医療保険
アメリカの医療制度と日本人が滞在時に加入すべき医療保険について

アメリカの医療制度と日本人が滞在時に加入すべき医療保険について

アメリカ合衆国に旅行や留学する方、あるいは会社から出張・赴任する日本人の方は、多くの場合、海外旅行保険に加入して出発されると思います。

これには、医療保険や、盗難などの保険がセットになっており、加入はインターネットでも空港などでも受け付けています。

ところで、日本の医療保険・医療制度と、アメリカの医療保険・医療制度はかなり違っており、端的にいうと、アメリカの医療費は非常に高額になる可能性があります。

そのため、アメリカ渡航の際は、海外旅行保険への加入は必須と考えられています。

より具体的に、アメリカの医療制度・医療保険はどのように違うのでしょうか。

知っていると、より海外旅行保険の加入プランが選びやすくなるでしょう。また、滞在が長くなる場合、現地で保険に入る必要もあり、予備知識はあったほうが便利です。

そこで、この記事では、アメリカの医療制度・医療保険についてご紹介します。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

海外の医療事情は日本と異なる

海外の医療事情は、日本と異なります。中でもアメリカの医療は、一言で日本との違いを表現するなら「高い」ということが特徴です。

その上、国民皆保険制度がないので、医療保険は民間の会社が運営している保険に加入することが原則となります。

民間の営利企業、つまり保険会社が運営主体ですから、公的保険に慣れている日本人からは、アメリカの医療保険には知っておかないと対処しにくい問題もあります。

アメリカは医療費が高額?初診料は150ドル以上?入院だとびっくり

アメリカは、特に医療費の高額な国で、何らかの形で医療保険に加入しないと、自己負担額が非常に高額です。

一例をあげると、救急車は12万円ほどの出費(民間で運営されている場合もある)、初診料が1万5000円~1万6000円、ICUの入院に至っては、1晩日本が医療保険制度で10万円ほどの自己負担額となるのに対し、100万円以上の負担となります。

海外旅行者向け保険が適用されたの例で、「腰痛・熱・頭痛・嘔吐の症状を訴え受診。急性腎盂腎炎と診断され5日間入院」の医療費も、370万円を超えたとの事例もあります。

そんなに珍しい病気の事例ではない、と考えられますが、非常にアメリカの医療費が高額であることがお判りになるでしょう。

アメリカ合衆国の医療制度・医療保険制度とは?

アメリカ合衆国では、世界トップクラスの水準の医療も受けられます。しかし、そうした医療は、すべての人に開かれているものではありません。

国民皆保険制度はない!民間保険が原則

アメリカの医療制度によると、自己負担額が非常に高額になりますが、この高額の医療費は、アメリカにお住まいの場合、主に民間の医療保険でカバーしています。

日本は、国民皆保険制度により、医療保険にはすべての日本居住者が社会保険または国民健康保険に入ります。そのため、民間の医療保険の必要性があまりピンとこない、ということもありがちなことです。

しかし、アメリカの場合も、また海外の意外と多くの国でそうですが、公的な保険ではなく、民間の医療保険に依存しています。

民間の会社が運営する医療保険に入れる所得を維持できるかどうかが、しばしば医療で命を維持できるかどうか、非常に厳しい問題になります。

したがって「高い医療保険料を支払えば、高い質の医療を受けられる」のがアメリカの医療の特徴ということもできます。お金があれば、世界の最先端の医療を受けるチャンスがあるのがアメリカです。

その一方、アメリカの保険の審査・告知事項・あるいは医療費の給付には非常に厳しいものがあります。

民間の医療保険は、保険料をプールして、その中から医療費を支払い、さらに一部を自社の利益にします。

自社の利益にできる部分は限られていますが、利益を出すためには、医療費の出費を抑えるという傾向にあります。

そのため、いざ保険事故が発生し、医療費の給付を受けようとしたら給付拒否にあってしまった、といった例も多くみられれるのがアメリカの医療保険制度の問題点です。

アメリカ合衆国の公的保険制度とは?

アメリカにも公的な医療保険制度がないわけではありません。

アメリカの公的医療保険制度は、通常のサラリーマンが加入する制度ではなく、低所得者・障害がある方などのための医療保険制度です。メディケアメディケイドという制度です。

メディケアは、2年以上失業している方や、障害のある方のための医療保険制度、また、メディケイドは、日本でいうなら生活保護制度の医療扶助制度がもっとも近い制度で、医療の現物給付を中心とする給付が行われます。両者は財源が異なります。

公的福祉の仕組みに頼らない国、アメリカ

ただし、質の良い医療が受けられるかというと、日本人の感覚からは想像できないほどの格差があるようです。

公的な福祉制度はアメリカの場合、「共産主義的な制度」として、特に保守層からはしばしば社会的な批判を浴びており、日本ほど充実はしていません。

「普通の病院ではこうだけど、メディケイド向けの病院ではそうした医療が受けられない」といったこともあります。

このように通常の水準の医療を受けられるかどうかは、財源の少ないメディケイドにおいてはしばしば問題になります。

所得の低い人などのための公的な社会保障制度・医療保険制度はありますが、日本の国民皆保険制度および生活保護の医療扶助制度とはだいぶ内容が違います

日本では国民健康保険・社会保険・生活保護を問わず、医療の質は平準化されています。

一方、お金のある人は命をあたかも買うようにふるまえるが、低所得者は命を保険制度のために落とす人がいるという、倫理的にも問題点が指摘される制度は、しばしば選挙などでも議論の的になってきました。

アメリカで医療保険を「皆保険」にするのは難しい?

大統領選でも、メディケア・メディケイド制度、民間の医療保険の今後の運営を巡り、争点となってきたことから、これらの制度について聞いたことがある、という方も多いかと思います。

中でも、2010年に成立した、「オバマケア」といわれる新しい健康保険法は、既往症があるために健康保険加入を保険会社が拒むことを禁止し、一方で、無保険者には罰金を科し、健康保険の義務付けを行いました。

しかし、トランプ政権下で「オバマケア」は激しく攻撃を浴び、廃止寸前まで追い込まれ、「皆保険」を実質的に促す制度をアメリカで実施することには非常に難しさがあります。

一方で、民主党のバーニー・サンダースが、国民皆保険制度を支持し、低所得の若者を中心に、支持を集めたことは記憶に新しいでしょう。

アメリカ合衆国に滞在する方の医療保険、ここに注意

アメリカに滞在する場合、そんなアメリカの医療制度の高額の負担を軽減するには、どんな保険に入ればよいのでしょうか。

どこの医療機関で保険診療を受けられるかは要チェック

アメリカの保険の注意点の一つは、必ずしもどこの医療機関でも保険からの支払いが行われるわけではない点です。

PPO (Preferred Provider Organization)プランは、ネットワーク内でも外でも保険が使えます。しかしその場合は自己負担額が増えてしまいます。

一方、HMO (Health Maintenance Organization)プランの場合は、ネットワーク外で使えるのはエマージェンシーのみです。そのうえ、ネットワークに加盟する中から、主治医を選ばないといけません。

まさかの際に使うには、双方とも使い勝手が必ずしも良くはありません。しばらくは旅行保険に加入することが望ましいと考えられます。

到着後しばらくは、海外旅行保険に加入がお得

日本で渡航前に加入できる海外旅行総合保険は、アメリカ渡航からしばらくカバーするものに入るのが無難と考えられます。

1年間で30万円ほどの金額で医療保険付きの総合保険に加入でき(1か月あたり2万5000円ほど)、更新も可能です。

もしも、国民健康保険に日本で加入し続けることができる方は、同保険の払い戻し制度も知っておくとよいでしょう。」

比較的に少額で済む外来治療なら、あとから申請により国保で払い戻しも可能、かつ日本の保険治療の範囲なら還付されるからです。

民間保険加入時はパンデミック・救援費用がカバーされているかもチェック 

長期滞在となると、同じ旅行保険でも、シグナや、April などの現地加入ができる民間保険に加入したほうが便利です。

海外赴任の方には、会社の負担で保険が付されることも多いですが、そうでない個人の場合は、各社に現地から見積もりを取る必要があります。

気になる保険料ですが、保険会社により相当に差があります。年齢にもよりますが、1人当たり日本円にして月額2~3万円くらいの料金で加入できるプランがよく広告で見られます。

自己負担額(Deductible)を決めて、以外を保険金で支払う内容の契約とすると、より安い保険料で加入できます。医療保険の見積もりを各社からとり、比較して検討してみましょう。

パンデミックによる入院・治療」「緊急時にも引き受けてくれるか、救援のための特約などで、病気・ケガをした場所から搬送してくれるか」チェックが大事なポイントです。

まとめ

海外での医療費の負担は、病気やけがをした際にしばしば高額になります。

公的医療保険制度がない、アメリカ合衆国の場合はその典型です。

ぜひ医療を十分にカバーする海外旅行総合保険に加入しておき、安心して過ごせるようにしましょう。