生命保険に加入していたり、契約を検討していたりする場合、満期を迎えたときに関する知識を得ておくことが大切です。
本記事では、生命保険の満期に関連する基礎知識を分かりやすく解説します。満期保険金と解約返戻金との違い、保険金の受取りで発生する税金の種類などを確認しましょう。
自分の希望に近い生命保険を契約するために、役立ててください。
※本記事では、生命保険=死亡保険として解説しています。
生命保険が満期になるとどうなる?
生命保険が満期を迎えれば、「ある程度まとまったお金がもらえる」と考えている方もいるでしょう。しかし、満期とは定期型の生命保険の契約期間が満了したことを意味し、通常は今後も契約を継続するを決めて必要な更新手続きを進めるだけです。
ただ、一部の生命保険は満期になったタイミングで満期保険金を受け取れる場合もあります。
貯蓄性のある保険のみ満期保険金が支払われる
保険会社から満期保険金が支払われるのは、貯蓄性がある生命保険のみです。例えば、払い込んだ保険料が積立てられる養老保険では、契約時に定めた金額の満期保険金を受け取れます。
養老保険とはあらかじめ決められた期間、保障を受けられる生命保険の種類です。被保険者が死亡などした場合や満期を迎えた場合に保険金が支払われるため、生死混合保険と呼ばれることもあります。
被保険者が満期日以前に死亡すると「死亡保険金」、満期日を迎えたその後も生存している場合は「生存給付金」を受け取れますが、死亡保険金と生存給付金の金額が同額であることが養老保険の特徴です。
養老保険は年齢が比較的若く、将来の資産形成をしながら万が一に備えて保障を用意したい人などにおすすめです。
学資保険などでも満期保険金は受け取れる
本記事を読んでいる人のなかには「生命保険以外で満期保険金がある保険商品はないか」と探している人もいるでしょう。この場合は、学資保険などの保険商品が適しています。
学資保険とは子供の教育資金を準備できる、貯蓄型の保険商品です。子供の成長にあわせて進学準備金や満期学資金を用意できるのが特徴で、もし保険期間中に契約者が死亡などすると保険料の払込が免除されます。この際、保険料を支払っていない間も保障が継続されるのがポイントです。
学資保険は貯金に苦手意識がある方、確実に将来の学資資金を積てたい方、万が一のことを考えて保障・貯蓄を準備したい方に人気があります。
生命保険の満期保険金の受取額は?
満期を迎えた生命保険の保険金がいくらになるのか、気になる人もいるでしょう。
しかし、生命保険の満期保険金の受取額は、契約している保険内容によって異なります。満期保険金の具体的な金額が気になる場合は保険証券や約款を見たり、保険会社に直接連絡したりして確認しましょう。
なお、公益財団法人 生命保険文化センターが2021年9月に発効した、2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、全生保の普通死亡保険金額は2,027万円が平均となっています。これに対し、年間払込保険料は37.1万円です。
当該数値は、民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、県民共済・生協等の4つの機関が販売する生命保険が対象となっており、定期型の生命保険の満期保険金に限定されたものではありません。
また生命保険によっては、満期保険金と死亡保険金が同額でない場合もあるため、こちらはあくまでも参考程度にしてください。
解約返戻金との違い
生命保険のサイトやパンフレットなどを見ていると、解約返戻金というワードを見かけて「満期保険金と何が違うんだろう」と疑問に思うことがあるでしょう。
解約返戻金とは、生命保険などの契約を途中で解約した際に発生する払い戻しのことを指します。満期保険金と違って、解約手続きをするまでに払い込んだ保険料の全額が返金されない恐れがあります。一般に解約の時期が早いほど、解約返戻金の額が少なくなるのが特徴です。
満期保険金を受け取ったときの税金はどうなる?
生命保険の満期保険金を受け取ると税金が発生しますが、契約内容によって税金の種類が異なります。具体的には以下の通りです。
- 契約者と受取人が同一:所得税・住民税
- 契約者と受取人が異なる:贈与税
それぞれ税率が異なるため「できるだけ税金を抑えたい」と考えているなら、生命保険の契約時に節税に有利な契約者と受取人を設定する必要があります。
ここからは、国税庁「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」を参考に解説していきましょう。
所得税・住民税|契約者と受取人が同じ場合
生命保険の契約者と受取人が同一の場合、満期保険金は基本的に一時所得に分類されます。
ただし生命保険の満期保険金を年金形式で受け取りする場合は、雑所得の課税対象です。1年間で保険会社から受け取った年金の額から、払込保険料を差し引いた金額に対して雑所得が発生します。
一時所得・雑所得ともに所得税・住民税の課税対象であるため、満期保険金の課税金額は以下の計算式で算出されます。
(満期保険金+配当金-払込保険料総額-特別控除50万円)×1/2
生命保険の払込保険料額を差し引いた金額が50万円の以下である場合、所得税・住民税の課税対象外になります。50万円を超える差益がある場合、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%が課税されるルールです。
贈与税|契約者と受取人が異なる場合
一方、生命保険の契約者と満期保険金の受取人が違う場合の課税対象になります。
ただし、贈与税には110万円の基礎控除額が設定されています。そのため、払込保険料と満期保険金の差益が110万円を超えなければ税金は課税されません。
もし110万円を超える場合は、生命保険の満期保険金から110万円の基礎控除を差し引いた金額が課税所得額になります。贈与税額は基礎控除後の課税価格に応じた所定の税率をかけ、さらに控除を行って計算されます。
例えば、親から子の贈与、夫婦間の贈与などで適用される贈与税の一般税率は下表のとおりです。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
贈与税のほうが課税額が高くなる傾向
生命保険の満期保険金にかかる税金の種類を確認した人のなかには「どういう契約にすれば節税できるだろう」と考える人もいるでしょう。結論から言うと、一般に贈与税の課税対象になる契約者と受取人が異なる場合よりも、所得税・住民税が課税される契約者と受取人が同じ場合の方が課税額が少なく抑えられます。
これは課税方式の都合による違いですが、具体例を見ながら比較してみましょう。
例えば、契約者と受取人が同一で、生命保険の満期保険金が300万円、払い込んだ保険料の総額が200万円の場合、一時所得・住民税の計算方法は以下の通りです。
300万円(満期保険金)-200万円(払込保険料の総額)-50万円(基礎控除額)=50万円
50万円÷2=25万円
上記から生命保険の満期保険金を受け取ったことによる課税額は、25万円であることが分かります。所得税は総合課税であるため、給与収入などほかの所得と合計した後に適用される税率が決定される流れです。
一方、同じ条件で満期保険金を契約者と受取人が異なる場合、贈与税の課税価格を求める計算式は次のようになります。
300万円(満期保険金)-110万円(基礎控除額)=190万円
前述の通り、税率はどういった人からお金をもらったかで異なってきます。
いずれにしても、今回のシミュレーションでは贈与税が発生する生命保険の契約よりも、所得税・住民税が発生する契約内容の方が課税価格が少なくなることが分かります。
満期保険金の受け取りがある生命保険を契約する際は、契約者と受取人の設定を慎重に行うことが大切です。
まとめ
生命保険は満期を迎えたら、契約を更新するか選択したうえで必要な手続きをしなければいけません。
また、一部の生命保険は満期を迎えると、満期保険金が支払われます。満期保険金は生命保険を解約したときに発生しうる解約返戻金とは異なり、元本割れが発生しにくいのが特徴です。
満期保険金の受取りによって発生する税金は、生命保険の契約内容によって異なります。契約者と受取人が同一か否かで判断されるため、契約前に慎重な判断を行うことをおすすめします。
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