医療保険には、貯蓄性を持った「貯蓄型医療保険」と貯蓄性を持たない「掛け捨て型医療保険」があります。
貯蓄型医療保険は、一定の要件を満たした場合に支払った保険料が戻ってきたり、一定期間給付金を受け取らなかった場合に「健康お祝い金」といった給付金を受け取ることができます。
また、中途解約した場合でも、契約期間によりますが、解約返戻金を受け取れるケースもあります。
払い込んだ保険料をムダにせずに済む貯蓄型医療保険ですが、契約する前にどのようなメリットとデメリットがあるのかを知っておく必要があります。
そこで今回は、貯蓄性医療保険とはどういった保険なのか、メリットやデメリット、掛け捨て型医療保険との違いなどについて詳しく解説していきます。
貯蓄型の医療保険とは
まずは、貯蓄型の医療保険とはどのような保険なのかについて、最近の医療保険の傾向とともに確認していきましょう。
医療保険は掛け捨て型が主流
現在、さまざまな医療保険が販売されていますが、その多くは掛け捨て型医療保険となっています。
貯蓄型医療保険と比較して保険料が安いため、支払い負担が少なく加入しやすいという特徴があります。
実際に、ネット上の「おすすめの医療保険ランキング」などを見ると、掛け捨て型医療保険が人気であることがわかります。
しかし、「保険料の掛け捨てはもったいない」という考え方ももちろんあり、そういった方に選ばれているのが貯蓄型医療保険です。
掛け捨て型医療保険よりも商品数は限定されますが、保険料をムダにしたくないという方に人気です。
貯蓄型には「保障」と「貯蓄」のふたつの目的がある
貯蓄型医療保険は、「保障」と「貯蓄」のふたつの機能を併せ持っている保険です。
医療保障では、病気やけがで入院したり手術を受けたりした場合に、入院給付金や手術給付金などを受け取ることができます。
ほかにも、特約を付けることで「三大疾病」にかかったときや「先進医療」を受けたとき、「女性特有の疾病」にかかったときなども給付金を受け取ることができます。
一方、貯蓄面では所定の条件を満たしたときに「健康お祝い金」を受け取れる、中途解約した場合に「解約返戻金」が受け取れるといったことがあります。
では次章で、貯蓄型医療保険の具体的な貯蓄性について確認していきましょう。
3つの貯蓄性
貯蓄型医療保険には、主に次の3つの貯蓄パターンがあります。
- 支払った保険料が戻ってくる「リターン型」
- 一定期間給付金を受け取らなかった場合に「健康お祝い金」
- 中途解約したときに「解約返戻金」
では、それぞれのパターンについてひとつずつ解説していきます。
支払った保険料が戻ってくる「リターン型」
これまで払い込んできた保険料が戻ってくる「リターン型」は、新しいタイプの貯蓄型医療保険で人気のある商品です。
具体的には、所定の年齢まで払い込んだ保険料のうち、保障に使わなかった分を「健康還付給付金」といった名目で受け取れるというものです。
「所定の年齢まで払い込む」とは、たとえば契約年齢が40歳までの方は60歳まで払い込むことによって、また50歳の方は70歳まで払い込むことによってなど、保険会社によってそれぞれ決められています。
そして、給付金の受け取りの有無によって、戻ってくる金額が次のように異なります。
給付金を受け取らなかった場合
貯蓄型医療保険の契約期間中に、入院給付金や手術給付金といった給付金を受け取らなかった場合、所定の年齢までに払い込んだ保険料が全額戻ってきます。
つまり、「健康還付給付金=総払込保険料」ということになります。
給付金を受け取ったことがある場合
貯蓄型医療保険の契約期間中に、何らかの給付金を受け取った場合は、払い込んだ保険料から支払われた給付金額を差し引いた金額が戻ってきます。
つまり、「健康還付給付金=総払込保険料-受け取った給付金額」ということになります。
このように、給付金を受け取ったからといって保険料が戻ってこないとは限らないため、次にご紹介する健康お祝い金タイプとは性質が異なります。
一定期間給付金を受け取らなかった場合に「健康お祝い金」
健康還付給付金とはまた別に、「健康お祝い金」といった名称で給付金が受け取れる貯蓄型医療保険もあります。
一定期間内に一度も入院給付金や手術給付金などの請求をしなかったり、一定日数を超える入院給付金の請求をしなかったりした場合に、受けとることができるボーナスのようなものです。
一定期間とは5年や10年など医療保険によって違いますので、契約時に確認してください。
なお、健康お祝い金が受け取れると保険料の払い損にならず済むというメリットがありますが、実は健康お祝い金の原資となっているのは自分で払い込んできた保険料なのです。
つまり、自分が積み立ててきたお金を一定期間ごとに受け取るというイメージになるので、本当にお得なのかどうかはしっかりと検討する必要があります。
中途解約したときに「解約返戻金」
医療保険だけでなく生命保険全般にいえることですが、貯蓄型の保険は中途解約をしたときに「解約返戻金」を受け取れることが多いです。
解約返戻金は、契約して数年しか経過していない場合は、ほとんど受け取れないこともありますが、契約年数が長くなるほど受け取れる金額も多くなります。
ただし、解約返戻金は払い込んだ保険料の総額を下回ってしまう(元本割れしてしまう)ことがほとんどです。
なお、「健康還付給付金」とは異なり、契約期間中に何らかの給付金を受け取っても、その金額分が差し引かれることはありません。
貯蓄性医療保険のメリット・デメリット
ここまで、貯蓄型医療保険の具体的な貯蓄性について解説してきましたが、ここからはメリットとデメリットについて確認していきましょう。
貯蓄型医療保険のメリットとデメリットを知ることで、保障内容についてより理解できるようになります。
貯蓄型医療保険のメリット
貯蓄型医療保険には、主に以下のようなメリットがあります。
- 払い込んだ保険料をムダにしなくて済む
- ライフスタイルに合わせて給付金を利用できる
- 自動振替貸付などを利用できることもある
ではひとつずつ解説していきます。
払い込んだ保険料をムダにしなくて済む
貯蓄型医療保険は、掛け捨て型医療保険とは異なり、一定の条件を満たすことで「健康還付給付金」や「健康お祝い金」、「解約返戻金」などを受け取ることができます。
そのため、払い込んだ保険料を全額捨ててしまうということがありません。
ライフスタイルに合わせて給付金を利用できる
受け取った「健康還付給付金」や「健康お祝い金」で、これまで健康に過ごせたことに対するご褒美として旅行に行ったり、人間ドッグの費用に充て健康状態を保つことに生かしたりなど、ライフスタイルに合わせて使うことができます。
自動振替貸付などを利用できることもある
自動振替貸付とは、解約払戻金のある貯蓄性保険において、残高不足などにより猶予期間を過ぎても保険料が支払われない場合に、保険会社が保険料を自動的に立て替えてくれる制度のことをいいます。
自動振替貸付によって医療保険契約を継続させることができますが、保険会社から保険料を借り入れている状態であるため利息が発生する点や、返済できない場合は解約返戻金を受け取る際に差し引かれる点に注意が必要です。
貯蓄型医療保険のデメリット
一方で、貯蓄型医療保険には以下のようなデメリットがあります。
- 保険料が割高
- 入院給付金などを受け取ると損することがある
ではそれぞれのデメリットについて確認していきましょう。
保険料が割高
貯蓄型医療保険は掛け捨て型医療保険と比較して、「保障+貯蓄分」の保険料を支払うことになるため、保険料が割高になります。
将来、「健康還付給付金」や「健康お祝い金」、「解約返戻金」を受け取れるとしても、毎月の保険料支払い負担が大きくなってしまうのはデメリットといえます。
入院給付金などを受け取ると損することがある
「健康還付給付金」は、払い込んだ保険料から入院給付金などで受け取った給付金額を差し引いた金額が支給されるため、もし入院給付金などが高額だった場合、健康還付給付金が受け取れない可能性があります。
また、「健康お祝い金」は、一定期間内に給付金を受け取らなかった場合に支給されるものなので、入院したり手術を受けたりして給付金を受け取った場合、支払われないことになります。
せっかく割高な保険料を支払っても、このように健康還付給付金や健康お祝い金を受け取れない可能性があるのです。
「貯蓄型」と「掛け捨て型」の違い
医療保険には、貯蓄型と掛け捨て型のふたつのタイプがあることは先にも触れましたが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
主な違いを比較するとともに、それぞれのタイプはどのような方におすすめなのかを考えていきましょう。
貯蓄型と掛け捨て型を徹底比較
貯蓄型医療保険と掛け捨て型医療保険の主な違いを以下にまとめてみました。
比較 項目 |
貯蓄型 医療保険 |
掛け捨て型 医療保険 |
---|---|---|
解約 返戻金 |
あり (商品による) |
なし (ある場合でも少額) |
保険料の リターンや 祝い金 |
あり (商品による) |
なし |
満期 保険金 |
あり (商品による) |
なし |
保険料 | 割高 | 割安 |
特徴 | ・保障と貯蓄が同時にできる・終身型が多い・商品数が少ない | ・安い保険料で大きな保障が得られる・保障の見直しがしやすい・商品数が多い |
貯蓄型医療保険は、商品によって解約返戻金や満期保険金などを受け取ることができますが、掛け捨て型医療保険は基本的に受け取ることができず、受け取れる場合でもごく少額となる可能性が高いです。
また、保険料については先にも触れていますが、掛け捨て型医療保険は安く、貯蓄型医療保険は高くなることが多いです。
さらに、貯蓄型医療保険は保障と貯蓄が同時にできるという特徴がある一方、掛け捨て型医療保険は安い保険料で大きな保障を得られるという特徴があり、それぞれ魅力的な特徴を持っていることがわかります。
では、これらの特徴をもとに、どちらの医療保険に向いているかを考えてみましょう。
貯蓄型医療保険が向いている方
貯蓄型医療保険が向いている方は、次のようなタイプの方といえます。
- 保障と貯蓄の両方に備えたい方
- 保険料をムダにしたくない方
- 貯金が苦手な方
- 保障の見直しが不要な方
貯金をしたくても「どうしても苦手」という方もいると思いますが、貯蓄型医療保険に加入することで、保障と貯蓄の両方に備えることができるので自動的に貯蓄に役立つというメリットがあります。
また、貯蓄型医療保険は終身型のものが多く、中途解約すると返戻金が低くなってしまうため、保障の見直しをしてほかの医療保険に切り替えたいと思っても、簡単に解約することが難しいです。
そのため、ある程度充実した保障内容の医療保険に加入し、見直しをしなくても問題ないという方におすすめといえます。
掛け捨て型医療保険が向いている方
掛け捨て型医療保険がおすすめなのは、次のようなタイプの方です。
- 保険料を安くしたい方
- 定期的に保障の見直しをしたい方
掛け捨て型医療保険の大きなメリットは、なんといっても保険料の安さで、安い保険料で大きな保障を付けておきたい方におすすめです。
また、掛け捨て型医療保険には終身型と定期型の両方がありますが、中途解約しても一般的に返戻金を受け取ることはできませんので、保障の見直しをしたいときに柔軟に切り替えることができます。
まとめ
貯蓄型医療保険には、保障と貯蓄の両方に備えられる、ライフスタイルに合わせて健康お祝い金などを利用できるといったメリットがあります。
しかし、保険料が割高、保障の見直しがしづらいといったデメリットもあるため、しっかりとした安心できる保障内容で契約することが大切です。
もし保障内容でわからないことがある場合は、無料の保険相談などを利用して疑問や質問を解消しておくことをおすすめします。
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