「60代になっても医療保険は必要なのだろうか」というお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
60代で医療保険に加入する場合、不安を軽減できるというメリットの一方で、保険料や待機期間などの面でデメリットもあります。
メリット・デメリットや必要性をじっくりと検討した上で、加入すべきかどうか判断することが大切です。
この記事では、医療保険の加入前に知っておきたい基礎知識や60代の医療保険加入率、60代で加入する必要性やメリット・デメリットなどを解説します。
医療保険に加入する際に確認すべきポイントも解説しますので、ぜひ本記事を参考に最適な医療保険に加入しましょう。
加入前に考慮すべき基礎知識!保険と特約の種類
自分に合った医療保険に加入するためにも、保険や特約の種類を押さえておくことが大切です。
ここでは、終身・定期保険の違いや付加できる特約の種類について解説していきます。
終身と定期保険の違い
医療保険は大きく分けて「終身医療保険」と「定期医療保険」の2種類があります。
終身医療保険とは、一生涯に渡って保障が継続するタイプの保険です。
契約時点での保障内容や保険料が生涯続くため、途中で保障内容が少なくなったり、保険料が高くなったりする心配がありません。
定期医療保険は、10年・15年などの一定期間の保障を備えるタイプの保険です。
満期を迎えても保障を継続したい場合は更新することで引き続き契約できます。
ただし更新時点の年齢で保険料や保障内容が設定されるため、更新前よりも保険料が高くなる可能性があります。
それぞれの特徴を理解した上で、自分に合ったタイプの医療保険を選びましょう。
付加できる特約の保障内容
特約とは、メインとなる主契約に任意で上乗せできる保障のことです。
通常の保障内容だけでは足りない場合に、特約をオプションで契約することで不足分を補うことができます。
医療保険の特約は、主に以下のような種類があります。
入院一時金特約 | 病気やケガで入院したときに一時金が支給される。日帰り入院でもまとまった金額を受け取れる。 |
---|---|
通院給付金特約 | 入院後に通院をした場合に給付金が支給される。 |
がん診断給付金特約 | がんと診断された場合に一時金が支給される。 |
三大疾病特約 | がん、心疾患、脳血管疾患によって入院・手術などをした場合に一時金が支給される。 |
女性疾病特約 | 乳がんや子宮がんなどの女性特有の病気で入院・手術をした場合に、通常の給付金に上乗せして支給される。 |
先進医療特約 | 厚生労働大臣が認める「先進医療」によって治療を受けた場合に、一時金が支給される。 |
上記のような特約を自由に組み合わせることで、自分にとって最適な医療保険プランを作成することができます。
特約の内容を確認し、自分に必要な特約を上乗せしましょう。
他の60代の人はどのくらい医療保険に加入している?
自分が加入すべきか判断するにあたり、同年代の人がどの程度加入しているかという点も気になるところです。
同じ60代の人の医療保険加入割合を確認しましょう。
年代別の医療保険加入率
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度『生活保障に関する調査』(2023年3月発行)」によると、「疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入」している人の年代別の割合は以下の通りです。
年代 | 加入率 |
---|---|
18〜19歳 | 19.0% |
20歳代 | 35.7% |
30歳代 | 67.7% |
40歳代 | 71.6% |
50歳代 | 75.3% |
60歳代 | 71.6% |
70歳代 | 61.5% |
参考:公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」
若い世代の加入率はそこまで高くありませんが、年齢を重ねるごとに加入率は上がっています。
60代の方は7割以上が加入しており、ケガや病気のリスクに備えている方が多いことが分かります。
60代で加入している人が多い理由!医療保険の必要性
先ほどご紹介した通り、60代の方は医療保険の加入率が7割を超えています。
60代で医療保険に加入している方が多い理由として、主に以下の2点が挙げられます。
- 健康リスクに伴い、医療費増加のリスクも上がる
- 家族の経済的安全を考慮
それぞれの理由を確認していきましょう。
健康リスクに伴い、医療費増加のリスクも上がる
年齢を重ねていくと、ケガや病気のリスクは高まっていきます。
その分医療費も増加していく可能性が高くなるため、医療保険に加入して保障を備える方が多くなっています。
厚生労働省が発表した「令和2年(2020)患者調査」によると、30〜79歳までの方の年齢階級別の入院率(人口10万対)は以下の表の通りです。
年齢階級 | 入院率(人口10万対) |
---|---|
30~34歳 | 246 |
35〜39歳 | 257 |
40〜44歳 | 273 |
45〜49歳 | 345 |
50〜54歳 | 478 |
55〜59歳 | 664 |
60〜64歳 | 895 |
65〜69歳 | 1207 |
70〜74歳 | 1544 |
75〜79歳 | 2204 |
年齢を重ねるとケガや病気で入院をする割合が高くなっていくことが分かります。
こうした健康上のリスクに備えるためには、医療保険に加入しておく必要があります。
家族の経済的安全を考慮
60代の方の多くが医療保険に加入しているもうひとつの理由として、家族の経済的安全を考慮しているという点も挙げられます。
万が一のケガや病気の際に、経済面で家族に負担をかけないように医療保険で保障を備えている方が多くなっています。
60歳以降になると退職するケースが多く、主な収入源が年金だけという方は少なくありません。
こうした状況で入院・手術となってしまうと、家族に対して経済的に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
家族の経済的安全を守るために、医療保険で入院・手術にかかる費用を準備しておくという考え方はとても大切です。
60歳以降に加入するメリット・デメリット
ここまで60代で医療保険に加入する必要性を解説してきましたが、60歳以降で医療保険に加入する場合はメリットとデメリットがあります。
それぞれ把握した上で、自分が加入すべきかどうかを判断しましょう。
経済的負担・精神的不安の両方を軽減してくれる
60歳以降で医療保険に加入するメリットは、経済面での負担と精神面での不安を両方軽減できるという点です。
前述の通り、60歳以降になると主な収入源が年金だけという方は多く、ケガや病気による入院・手術の費用は経済的に大きな負担になる可能性があります。
医療保険で給付金が支給されれば、経済的な負担を軽減させることが可能です。
また、民間の医療保険に加入していることで治療の選択肢が増えるケースもあります。
通常、高度な技術を必要とする「先進医療」による治療は公的医療保険の対象外であるため、先進医療の技術料は全額自己負担をしなければなりません。
場合によっては数百万円以上かかるケースもあるため、自分で支払えない場合はあきらめてしまうケースもあるでしょう。
しかし医療保険で「先進医療特約」を付加していれば、先進医療にかかる技術料もしっかりカバーできます。
あらかじめ治療の選択肢を増やしておくことで、万が一先進医療が必要になったときでも安心して治療に専念できます。
このように経済的な負担を軽減しつつ、万が一の精神面での不安も解消できる点が60代から医療保険に加入するメリットです。
保険料が高く、新規加入できない可能性も
60歳以降で医療保険に加入するデメリットは「保険料の高さ」と「新規加入ができないリスク」です。
医療保険は年齢を重ねるごとに保険料が上がっていく仕組みになるため、60代で加入しようとすると高額な保険料になる可能性があります。
経済的な負担を軽減させる医療保険に加入しているのに、月々の保険料が負担になってしまうというのは本末転倒になるため注意が必要です。
また、医療保険は持病があったり、既往症があったりすると新規で加入できないケースがあります。
加入できても「特定の部位だけは保障の対象外」など、満足の行く保障を受けられない可能性があるため注意しておきましょう。
なお、すでに終身医療保険に加入している場合は、保険料・保障内容ともに一生涯変わりません。
医療保険に加入する際の確認ポイント
医療保険に加入する際、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 保障内容と保険料のバランス
- 持病や既往症の影響
- 特約などのオプションや付加サービス
各ポイントをしっかりと確認し、自分に合った医療保険を選びましょう。
保障内容と保険料のバランス
医療保険に加入する際は、保障内容と保険料のバランスが取れているかよく確認しましょう。
60代になると健康上のリスクを不安に感じ、手厚い保障を備えたいと考える方も多いでしょう。
しかし保障内容を手厚くすると、その分保険料が高額になって月々の負担が大きくなってしまいます。
日本では公的医療保険制度も充実しており、民間の医療保険はそこまで手厚くする必要がない場合が少なくありません。
過不足のない保障内容を考え、できるだけ保険料の負担を抑えられるように工夫しましょう。
最適な保障内容と保険料のバランスが分からない場合は、保険の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談することをおすすめします。
持病や既往症の影響
前述の通り、持病や既往症があると医療保険に加入できない場合があります。
あらかじめ持病・既往症による契約への影響を確認しておきましょう。
例えば、通常よりも高い保険料を支払うことになったり、特定の疾患が保障の対象外になったりする場合があります。
また、一定期間に保険金支払事由が発生した場合に、通常よりも保険金が少なくなるケースもあります。
事前にどういった影響があるのかを確認し、条件付でも加入すべきかどうか判断することが大切です。
また、持病・既往症の影響で通常の医療保険に加入できない場合は、引受基準緩和型・無選択型といった医療保険の選択肢があります。
契約時の告知項目が通常よりも少なかったり、そもそも健康状態の告知が無かったりするため、持病・既往症があっても加入しやすい医療保険です。
ただし引受基準緩和型・無選択型は通常よりも保険料が高く、保険金も少ないケースがほとんどであるため注意が必要です。
特約などのオプションや付加サービス
医療保険を選ぶ際は、特約でどういった保障を上乗せするかも考えておきましょう。
医療保険にはさまざまな特約が用意されており、複数契約することもできます。
がんに不安がある場合は「がん特約」、女性特有の病気に手厚く備えたい場合は「女性疾病特約」など、自分の希望に沿った医療保険プランが設定可能です。
ただし特約も契約するほど保険料が高くなっていくため、とにかく手厚くすれば良いというわけではありません。
必要最低限の特約を選び、自分に合った保障プランを設計しましょう。
記事のまとめ
60代の医療保険加入率は7割を超えており、健康リスクに伴う医療費増加や家族の経済的安全に備えている方が多いことが分かります。
一方で、保険料が高くなったり、健康状態によって保険に加入できなかったりというデメリットもあるため注意が必要です。
医療保険に加入する際は、保障内容と保険料のバランスを確認した上で、必要な特約を上乗せすることが重要です。
本記事でご紹介したポイントを参考に、60代の最適な医療保険選びを実現させましょう。
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