医療保険とは、加入者全員でお金を出し合い、病気や怪我をした際にかかる医療費負担が大きい人の経済的負担を軽減してくれる制度です。
医療保険は大きく分けて2つ、国の制度である「公的医療保険」と「民間の医療保険」あり、その中でも様々な種類の保険商品が存在します。
就職や結婚、妊娠を機に医療保険への加入を考える人が多いですが、実際には何歳から医療保険に入るのがベストなのでしょうか。
また、子供も入れるべきか悩む方も多いでしょう。
本記事では、医療保険の種類や加入すべき歳について2つの点から解説、子供や若い頃から加入するメリット・デメリットについて分かりやすく説明していきます。
ご自身やお子さんの医療保険加入タイミングを決めるのに是非役立ててください!
医療保険について
初めに「公的医療保険」と「民間の医療保険」の基礎知識、違いを理解しておきましょう。
公的医療保険
公的医療保険は、医療費以外にも出産給付や死亡給付、病気や怪我で働けなくなった際の傷病手当金など多くの給付があります。
3種類の公的医療保険
公的医療保険は働き方や年齢により以下、3種の保険に振り分けられます。
国民健康保険
自営業や農家、フリーターなど会社に所属していない人とその家族
健康保険
正社員やパートなど、会社に勤めている人やその扶養家族
後期高齢者医療制度
75歳以上の人全員
医療費
公的医療保険は、病気や怪我をしたときの医療費を自己負担額1〜3割まで軽減してくれます。
更に1ヶ月の医療費が高額の場合「高額療養費制度」が設けられてます。
高額療養費制度では、収入により定められている自己負担限度額があり、それを超えた分の給付を受け取れます。
民間の医療保険
民間の医療保険は、一般の民間人が経営している保険会社の商品です。
主に公的医療保険でカバーしきれない医療費を負担するのに必要とされています。
公的医療保険の保障対象外例
治療や入院にかかる以下のような費用は、公的医療保険の対象外です。
- 入院時の食事代や個室利用時の差額ベッド代、雑費、日用品購入代
- 保険適用外の治療費や手術代
- 先進医療の技術料
民間医療保険の種類
民間の医療保険は、保障内容や保険期間、支払い期間などに合わせて、あなたに最適な商品を選べます。
保障内容
入院1日あたり〇〇円などの日額型、実際にかかった費用を保障する実費型
保険期間
一生涯保障の終身型、一定期間保障の定期型終身医療保険と定期医療保険の違いをまとめました。
終身医療保険 | 定期医療保険 | |
---|---|---|
保険期間 | 一生涯 | 10〜20年 |
保険料(比較して) | 高め | 安め |
更新 | なし | あり |
貯蓄性(解約返戻金) | 基本なし | なし |
保険料の支払い期間
一生涯支払う終身型、一定期間支払う有期型
その他
死亡リスクなども保障する総合型、持病がある方も加入しやすい引受基準緩和型
何歳から何歳まで入れる?
そもそも医療保険は何歳から何歳まで入れるのか把握しておきましょう。
保険商品によって変わりますが、0歳から加入できるものが一般的で、保険加入の上限は70〜80代までのものが多いです。
他にも6歳からや16歳から、18歳からのものなど様々な種類が存在します。
早くから医療保険に加入するのに、年齢的制約はあまり大きくないので心配する必要はないです。
何歳から医療保険に加入すべきか
これまで医療保険の基礎知識を紹介しましたが、結局何歳から医療保険に加入するのがベストなのでしょうか?
医療費助成制度と入院率、2つの視点から見ていきましょう。
医療費助成制度
医療費助成制度は各自治体により運営されていて、若年者や障害者などの医療費負担が比較的重くなる人を対象に、一定の医療費負担を軽減してくれます。
医療保険の加入は医療費助成制度の対象から外れる、16歳から20歳がおすすめ。
基本的には、中学生以下の医療医助成は充実しているところが多いため、その年齢を超える16歳頃からの加入が妥当です。
自治体により、基準は異なるので自分の住む市区町村の助成制度について調べる必要があります。
入院率・外来受療率
以下、性別・年齢階級別の受療率(人口10万対)をまとめました。(令和2年10月)
入院 | 外来 | |||
---|---|---|---|---|
年齢階級 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
0歳 | 1155 | 971 | 7403 | 7185 |
1 ~ 4 歳 | 153 | 115 | 6540 | 6103 |
5 ~ 9 歳 | 79 | 64 | 5078 | 4540 |
10 ~ 14 歳 | 106 | 92 | 3300 | 3328 |
15 ~ 19 歳 | 121 | 126 | 1993 | 2372 |
20 ~ 24 歳 | 128 | 156 | 1782 | 2885 |
25 ~ 29 歳 | 142 | 258 | 1867 | 3563 |
30 ~ 34 歳 | 165 | 331 | 2149 | 3977 |
35 ~ 39 歳 | 215 | 301 | 2300 | 4074 |
40 ~ 44 歳 | 278 | 267 | 2760 | 4220 |
45 ~ 49 歳 | 387 | 302 | 3063 | 4444 |
50 ~ 54 歳 | 551 | 404 | 3602 | 4977 |
55 ~ 59歳 | 776 | 551 | 4368 | 5856 |
60 ~ 64 歳 | 1064 | 730 | 5509 | 6702 |
65 ~ 69 歳 | 1444 | 983 | 7369 | 8500 |
70 ~ 74 歳 | 1797 | 1318 | 9165 | 10083 |
75 ~ 79 歳 | 2461 | 1997 | 11132 | 11843 |
80 ~ 84 歳 | 3440 | 3088 | 12077 | 11685 |
85 ~ 89 歳 | 4795 | 4546 | 11308 | 10411 |
90 歳以上 | 6706 | 6673 | 9667 | 9107 |
この表を見て分かる通り、女性は20代頃から、男性は30代後半頃から病気や怪我のリスクが高くなっています。
女性は20歳頃には医療保険に加入すべき
20歳頃から女性の入院率が上昇している理由としては、主に妊娠や出産だと考えられます。
医療保険では、自然な妊娠・出産にかかる医療費は保障されません。
しかし、帝王切開や妊娠・出産に伴う感染症などの病気は、保障が適用される場合もあります。
男性は遅くても30歳までには医療保険に加入すべき
表の数字が物語っているように、男性も30代からは入院率が上昇しています。
男性は女性の妊娠といってような要因はありませんが、両者共歳を重ねるごとに病気や怪我のリスクが高まるのは事実です。
何か持病を持ってしまってからだと保険料が上がるだけでなく、医療保険に加入できなくなる可能性も。
若いときから加入するメリット・加入しない理由
次に若いうちから医療保険に加入する上でのメリット、デメリットを確認しておきましょう。
若いうちに加入するメリット
若い頃から医療保険に加入するメリットは以下のようなものがあります。
- 保険料が低くなる
- 加入できないリスクが減る
- 万が一の事故や怪我に備えられる
それぞれ詳しく解説していきます。
保険料が低くなる
保険は、公平な危険分担となるよう年齢・性別に応じた保険料が算出されています。
若者の方が病気や怪我のリスクが少ないため、保険料が低くなります。
例えば終身医療保険に加入すれば、一生涯にわたって保険料を抑えた金額での継続が可能です。
ものによって加入時期が1年違うだけで100円もの差が生まれ、長期にわたって払い続ける場合には、大きな差が生まれます。
定期医療保険は更新の度に保険料は上がりますが、早期に加入すれば保険料を安くできるのは事実です。
加入できないリスクが減る
医療保険に加入する際、告知や医師による診察などで、持病や入院歴がないかなどを確認しないといけません。
持病や手術歴があったり、健康状態が悪いことなどがわかると、保険に加入できない恐れがあります。
もし加入できても高い保険料の商品や条件付き(部位不担保など)にしか加入できなくなることも。
若く健康な時から、医療保険へ加入しておけば、将来加入できなくなる心配をする必要がなくなります。
万が一の事故や怪我に備えられる
医療保険は病気やケガに備えるための保険ですが、病気やケガはいつ起こるかわからないため、早めに備えておくと安心です。
若い世代は、比較的収入が少ないため、突然の大きな医療費に備えられている人はあまりいません。
人によっては、小さい子どもを持つ立場にある人もいるのではないでしょうか。
若くから医療保険に加入しておけば、充実した治療を受けられたり、家計への影響を最小限に抑えられるメリットがあります。
若いうちに加入しない理由
若い頃から保険へ加入しない主な理由は、次にようなものが挙げられます。
- 保険金を利用せずに終わることも
- 保険料が負担に
事前に理解しておく点を紹介します。
保険を利用せずに終わることも
若いうちは比較的、入院や怪我のリスクが低いため、保険金を利用することなく終わることもあります。
そこで必要性を感じないからといって、保険料が勿体ないと考える方もいるでしょう。
ただし、そのまま加入していれば、将来の保険料が安く抑えられ、万が一にも備えられるのが医療保険です。
保険料が負担に
早くから加入するほど月々の保険料は安くなりますが、その出費自体が負担に感じる若者も少なくありません。
長い目で見ると、早くから初めておいた方が後の負担が軽くなったり、一生涯で払う医療保険料を抑えられるので一長一短です。
子供も保険への加入をおすすめする理由3つ
子供は公的医療保険制度も充実していて、病気や怪我のリスクが低いため医療保険の必要性は低いと思われがちです。
しかし、子供が民間の医療保険に加入するメリットは大いにあります。
そこでここからは、子供の頃から医療保険に入るメリットを3つ解説します。
⒈ 公的医療保険が適用なれない可能性が
子供が医療保険を使用する確率は低いとは言え、万一への備えてとして加入するのがおすすめ。
公的医療保険では、子供本人の実質医療費の負担のみ軽減されます。
付き添いの親が必要になる交通費含めた諸費用は、保障の対象外のため全て自分で負担する必要があります。
もし、親が子供の入院に付き添いする際、親も寝泊まりできる個室に入院する際に発生する簡易ベットや食費は全額負担です。
共働きのご夫婦で、仕事を休む必要がある場合、収入が減る可能性もあります。
また、子供のための治療であるからといって全て保障対象になる訳ではありません。
開発中の先進治療や治験を使用するのに必要な費用は負担されないのです。
そんなときに、子供が保険に加入していれば経済的な負担の緩和に繋がります。
⒉ 持病による加入不可のリスク
保険商品を契約する際、過去の病歴や持病の有無を確認する必要があります。
生まれた時は特に問題がなくても、社会人になってから異常が見つかったり、成長してから持病が発覚することもあるので注意。
持病や既往症の方も加入しやすい商品も多々存在しますが、選択肢の幅が狭まることは事実です。
子供のうちから最適な保障内容が揃った医療保険に加入しておくことは、将来への投資になります。
⒊ 子どもが大人になった時のギフト・プレゼント
医療保険を子供にプレゼントすると耳にしたことはありませんか?
ほとんどの医療保険は掛捨てタイプですが、途中解約すると解約返戻金があるタイプの医療保険もあります。
保険料は多少上がりますが貯蓄と保障を兼ねて備えられる保険です。
契約者を子供名義で、終身型の医療保険を払済みにすることで、子供に保険料負担のない保障だけをプレゼントできます。
保障のみのプレゼントだけでなくても、安いうちに加入し保険料を固定したまま、成人してから引き継ぐだけでも、子供からすれば嬉しいギフトです。
また、契約者を祖父母、保険の対象者を孫とすることで、保障を兼ね備えながら相続対策や贈与として活用するようなケースもあります。
医療保険加入時期のまとめ
人は皆、何歳からでも病気や怪我を負うリスクは持っています。
その万が一に備えるのが医療保険です。
医療保険は早く入るほど、金銭的にも保障的にもメリットが高くなります。
では、何歳から加入すればいいのでしょうか。
公的医療保険では保障されないものがあったり、後に加入できなくなる可能性を考えると0歳からでも入れる医療保険に加入しておくのが理想的です。
大人になって医療保険の加入を悩んでいる方は、病気や怪我のリスクを考え20代のうちに加入しておくことをおすすめします。
ただし女性の場合は、人生の一大イベントでもある出産前までには医療保険へ加入しておきましょう。
医療保険は一生涯お付き合いするもの。
一度契約を切ってしまうと、再加入時に保険料が跳ね上がる可能性もあるので、初めからプロに相談し自分に合った保険商品を選ぶのも大切です。