメイン
- どんな人が民間の医療保険・介護保険に加入すべきか
ここまで上記2点について解説してきました。
ただ、まだ民間の医療保険と介護保険のどちらにも加入していない場合、一度に2つ加入することに抵抗がある方もいらっしゃるのでは。
そこで以下では、優先的に加入すべきなのはどちらかという疑問にお答えします。
優先的に加入すべきなのはどっち?
民間の介護保険と医療保険では、医療保険に優先的に加入するのが無難です。
前述しましたが、医療保険の保険事故は、病気や入院、手術。
それに対して介護保険は保険事故は、要介護状態になることのため、カバーできる範囲が比較的狭く、年齢制限があるも同然だからです。
特に先進医療を希望される場合などは、民間の医療保険だけがカバーしているので、民間の医療保険への加入を優先的に考えると良いでしょう。
ただし、身寄りのない方、公的な傷病手当が出ない・自力で支えることを基本とする自営業の方については、優先順位をつけずに、併用することも選択肢のうちの一つです。
民間の医療保険・介護保険の組み合わせで、できれば40代から備えをしておくと安心。
また、自営業の方は、就労不能保険との組み合わせも検討しておくとよいでしょう。
民間保険であれば併用することができる
上記で、公的な医療保険と介護保険は併用できず、介護保険のサービスが優先的に適用されると解説しました。
しかし民間保険の場合は、給付条件を満たしていれば、医療保険と介護保険の併用が可能です。
※保険商品によって給付の条件が決められているので、内容を把握しておく必要があります。
ただ、民間の医療保険と介護保険にかかる費用が二重になってしまうことがあり、最大のデメリットになります。
そのため、少しでも負担を減らすことができる方法をご紹介します。
負担を少しでも減らす方法
負担を減らす方法として以下の3つがあげられます。
①保険料控除で抑える
医療保険も介護保険も、保険料控除で少しでも負担を減らしておくことです。
医療保険、介護保険それぞれの区分に従い、控除額の対象となる保険料を計算、合算して控除を申請する準備をしておきましょう。
保険会社からの控除証明書も、健康保険分と介護保険分のそれぞれを紛失しないで保管しておきます。
年末調整・確定申告の記載例なども保険会社から出ていますので、活用して手続きを進めましょう。
②お得なプランにする
民間の医療保険・介護保険とも、定期型・掛け捨ての場合、1000円ほどで加入できる保険があります。
特に、ネットからの加入もできる、少額短期保険会社の保険商品などは、保険料がお得で、「一時金給付だけ」などといったシンプルなプランのものも。
③終身型を選択する
契約の種類ですが、定期型・終身型の2つがあり、定期型にすると、支払いも保障内容も期間が区切られています。
終身型は、保障も保険料の支払いの期間も一生涯。
定期型のほうが、月々の保険料・総支払い保険料は抑えめになります。
しかし若いうちに終身型に加入することで、一生涯の支払いを比較的安い保険料に抑えることができます。
そのため終身型を選択するほうが賢い方法といえるでしょう。
詳しい保険商品の相談はどこでできる?
ここまで民間の医療保険・介護保険の必要性に関して解説してきました。
しかし民間の医療保険も、介護保険も商品の数も多く、迷ってしまうこともあるでしょう。
また、医療保険と介護保険ご自身のライフステージの変化や新商品の販売がされるなど、保険の見直しが必要になることがしばしばあります。
そんな新規加入や見直しの疑問やお悩みがある場合は、無料保険相談窓口で相談してみるとよいでしょう。
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記事まとめ
公的な介護保険と医療保険の違いや、民間保険の必要性・優先順位・併用の有無について解説してきました。
公的な保険制度もあるため、民間の医療保険と介護保険は、すべての方が両方に加入する必要はありません。
双方に加入すべきか、どちらを優先するかは、この記事でもご紹介した通り、ライフスタイル・ライフステージごとに異なります。
いずれの加入についても、できるだけご自身の具体的なリスクに対応して、保険商品を使い分けることがおすすめです。