医療保険とがん保険は、両方とも治療にかかる費用を保障するための保険商品です。
2つの保険の違いが分からず「どっちを選べば良いのだろう」と悩んでいる方も多いでしょう。
この記事では、医療保険とがん保険について以下のポイントを解説します。
- 医療保険とがん保険の違い
- 2つの保険の保障・給付を比較
- どっちの方が必要かを解説
- 医療保険・がん保険の選び方
- どっちも加入する場合の注意点
ぜひ本記事を参考にして、医療保険・がん保険への理解を深めましょう。
医療保険とがん保険の違い
医療保険とがん保険の違いを理解するために、まずは両方の保険の特徴を確認しておきましょう。
医療保険とは
医療保険とは、ケガや病気をした際の治療費が給付される保険商品です。
保障期間中にケガや病気を原因とした入院・手術をした際に、保険金が給付されます。
医療保険の主な保障内容は、入院給付金と手術給付金です。
入院給付金はあらかじめ設定した入院給付金日額(5,000円・10,000円など)が、入院日数に応じて支給されます。
入院中にかかる費用を保障できますが、支払日数は1入院あたり60日・120日などと上限が定められている点に注意が必要です。
また、手術給付金は「手術1回○万円」と定められる定額タイプや、「入院給付金日額の10倍・20倍」などと設定される倍率タイプがあります。
さまざまな病気・ケガで手術をした際に給付金が受け取れるため、費用の心配をせずに治療に専念できます。
このほかにも通院保障や先進医療特約などがあり、ケガや病気への基本的な保障を準備できるのが医療保険の特徴です。
がん保険とは
がん保険とは、がんに対する備えに特化した保険商品です。
医療保険の一種でもあり、がんの治療に手厚い保障を準備できることが特徴です。
がん保険の大きな特徴として「がん診断給付金」が挙げられます。
がんと診断された場合にまとまった給付金を受け取ることができ、金銭面での負担を和らげることが可能です。
また、医療保険と同様に入院給付金や手術給付金も支払われます。
がん保険の入院給付金の支払日数は多くの場合無制限となっており、長期化しやすいがんの治療でも安心して備えられます。
どんな保障・給付がついているのか比較
医療保険とがん保険の基本的な保障内容や特徴は以下の表の通りです。
医療保険 | がん保険 | |
---|---|---|
保障の 対象 |
病気や ケガ全般 |
がん (悪性新生物・ 上皮内新生物) |
主な 保障内容 |
入院給付金・手術給付金・通院給付金・先進医療給付金 | がん診断給付金・がん入院給付金・がん手術給付金・通院給付金・がん先進医療給付金 |
1入院 あたりの 支払日数 |
30日・60日・120日などから契約時に決定する | 無制限の商品 がほとんど |
入院給付金の通算支払日数 | 1,000日・1,095日などから契約時に決定する | 無制限の商品 がほとんど |
免責期間 | ほとんどの場合設けられていない | 90日間もしくは 3ヶ月の商品 がほとんど |
免責期間とは契約後に保障が受けられない期間のことです。
がん保険のほとんどは90日間または3ヶ月の免責期間が設けられており、期間中にがんと診断されても給付金を受け取れないため注意が必要です。
医療保険とがん保険はどっちも加入できる
医療保険とがん保険は、どっちかを選択しなければいけないわけではなく、どっちにも加入することができます。
医療保険で基本保障を備えつつ、がん保険でがんへの保障を手厚くすることが可能です。
ただし、どっちにも加入する場合はその分保険料の負担も大きくなります。
家計に過度な負担がかかってしまう可能性もあるため、医療保険・がん保険を併用する際には注意が必要です。
医療保険にガン特約をつけることも可能
医療保険には、がんに対する保障を手厚くする特約を上乗せすることも可能です。
どっちの保障も欲しいという場合は、特約を活用することも視野に入れましょう。
がん特約の場合、通常のがん保険に比べると保障内容がシンプルであるため、割安な保険料で備えられます。
ただしがん特約では保障できない治療もあり、がんに対する保障内容の充実度はがん保険に劣ります。
家計への負担とがん保障の充実度のバランスを考えた上で、がん特約とがん保険のどっちを選ぶか決めましょう。
結局どっちの方が必要か、タイプ別に解説
ここまで医療保険とがん保険の特徴を解説してきましたが「結局どっちが良いの?」とお悩みの方も多いでしょう。
ここでは、医療保険とがん保険のどっちの方が必要性が高いか、向いている人のタイプ別に解説します。
医療保険が向いている人
医療保険は、どんな病気やケガをした場合でも給付金を受け取りたい方におすすめの保険です。
あらゆる病気やケガに幅広く対応しているため、安心して治療に専念することができます。
特に十分な貯蓄がなく、万が一病気やケガで入院・手術をすることになったときの経済的な不安がある場合、医療保険の必要性は高いと言えます。
また、普段の生活習慣を踏まえて「自分は病気のリスクが高いのでは」と感じている方も、医療保険がおすすめです。
がんに限らず幅広い病気・ケガに対する不安を感じている方は、まずは医療保険を優先して契約しましょう。
がん保険が向いている人
がん保険は、あらゆる病気の中でも特にがんの治療に不安を抱えている方におすすめの保険です。
がんは入院日数がほかの病気よりも長期化しやすく、治療中の費用も高額になりやすい傾向にあります。
ある程度の貯蓄を用意できていても、がん治療にかかる費用は貯蓄だけでは足りないというケースもあるでしょう。
がん以外の病気やケガにかかる費用は貯蓄で備えつつ、お金のかかるがん治療だけはがん保険で備えるという形にすると、保険料を節約しながら保障を備えられます。
お金がかかるがん治療に手厚い保障を備えたいという方は、がん保険だけ入ることをおすすめします。
医療保険・がん保険のどっちも加入すべき人
「保険料の負担は構わないからとにかく手厚く保障したい」という方は、医療保険・がん保険のどっちにも加入すべきでしょう。
月々の保険料負担は多少大きくなりますが、幅広い病気・ケガに備えつつ、がん治療も手厚くサポートを受けられます。
また、「がん保険ほど手厚い保障でなくても良いけどがん治療に備えたい」という場合は、医療保険にがん特約を上乗せする方法がおすすめです。
保険料の負担も抑えつつ、医療保障・がん保障をどっちも備えることができます。
ご自身の希望する保障内容と保険料のバランスを考えながら、無理のない範囲で保障を備えましょう。
医療保険の選び方
医療保険を選ぶ際、以下の3つのポイントが重要になります。
- 入院給付金日額を決める
- 保険期間を決める
- 必要な特約を決める
それぞれのポイントについて解説します。
入院給付金日額を決める
医療保険の入院給付金は「入院日数×入院給付金日額」で計算されます。
入院給付金日額は5,000円・10,000円・15,000円などの中から自分で決めることになるため、慎重に選びましょう。
入院給付金日額が高額になれば手厚い保障を受けられる反面、保険料が高額になります。
手頃な保険料で入院に備えたい場合は5,000円、入院時に個室を希望する場合は差額ベッド代の分も含めて10,000円など、バランスを考えて設定することをおすすめします。
保険期間を決める
医療保険の保険期間は、定期型と終身型の2種類があります。
定期型は一定期間で保障が終了し、満期を迎えた後に更新することで保障が継続されるタイプです。
加入時の保険料は終身型と比べて割安に設定されるものの、一般的には更新のたびに保険料が上がり、保障内容は小さくなっていきます。
一方の終身型は保障が一生涯続くタイプの医療保険です。
加入当初の保険料は割高に設定されるものの、保険料・保障内容がずっと変わらずに継続します。
定期型と終身型の違いを理解し、どちらのタイプを選ぶか検討しましょう。
必要な特約を決める
医療保険には主契約の基本的な保障内容に加え、必要な保障内容を特約で上乗せすることができます。
保険商品に設定されている特約の中で必要なものを選び、契約手続きを進めましょう。
特約の代表例としては「先進医療特約」「がん・特定疾病に関連する特約」「女性向けの特約」などがあります。
あらゆる特約の中で自分に合ったものを選び、基本保障だけでは不足している保障内容をしっかりとカバーしましょう。
ただし特約を付加する分だけ保険料も高額になるため、家計への負担とバランスを考えることが大切です。
がん保険の選び方
がん保険を選ぶ際、以下の3つのポイントが重要となります。
- 給付条件を選ぶ
- 保険期間を決める
- 近年のがん治療に合った商品を選ぶ
それぞれのポイントについて解説します。
給付条件を選ぶ
がん保険の診断給付金は、商品によって支払条件や回数が異なります。
条件によっては給付金が支払われない可能性があるため、事前によく確認しておきましょう。
例えば、商品によっては悪性新生物のみが保障の対象となっており、上皮内新生物が保障の対象外になっている場合があります。
両方とも保障されるがん保険を選ぶことが望ましいと言えるでしょう。
また、給付金が一度しか支給されないタイプと無制限に給付されるタイプがあります。
無制限に給付される場合でも「2年に1回」と制限があるため、チェックしておくことが大切です。
保険期間を決める
がん保険も医療保険と同様に、定期型と終身型の2種類の保険期間があります。
2つの違いを踏まえて、自分に合った保険期間を設定することが大切です。
例えば子どもが幼いうちだけ手厚く保障したいという場合は、定期タイプのがん保険がおすすめです。
終身型と比べて手頃な保険料で、一定期間の保障を充実させることができます。
一方で、年齢を重ねてもがん保障を備えておきたいという場合は終身型がおすすめです。
加入時から変わらない保障内容・保険料で、一生涯がんに対して備えることができます。
ご自身の状況に合わせて、定期型・終身型のどちらを選ぶか判断しましょう。
近年のがん治療に合った商品を選ぶ
近年、がん治療は入院日数が短期化しており、通院しながら治療を行うケースも増えてきています。
がん保険を選ぶ際には、近年の医療事情も踏まえて選ぶことが重要です。
従来のがん保険は、長期化する入院に備えて入院給付金が充実しているタイプが多くありました。
しかし入院日数が短期化している現在においては、入院給付金が充実していても多くの給付金を受け取れない可能性があります。
がん治療に備えるのであれば入院給付金だけでなく、診断給付金や通院給付金を手厚く備えられるがん保険を選ぶことが大切です。
どっちも加入する場合の注意点
医療保険・がん保険のどっちにも加入する場合、保障が重複しないように気を付けましょう。
重複している部分をなくし、できるだけ保険料を抑える工夫をすることが大切です。
医療保険はがんに特化した保険ではないものの、がんで入院・手術をする場合には給付金が支払われます。
その上でがん保険に加入すると、がんになったときの給付金が過度に多くなってしまう可能性もあります。
まずは医療保険とがん保険でどんな保障内容があるのか違いを確認し、足りない部分を補い合うような保険プランを設計しましょう。
まとめ
医療保険とがん保険は保障内容が異なる部分と共通している部分があります。
2つの保険の違いを見極めた上で、どっちが自分に合っているか判断することが大切です。
また、医療保険とがん保険のどっちにも加入する方法もあります。
保障が重複していないかしっかりと確認し、過不足のないシンプルな保険プランを設計しましょう。
医療保険とがん保険の違いは理解できたけど、全て自分で比較するのは気が引けるという方、プロへの無料相談も活用してみてください。
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