民間介護保険のメリット・デメリットをわかりやすく解説!

介護保険のメリット・デメリット

民間介護保険のメリット・デメリットをわかりやすく解説!

介護保険

平均寿命の上昇やライフスタイルの多様化といった環境の変化によって、民間介護保険の保障内容も様々なものが登場しています。

この記事では、介護保険の中でも特に民間介護保険に焦点を当て、対象者やメリット・デメリットを解説。

公的介護保険と民間介護保険の違いを理解し、自分に必要な保険商品を見極められるようにしましょう。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

2種類の介護保険|公的か民間か

2種類の介護保険|公的か民間か

介護保険には、国が実施する公的な介護保険制度と、民間事業者が提供する介護保険があります。

公的介護保険制度

公的介護保険とは、介護を必要とする人を社会全体で支え合うための公的制度・仕組みのこと。1997年に「介護保険法」が制定され、2000年4月に施行されました。

40歳になるタイミングでの加入が義務付けられており、加入後は介護保険料の支払いが必要です。

また、公的介護保険の加入者は「第1号被保険者」と「第2号被保険者」という2種類に分けられます。どちらに属するかは年齢によって変わり、40歳以上65歳未満の方は第2号被保険者、65歳以上の方は第1号被保険者となります。

民間の介護保険

民間介護保険とは、民間の保険事業者が販売する保険商品の1つです。公的介護保険に加入することを前提としており、公的介護保険ではカバーできない部分を補う目的で利用します。

近年では高齢者の増加に伴い、様々な介護リスクに備えたプランや保障内容が次々に登場しています。

なおこちらは強制加入ではなく、必要な保障に合わせて任意で利用する保険です。

保険の対象者やその他の違いは?

保険の対象者やその他の違いは?

介護保険の給付対象となるための条件は、公的制度と民間保険でいくつかの違いがあります。また、税制面や手続きの面でも違いがあるので、それぞれ比較しながら確認していきましょう。

給付対象の違い

公的制度の場合、そもそも加入できるのが40歳からとなるため、40歳未満の方は保障を受けられません。

また第1号被保険者は要介護・要支援の度合いに応じた保障が受けられますが、第2号被保険者の場合は特定疾病によるものだけが給付対象となります。(介護保険の特定疾病については、こちらの介護保険の特定疾病とは?選定・診断基準をわかりやすく解説!をご覧ください)

一方、民間介護保険の場合は年齢制限がなく、40歳未満の方でも加入・給付を受けることが可能です。20歳からの加入が一般的ですが、中には未成年から加入できる介護保険商品もあります。

また、要介護・要支援の認定を受けられない場合でも、民間介護保険であれば給付を受けられるというケースも少なくありません。

公的介護保険・民間介護保険の違いまとめ

公的介護保険と民間介護保険の仕組みや条件をまとめると、以下のようになります。

公的介護保険 民間介護保険
給付 現物支給(原則) 現金支給
加入年齢 40歳以上・強制 制限なし・任意
給付対象者 第1号被保険者:要介護度による/第2号被保険者:特手疾病の場合のみ 被保険者
保険料 市区町村単位で設定・医療保険と一括徴収(第2号被保険者) 年齢・加入条件によって異なる
税制優遇 社会保険料控除(全額) 介護医療保険控除(上限あり)
手続き先 市区町村 保険会社等

民間介護保険のメリット

民間介護保険のメリット

公的介護保険制度が用意されているにもかかわらず、別途民間介護保険に加入するメリットはあるのでしょうか。

ここからは、民間介護保険ならではのメリットについて詳しく見ていきましょう。

メリット①公的介護保険の対象外でもカバーできる

公的介護保険は全国民が40歳から強制加入となる保険ですが、逆に言えば40歳未満の方は保障を受けられないということにもなります。

また第1号被保険者(40歳以上65歳未満)の場合、要介護状態であったとしても、特定疾病に該当するものでなければ給付対象から外れてしまう点にも注意が必要です。

一方、民間介護保険は40歳未満の方でも加入でき、早くから介護リスクに備えられるというメリットがあります。

また交通事故の影響で介護が必要となるケースなど、公的介護保険では保障されない内容でも、民間介護保険なら給付を受けられる可能性がある点もメリットといえるでしょう。

メリット②要介護認定後の自己負担分を大きくカバーできる

民間介護保険に加入する大きなメリットの1つとして、介護にかかる費用の自己負担分をカバーできることによる経済的な安心感があります。

朝日生命保険が2013年に実施した調査では、介護者が最も負担に感じている費用は「公的介護保険の自己負担額」であるという結果が出ています。

介護に関して金額的負担が大きいと感じる項目 割合
公的介護保険の自己負担額 35.8%
通院や外出時の交通費 34.4%
公的介護保険適用外の介護用品の費用(オムツなど) 24.6%
公的介護保険適用外の施設入所後の費用(食事代・光熱費など) 21.1%
公的介護保険適用外(ヘルパーが対応できない)の家事代行費用 15.0%
その他 12.3%

引用:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101851/201308133872/_prw_OR1fl_7u62HJeE.pdf

民間介護保険からの給付で自己負担額をカバーできれば、介護する家族やパートナーの精神的ストレスの軽減といったメリットにつなげられるでしょう。

メリット③老後の資金繰りにつかうことができる

民間介護保険は保険会社によって様々な保障内容・プランが用意されており、ライフスタイルに合わせて組み合わせを考えられる点もメリットです。

受取方法や保険期間を上手く調整することで、介護の費用だけでなく老後の資金繰りなどにも活用できるでしょう。

民間介護保険の主なプランには以下のようなものがあります。

貯蓄性の有無

貯蓄型 介護保険に死亡保険や年金保険などがセットされているもの。保険料がやや割高であるものの、介護保障以外の保障も受けられる他、解約返戻金の受取ができるといったメリットがある。
掛け捨て型 介護保険が中心となっているもの。解約返戻金や満期保険金を抑えるまたは無しとすることで、割安な保険料で利用できるのがメリット。

受取方法の違い

一時金 給付金を一時金で受け取るタイプ。介護準備費用や施設の入所費用の支払いに備えたいという方におすすめ。
年金 給付金を年金で受け取るタイプ。継続的に必要となる介護費用に備えたいという方におすすめ。
併用 一時金・年金の両方を受け取るタイプ。保険料は高くなるものの、手厚い保障を受けたいという方におすすめ。

保険期間の違い

終身型 保障を生涯にわたって受けられるタイプ。保険料が途中で上がらないため、支払い計画を立てやすいのがメリット。
定期型 保障が一定期間または一定年齢まで続くタイプ。保険料は割安であるものの、更新の都度金額が上がるといったデメリットもある。

民間介護保険のデメリット

民間介護保険のデメリット

一方で、民間介護保険には以下のようなデメリットも挙げられます。

デメリット①月々の保険料がかかる

民間介護保険は公的介護保険とは別の制度であるため、加入した場合はそれぞれで保険料を支払わなければならないという点がデメリットです。家計が苦しい状況で無理して加入すると、余計に生活を圧迫させる原因となってしまいます。

そこで、もしあなたが「民間の介護保険に加入したいけど、支払い続けられるか不安」という場合は、中途解約ができ、かつ解約返戻金も受け取れる貯蓄型の介護保険がおすすめです。

こちらは解約返戻金のない掛け捨てタイプと異なり、一種の貯金のような感覚で保険料を納められるのがメリットです。

デメリット②給付金の要件が保険会社によって異なる

民間介護保険で給付金を受け取るためには、保険会社が定める要件を満たす必要があります。

給付要件には「公的介護保険連動型」と「独自型」の大きく2種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

公的介護保険連動型 公的介護保険が定める要介護度に応じた給付額を受け取れる。公的介護保険側で要介護認定を受ける必要がある。
独自型 保険会社が定める給付要件を満たすことで給付額を受け取れる。商品ごとの給付要件をしっかり理解しておく必要がある。

独自型の保険商品は保険会社によって要件が様々なため、他社商品との比較が難しいというデメリットがあります。

自分の判断だけで商品を決めることが難しい場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)などに相談し、しっかり理解したうえで選定するようにしましょう。

まとめ

  • 公的介護保険と異なり、民間介護保険は年齢問わず加入・給付を受けることができる
  • 民間介護保険のメリットとして、給付範囲の拡大や自己負担の軽減、プラン選択の自由度の高さなどがある
  • 保険料の負担が増えるなどのデメリットもあるため、必要な保障を見極め、適切なプランを組むことが大切

民間介護保険は必ずしも加入しなくて良い保険ですが、収入に不安のある方や、より手厚いサービスを受けたいという方は加入を検討してみると良いでしょう。

その際はなるべく少ない負担で多くの保障を受けられるよう、FPなどの専門家に相談することをおすすめします。

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