共済にも介護保険が存在することをご存知ですか?
平均寿命が延びていることに伴い、老後の介護保障への関心が高まっています。また、年齢を問わず事故や病気で介護状態に陥ることも想定されるため、介護への備えは非常に重要です。
公的介護保険制度を補完する目的などで、民間の介護保険に別途加入する場合、介護保険の選択肢は非常に多いのが現状です。
選択肢の中には、割安な掛け金で保障を確保できる共済もあり、最低限の介護保障に加入したいといった人におすすめです。
そこで今回は共済の介護保険について解説します。この機会に共済の介護保険への理解を深め、ご自身に合う介護保障を選びましょう。
共済とは
県民共済や都民共済、府民共済など、「共済」という言葉を一度でも耳にしたことがある人は多い一方で、「共済」の意味や仕組みを正しく理解している人はそれほど多くありません。
共済とは、「お金を出し合って互いに助け合う」といった意味を持ちます。
現在はJA(農協)・生協(コープ)・労働組合を中心に共済事業が展開され、日常生活に潜むさまざまなリスクに対応するために、加入者(組合員)からお金を集めて不測の事態に備えています。以下で、共済の特徴を解説します。
民間の保険の違い
共済の特徴として、営利目的で運営されていない点が挙げられます。共済は組合員への奉仕を目的としているため、株主等への配当などを事業の目的としている民間の保険会社とは全く違う特色を持ちます。
加入対象者
民間の保険会社と比較すると、共済は加入対象者にも独自のルールを適用しています。共済は原則として組合員や家族のみを加入対象者と限定しており、広く契約者(加入者)を募集できる民間の保険会社とは異なります。
商品の保障内容
共済事業を運営する組合ごとに、提供している保障内容は異なるものの、一般的な共済の種類として、死亡・病気やケガ・住宅・自動車などのリスクに備えることができます。
共済の介護保険の特徴を解説
共済の介護保険は、民間の保険商品とは違って加入者が限定されています。一方で、契約者の配偶者や親まで保障範囲を広げることができるなど、共済の介護保険独自の仕組みもあるため、加入前に共済の介護保険の特徴を確認しておくと安心です。
組合員本人や配偶者・親まで保障できることも
先述のように、共済は原則として組合員本人とその家族が加入対象です。介護保険を擁する共済の中には、組合員とその配偶者、それぞれの親を含めた計6名を保障することができるタイプもあります。
家族の介護保険への加入状況を鑑みながら、家族みんなで契約することも可能です。また、契約時の手続きが非常に簡単である点も特徴の1つです。
介護医療保険料控除の対象
共済の介護保険の掛金は介護医療保険料控除の対象です。そのため介護への備えを確保し、さらに所得税や住民税の負担が軽くなる点もポイントです。ただし、実際に介護医療保険料控除の対象になるのは、支払った掛金から共済制度運営費と配当金を除いた金額です。
介護保険がある共済は?
共済にはさまざまな種類がありますが、介護保険がある共済は非常に限定されます。以下で、介護保険に加入できる代表的な4つの共済をご紹介します。
こくみん共済
共済の中でも特に知名度の高いこくみん共済は、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)と呼ばれることもあります。こくみん共済は、消費生活協同組合法に基づいて共済事業を行っている共同組合です。
いわゆる医療保険である総合医療共済に介護保障特約を付加して契約した場合、介護にかかる初期費用や介護共済金といった給付を受け取ることができます。
こくみん共済の介護保険については以下をご参照ください。
https://www.zenrosai.coop/select/kaigo.html
JA共済
JA共済は農家組合員が協力して農業生産力の増進と経済的・社会的地位の向上などを目的として生まれました。また、組合員や利用者の豊かな生活作りへの貢献も目指し、さまざまな保障やサービスを提供しています。
このJA共済における介護保険は、7つの保障分野を組み合わせて、人生のさまざまな不安をサポートする「生命総合共済 なないろデザイン」のうちの1つです。40歳以上から加入することができ、75歳が加入限度年齢ですので、年を重ねる中で介護保障を確保したいと考えるシニア層でも加入可能です。
JA共済の介護保険については以下をご参照ください。
https://www.ja-kyosai.or.jp/okangae/person/kaigo/
生協(コープ)の介護保険
各地域の生協と日本生活協同組合連合会が共同で設立した団体が日本コープ共済生活協同組合連合会で、共済事業を専業にしています。特に子ども向けの共済契約数が非常に多く、幅広い保障を提供しています。
生協(コープ)の介護保険は公的介護保険の要介護2~5、もしくは所定の要介護状態に該当した場合に一時金を受け取ることができ、組合員であれば28.51%の団体割引を利用できます。
資料の請求も随時受け付けているため、生協(コープ)の介護保険については以下をご参照ください。
https://www.palsystem-kyosai.coop/examine/products/care_coop/
UAゼンセン共済
UAゼンゼン共済とは、UAゼンゼン福祉共済互助会として運営され、さまざまな共済事業を展開しています。共済の中には、在職期間のみ保障・サービスを確保でき、退職と共に保障が消滅するというプランもあります。
しかし、UAゼンゼン共済は年会費1,800円を支払うことで退職後も保障を継続することができるので、より長期間の保障を確保したい方に最適です。
また、中には「高齢の親の介護保険を検討したい」という人もいるでしょう。共済をはじめ、保険に加入する際には健康状態の告知が必要です。しかし、被保険者が高齢の場合は契約手続きに不安を感じる場合があるかもしれません。
UAゼンゼン共済は代理申し込みや代理告知が可能ですので、加入手続きに不安がある場合でも代行してもらうことができます。
UAゼンゼン共済の介護保険については以下をご参照ください。
https://uazensenkyosai.jp/kojin/kaigo
加入手続の流れ
ここからは共済の介護保険に加入する際の加入手続きの流れを解説します。今回はJA共済での加入をモデルケースとしてご紹介するので、プラン決定から契約手続きを確認しましょう。
保障内容を検討・決定
介護保険の各種保障内容や契約条件の確認、さらに掛金の見積もりなど、JA共済ではさまざまな情報を提供しています。最寄りのJAに相談すると、ライフアドバイザーがプラン設計をサポートしてくれます。
なお、WEBや電話にて複数の資料を同時に請求することも可能です。
保障内容の決定時には保障設計書やお見積り書を元にJA窓口のアドバイザー等から説明を受けます。ささいな疑問点などでも丁寧に回答してくれるため、不安に思うことがあれば積極的に相談しましょう。
契約手続き
契約前に重要事項や注意事項についてアドバイザー等から説明があり、契約内容が契約者の意向に沿う内容かどうかを確認します。内容を確認の上、共済契約申込書や告知書に記入し、署名します。
この際に初回以降の掛金の払い込み方法についても手続きを行います。
契約の締結
共済契約申込書や告知書に書かれた内容を元に、JA共済が保険加入の可否を審査します。健康状態などによっては加入できないこともあるため注意しましょう。
審査が終了し、無事に加入できる場合は後日「共済証書」が届きます。この共済証書は契約内容を確認できるほか、契約内容の変更時などに提出を求められることがあるためきちんと保管しましょう。
こんな人におすすめ
先述の通り、共済は営利目的ではなく組合員の奉仕を目的としており、比較的割安な保険料で介護保険に加入できるのが特徴です。また、共済によっては60歳以降でも加入できる介護保険もあるため、セカンドライフを迎えてからでも加入できるのも大きな特徴と言えます。
そのため、「現在は独身のため、最低限の介護保障がほしい」「高齢の親のために介護保険を検討したい」といった人には、共済の介護保険はぴったりと言えます。
また、勤務先や地域によっては共済とのつながりが深いこともあり、民間の保険よりも共済のほうが加入の手間がかからない場合も考えられます。そのような場合には、共済で介護保険に加入すると加入後の見直しなども負担が軽く、また仮に給付金を請求することになった場合でも手続きが簡単という特徴があります。
まとめ
JAや生協(コープ)など、さまざまな団体を経由して共済の介護保険に加入することができます。共済は民間の介護保険よりも保険料が安く、商品によっては代理告知や代理手続きが可能など、民間の保険よりも加入時の柔軟性が高いのも特徴です。
さまざまなプランを比較した上で、ご自身に合う共済の介護保障を検討してみましょう。