生命保険に入ってない状態で死亡すると、どんな不幸が起こるのでしょうか?なんとなくの想像はつくと思いますが、明確にイメージできるかと言われるとそうではないですよね。
生命保険に加入している状態で被保険者が死亡すると、残された家族の生活に必要な保険金を受け取れるなどのメリットがあります。しかし、定期的に支払わなければいけない生命保険の保険料にデメリットを感じ、加入する必要がないと判断し、入ってない状態の人もいるでしょう。
そこで、本記事では、生命保険に入ってないとどのようなデメリットが生じるのか解説します。万が一のことを考えて生命保険に加入すべきか悩んでいる人、生命保険の必要性を感じられない人は将来の自分・家族のためにも最後まで記事を読んでみてください。
生命保険(死亡保険)に入ってない状態で死亡した場合に想定されること
生命保険(死亡保険)に入ってない状態で万が一死亡した場合、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。
この章で、生命保険が必要ないと判断して入ってない人が死亡した場合に考えられる影響を確認しましょう。
家族への経済負担
家族が生活するお金を稼いでいる方が生命保険に入ってない状態で死亡すると、遺された家族の経済的な負担が大きくなります。
特に、まだ独立していない小さな子供がいる夫婦の場合、まとまったお金が必要になります。生命保険に入ってないなら、妻もしくは夫の個人の収入、死亡するまでに貯めた貯蓄や公的な死亡保障に頼るしかありません。生命保険を契約していないことが原因で、子供に必要な教育費を用意できない可能性も否めません。
事実、厚生労働省が公開している「ひとり親家庭等の現状について」では、全世帯と比較して母子世帯・父子世帯の大学や専門学校への進学率が低くなっています。
世帯の種類 大学・専門学校進学率 母子・父子世帯 41.7% 全世帯 70.7%
教育は一生残る財産ですので、できれば十分なお金を残してあげたいところですね。
独身でも死亡保障の必要性は十分ある
生命保険に入ってない方のなかには、「生命保険に入るのは結婚している世帯や子どもがいる家庭」と考える方もいるでしょう。たしかに、こうした世帯は生命保険に加入する必要性が高いと言えますが、独身で死亡した場合にも死亡保障は役立ちます。
例えば、賃貸住宅に住む独身者が孤独死などの理由で死亡した場合、遺族は賃貸住宅を解約するまでの期間に発生する家賃を負担しなければいけません。
その他、遺体の発見が遅れると、高額な死後整理費用がかかるケースもめずらしくありません。この場合、遺族は生命保険に入ってない家族・親族が死亡ことによる精神的負担だけでなく、経済的な負担までかかる事態になります。
このように、独身者が生命保険に加入するメリットは十分あります。もし、あなたが独身であれば、次の「独身で生命保険(死亡保険)はいらない?FPが解説する保険加入の意味」をご覧ください。独身で生命保険が必要なケース・不要なケースや確保しておくべき保障などを解説しています。
国からの公的な死亡保障も存在する
日本の社会保障は各国と比べても充実していて、国民が死亡して残された家族がいる場合、遺族に対して遺族年金が支給される仕組みになっています。
例えば、民間の生命保険に入ってない方でも、死亡すると遺族年金が発生します。ただし、死亡した人の職業・働き方によって保障される内容が変わってくるため注意が必要です。
この章では、遺族年金の種類や保障対象者などの条件を押さえておきましょう。
遺族年金とはどういう制度?
公的な死亡保障である遺族年金とは、厚生年金保険もしくは国民年金の被保険者が死亡した際に遺族が受け取れる年金です。保障が適用されるのは死亡した方によって生計を維持されていた親族に限られます。
下表では、被保険者の種別ごとに加入する年金をまとめています。自分や家族の年金の加入状況を考えながら、チェックしてみましょう。
被保険者の種別 | 対象者 | 加入している年金 |
第1号被保険者 | 国内に住む20歳以上60歳未満の人。第2号被保険者、第3号被保険者以外の人。 | 国民年金 |
第2号被保険者 | 厚生年金に加入している会社員や公務員の人。 | 国民年金と厚生年金 |
第3号被保険者 | 第2号被保険者の不要に入っている20歳以上60歳未満の配偶者 | 国民年金 |
また遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類に分けられます。加入状況によって受け取れる年金の種類に違いが出てくるため、あらかじめ制度の内容について理解しておく必要があるでしょう。
遺族基礎年金
遺族基礎年金とは受給要件を満たしている国民年金の被保険者が死亡した場合に、国から支給されるものです。
遺族基礎年金が支給されるのは、子どものいる配偶者もしくは子どもです。遺族年金における子とは、以下の条件を満たしている場合を指します。
- 18歳になった年度の3月31日までの間にある
- 20歳未満で障害状態(障害等級1級もしくは2級)にある
- 婚姻していない
子どもが上記の条件を満たしていないと、遺族基礎年金を受給できない場合があるため注意してください。
遺族厚生年金
遺族厚生年金とは厚生年金保険の被保険者であった方が死亡した場合に、受給要件を満たしている場合に限り、国から支払われるものです。
受給者は以下の遺族のうち、一番優先順位が高い人です。
【遺族厚生年金の受給対象者の順位】
- 妻
- 子
- 夫
- 父母
- 孫
- 祖父母
妻の年齢は問われませんが、それ以外の方は年齢の制限があります。遺族厚生年金の受給対象者の順位や要件について詳しく知りたい方は、日本年金機構の参考ページをチェックしてみましょう。
生命保険(死亡保険)は不要か?
ここまでに紹介した国の制度である遺族年金などの存在から「民間の生命保険に入ってない状態でも大丈夫ではないか」と考える人もいるかもしれません。
確かに、もし自分や家族に万が一のことがあっても、遺族年金が支払われるためある程度の保障は受けられます。しかし、公的な死亡保障によって遺族の生活に必要なお金がすべて賄われるとは限りません。日々の生活費に加えて子どもの教育費、いつ発生するか分からない病気やけがによる医療費などもかかります。
ただ、例えば、万が一家族に何かあったときでも柔軟に対応できるほどの貯蓄があるなら、民間の生命保険に入ってない状態でも大きな不安を感じることはないかもしれません。
しかし、まとまった金額の貯蓄や金融資産がない場合は、生命保険に加入していた方が安心できます。基本的には、生命保険(死亡保険)の加入は必須といえるでしょう。
また、生命保険に入ってない方で必要な保障額などがいくらくらい必要か知りたい場合は、以下コラムもあわせてチェックすることをおすすめします。生命保険は自分に合ったものに加入していなければ、メリットを感じることが難しいので保険商品の選び方の参考にしてください。
生命保険の保険料や保障額は平均いくら?データから見るお金の目安
生命保険(死亡保険)に入ってない状態で死亡した場合のまとめ
生命保険に入ってない状態で死亡すると残された家族や親族に精神的な負担だけでなく、金銭的な負担を与えかねません。生命保険に入ってない場合は保険料を支払わなくてすみますが、死亡した際のリスクを考えるとあらかじめ加入しておいたほうが安心です。
公的な死亡保障や貯蓄に頼ることで、死亡後も生計を立てる方法もあります。しかし、家族・親族が将来生活するためにかかる予測しきれない金銭的な負担を考えると、民間の生命保険に加入して必要な保障がある状態の方が良いでしょう。
今回説明した内容を踏まえて、生命保険への加入を前向きに検討している方は、次の「生命保険の正しい選び方」をぜひご覧ください。