がん保険や医療保険に先進医療特約は必要?費用や確率などの実際の話

がん保険に先進医療特約は付帯すべき?その必要性について詳しく解説

がん保険や医療保険に先進医療特約は必要?費用や確率などの実際の話

がん保険

がん保険には先進医療特約を付帯することが可能

先進医療は高額な治療費がかかり、全額自己負担となるためがん保険や医療保険に特約として付帯しておくと安心です。

しかし、がん保険に契約する際に、先進医療特約をつけるか悩んでいる方もいると思います。

そこでがん保険の先進医療特約とはどのような保障をしてくれるのか、先進医療の特徴や必要性、がん保険に特約を付帯する際の注意点などについて詳しく解説していきます。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

がん保険の「先進医療」とは

医療保険やがん保険の「先進医療」とは

がんやがん以外の治療には様々な治療法があり、そのうちの一つが「先進医療」。

さて、そもそもがん保険に限らず、多くの保険会社が特約として扱う先進医療とはどのような治療法を指すのか、以下で解説していきます。

先進医療とは

先進医療とは

「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める高度な技術を用いた治療法や技術・療養で、公的医療保険の対象外のもののこと。

先進医療が公的医療保険の対象外となっている理由は、新たな高度技術による治療であるために、公的医療保険の保障対象にするかどうかを評価する段階にあるからです。

先進医療は決して危険な治療法というわけではなく、有効性や安全性について一定の基準をクリアしています

従来の治療方法では治せない病気やケガを治す可能性を秘めており、最終的に頼りにされることも十分ある治療方法です。

さて、そんな先進医療ですが、他にも以下のような絶対に知っておきたい注意点があります。

  • 先進医療が受けられる場所は限られている
  • 先進医療の種類は常に入れ替わっている
  • 技術料は全額自己負担

では、それぞれの点について簡単に確認していきましょう。

先進医療が受けられる場所は限られている

先進医療が受けられる場所は限られている

先進医療が受けられるのは、最新の医療機器や対応できる医療従事者がそろっている医療機関のみ

したがって、先進医療はどこの医療機関でも受けられるというわけではありません。

つまり、自分が入院・通院した病院によっては、そもそも先進医療での治療ができない可能性も十分にあります

※先進医療がない病院が優秀ではないという事実は全くないので、ご安心ください。

ちなみに、先進医療の種類によって実施されている医療機関が異なり、厚生労働省のホームページで確認することができます。

先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省

実施している医療機関の多くは、大学病院、医療センター、がんセンターといったところがほとんどです。

先進医療の種類は常に入れ替わっている

先進医療の種類は常に入れ替わっている

先進医療の種類は常に入れ替わっています

令和4年8月1日現在では、先進医療は82種類が対象です。

このうち、その有効性や安全性が立証され公的医療保険の対象となると、先進医療という枠内から外され、通常の保険が適用される治療方法となります。

逆に研究の結果、先進医療から削除されることもあるのです。

このように、時代の流れとともに対象とするかどうかを検討していくため、今後増減するでしょう。

技術料は全額自己負担

技術料は全額自己負担

最後に、先進医療は公的医療保険の対象外であるため、先進医療の技術料は全額自己負担となります。

特に、がん治療における先進医療にかかる費用は比較的高額になりやすい傾向があり、数百万円の治療費がかかることも

したがって、先進医療が適用される治療では、高額な治療費の支払いに備える必要があります。

がん保険に先進医療特約は必要か?

考える夫婦

結論、がん保険に契約の際は、先進医療特約の付帯は必須です。

しかし、世の中にはがん保険に先進医療特約はいらないと考える人もいます。

なぜ、がん保険の契約時に先進医療特約は不要と考えられるのか、まずはその理由から解説していきましょう。

先進医療特約は不要と考える人の意見

先進医療特約は不要と考える人の意見

がん保険に先進医療特約の付帯はいらないと考える理由は、「先進医療を使う可能性が低いから」です。

確かに使う機会ないのであれば、がん保険の保険料に加えてお金を支払う必要性も低いようにも思えます。

それではどれぐらいの確率で先進医療を使う可能性があるのか、厚生労働省のデータをもとに簡単に計算をしてみました。

先進医療が適用される確率

厚生労働省の令和元年度実績報告によると、先進医療の治療法を利用した患者の数は年間で39,178人でした。

それに対して、1年間で入院した患者の数は約1,300万人※となります。

平成29年(2017)患者調査の概況より

これらの数字から計算すると、入院した人の中で先進医療の治療をした人の割合は約0.3%です。

  • 先進医療患者:約4万人
  • 入院患者:約1,300万人
  • {先進医療患者}÷{入院患者}×100=0.3%

先進医療にかかる確率が0.3%なのであれば、自分が先進医療を使うとは考えないかと思います。

ただ、がん保険や医療保険はそのまさかに備えるために加入するものなのです。

ここで、先進医療で治療をしたときに実際にかかる費用を確認してみましょう。

先進医療にかかる費用の目安

先進医療にかかる費用の目安

先進医療の治療にはいくら程度費用がかかるのか、一部をご紹介していきます。

先進医療
技術名
先進
医療総額(円)
平均
入院日数(日)
年間
実施件数(件)
1件あたりの
平均先進
医療費(円)
高周波
切除器を用いた
子宮腺筋症核出術
44,519,272 11.4 147 約30万
陽子線治療 3,493,466,780 19.8 1,295 約270万
重粒子線治療 2,224,327,000 9.6 720 約309万
抗悪性腫瘍剤
治療における
薬剤耐性遺伝子検査
7,617,982 51.0 201 約38万
多焦点
眼内レンズを用いた
水晶体再建術
22,979,323,917 1.1 33,868 約68万
ウイルスに起因する
難治性の
眼感染疾患に対する
迅速診断(PCR法)
11,102,954 2.5 375 約3万
腹腔鏡下傍大動脈
リンパ節郭清術
163,175,714 9.8 187 約87万

【参考:厚生労働省「令和元年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」】

治療費が数万円で済む先進医療もありますが、中には300万円を超えるほどの高額な先進医療もあります。

例えば250万円ほどの治療費がかかる重粒子線治療。

多くのがんに効果が期待されており、男性女性問わず受ける可能性があります。

数万円や数十万円の治療であれば貯蓄からまなかなえる方もいらっしゃることでしょう。

しかし、300万円超の高額な治療費となると、家計へのダメージが大きいですよね。

そんな場合も、がん保険に先進医療特約を付帯していれば、「最高2,000万円まで」などの保険金を受け取ることが可能。

先進医療特約は月数百円で付帯できる

先進医療特約は月数百円で付帯できる

先進医療にかかる治療費が数百万円にもなる可能性があるのに対して、先進医療特約は月数百円という金額で、がん保険に付帯することが可能

例えば、チューリッヒ生命の終身医療保険プレミアムDXでは、先進医療特約に月130円ほどの保険料が上乗せされる程度。

月130円ということは、年間約1560円、10年間だと1万6千円ほどです

紹介の通り、先進医療にかかる確率は低いといえますが、まさかの事態に備えるのが保険。

なので、もしあなたががん保険への加入を検討しているのであれば、先進医療特約だけは付帯するべきです。

保険料を節約したい場合は、基本の保険料が安いがん保険の商品を選ぶことがおすすめ。

そのほうが、結果的に保険料がお得になります。

特約を付帯させる場合の注意点

特約を付帯させる場合の注意点

がん保険に先進医療特約を付ける際には、注意しなくてはならないポイントが3点あります。

がん保険の契約をする際には、以下の点を確認して、手続きを進めていきましょう。

多くの保険会社は実損払い

多くの保険会社は実損払い

がん保険に加入し、給付される保険金の支払い方法は大きく分けて定額払いと実損払いの2つがあります。

定額払いは、あらかじめ決められた一定の金額を支払う方法

実損払いは、実際にかかった費用を支払うという方法です。

がん保険に限らず、先進医療特約の保険金は実損払いであることが多く、実際に治療にかかった費用が支払われる仕組み。

ご自身が治療の費用を医療機関で支払った後に保険会社に請求する場合と保険会社から直接医療機関に支払われる場合の2パターンがあります。

がん保険商品によって違いますので、あらかじめ確認しておきましょう。

同じ保険会社で重複契約しても保障されるのはひとつのみ

同じ保険会社で重複契約しても保障されるのはひとつのみ

先進医療特約は、がん保険だけでなく医療保険や生命保険などほかの保険にも付けることができます

そのため、同じ保険会社でがん保険と医療保険に加入して、両方に先進医療特約を付けることも可能。

しかし、同じ保険会社で重複契約していても、保障されるのはがん保険か医療保険のいずれかひとつとなります。

つまり、重複して先進医療特約を付帯した場合、片方分の保険料を無駄に支払うことになるのです

そのため特約を付ける際には、すでに加入している保険で先進医療特約を付帯しているかを確認する必要があります。

ちなみに、異なる保険会社の先進医療特約であれば重複しても給付金を受け取れるとは一概に言えませんので、保険会社に問い合わせることが必要です。

がん保険・医療保険どちらにも加入しているなら

同じ保険会社でがん保険と医療保険のどちらにも加入する場合、がん保険よりも医療保険に先進医療特約を付帯することがおすすめ。

その理由は、医療保険とがん保険の先進医療特約の保障内容には違いがあるからです。

がん保険は「がん治療に関する先進医療」に限るため、がん保険に先進医療特約を付帯すると、保障対象範囲が狭まってしまいます。

医療保険に先進医療特約を付帯しても、がん治療に必要な先進医療の治療費用はカバーされます

古い契約のものは治療費をカバーしきれない可能性がある

古い契約のものは治療費をカバーしきれない可能性がある

がん保険や医療保険には、以前から先進医療特約を付けることができましたが、保障内容や対象範囲は医療の進歩に伴い、違いが生じています。

加入済みのがん保険や医療保険に先進医療特約が付いていると安心してしまうかもしれませんが、最近の医療環境に即した保障内容となっているか、定期的に見直しをする必要が。

というのも、以前は先進医療の保障上限額が50万円といったがん保険もあり、近年の数百万円かかる先進医療治療をカバーできない場合があるためです。

また、がん保険の先進医療特約を契約したときに対象であっても、その後先進医療から外れた場合は、かかった費用分の給付を受け取ることができないため、定期的な見直しは重要です。

まとめ

まとめ

がん保険や医療保険に加入していても、ご自身が先進医療を受ける機会がある際に治療いかかる費用を払えないという事態は避けたいですよね。

高額な治療費がかかる場合があることをふまえ、がん保険か医療保険のどちらかに先進医療特約を付帯することは必須。

当サイトでは後悔しないがん保険や医療保険の選び方をプロ目線で解説した記事もご用意していますので、最適な保険選びの参考にしてください。

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