医療保険の受取人が本人以外の場合の注意点!契約手続きや税金はどうなる?

医療保険の受取人・本人以外の場合の注意点・契約手続きと税金はどうなる?

医療保険の受取人・本人以外の場合の注意点・契約手続きと税金はどうなる?

医療保険

医療保険は、公的な保険の場合、本人が医療サービスを受給し、窓口では自己負担分を支払うので、本人が受給する決まりになっています。

民間の医療保険は、給付金・保険金について、保険会社から支払いがある場合に、受取人が本人以外となることがあります。

しかし、保険のルールで誰でも受け取れるわけではありませんし、また他の人が給付金や保険金を受け取る場合も、手続きとルール、そして、保険料や受け取った給付金や保険金に関する税金などの留意点があります。

そこで、この記事では、医療保険の受取人についてのあらましと、本人以外の人が受け取るときの留意点をまとめてみました。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

がん保険・入院保険など、個人向け医療保険の給付金は、本人が受取人になるのが原則

がん保険・入院保険など、個人向け医療保険の給付金は、本人が受取人になるのが原則

個人向け医療保険の給付金は、受取人が本人であるのが原則で、例外的に家族による受取が認められます

その理由ですが、他人が受取人になると、本人の病気やけがの際に、第三者が得をするようなことは倫理的に問題があること、そして保険事故を誘発させる恐れがあると考えられていることです。

したがって、がん等の疾病の場合や手術等の一時金や、入院給付などの医療保険の給付金は、原則として本人が受け取ります。

受取人が本人以外となる場合・契約の種類に応じて、こんな場合なら許される

受取人が本人以外となる場合・契約の種類に応じて、こんな場合なら許される

個人向けの医療保険の給付金・保険金は、本人以外、家族の受取が許される場合がありますが、これは契約および契約者・保険金・給付金の保険会社から支払われるお金の種類により、家族の受け取れる理由や、考え方が違います。

なお、医療保険では、本人の医療にかかるコストの必要性に対して給付されるお金を「給付金」、死亡時・高度後遺障害・満期の場合に受け取るお金を「保険金」と呼んで用語を区別しています。

本人が契約者の場合の保険契約では、給付金を指定請求代理人が請求、受け取ることができる

本人が契約者の時の受取人は本人であることを原則としています。

しかし、本人契約の、医療保険の給付金については、病気やケガの程度によっては、本人が請求できない場合があるので、指定請求代理人という制度で、本人以外が受け取れます。

本人が例えば病気で入院し、請求ができないときに、指定請求代理人が給付金の請求手続きを行い、また、給付金の受取を行います。

死亡・後遺障害保険金は、受取人として指定した方が請求、受け取ることができる

また、医療保険の死亡・後遺障害保険金は、受取人を指定することができます。

給付金の指定請求代理人と、保険金の受取人はおおむね以下の範囲で指定ができます。

  • 配偶者
  • 1親等(親・子)
  • 2親等(祖父母・兄弟・姉妹・孫)

保険会社によっては、医療保険の被保険者の死亡時等に3親等・同性のパートナーにも死亡保険金等の受取人となることを認める場合が見られます。

死亡時等には、本人が受け取り、受取人に移転する、という考え方をせず、受取人を契約で指定するようになっています。しかし、税務上は後程説明する通り、保険金は相続税の対象となることに留意が必要です

家族が契約者の場合の保険契約

これに対して、夫が医療保険契約者であり、被保険者が妻や子供の場合など、家族が契約者となることは許されており、なおかつ、給付金の受取人を契約者とすることは可能です。

保険金も同様に、配偶者や子供などの家族を受取人とすることが可能です。

家族の医療保険契約も、指定請求代理人や、受取人が一定の範囲に限られているのと同様、一定の家族の範囲に限って契約することが可能です。

法人医療保険の場合

法人医療保険の場合

上記では、個人向けの医療保険の契約について説明しましたが、医療保険には、法人向けの医療保険があります。

法人医療保険は、契約が法人になりますが、この場合は、契約者である法人が受取人になります。

個人の受取人に制限があるのにくらべ、少し規制が緩いように見えますが、法人医療保険は、個人の場合と、その目的が異なっており、法人に契約・受け取りを許すことには合理的な理由があります。

役員向け・従業員の福利厚生向け医療保険では受取人が法人の場合が一般的

法人医療保険は、主に次の目的で設計され、利用されている保険です。

  • 役員が病気・事故で働くことができない場合の、法人の損失を補う
  • 従業員が病気・事故で働くことができない場合に、金銭的に支援する福利厚生の制度

役員向けの医療保険の場合、役員の退職まで会社が保険料を支払い続け、その後個人の契約に変更し、終身保険として利用するのが一般的です。

保険料が高額になりますが、役員に万が一のことがあった場合に、法人を不足の損失から守る意味があります。

これに対して、従業員の場合は、医療保険の保険料が比較的に低額な定期金払いしておき、会社から病気の見舞金などの名目で支出することが一般的に行われています。

福利厚生規定などの規定により、一部の従業員に対する利益供与にしないように、すべての従業員に対して給付する制度にしておきます

医療保険、受取人が本人以外の時、税金がポイント

医療保険、受取人が本人以外の時、税金がポイント

医療保険は、受取人が本人になる場合は、税金の取り扱いがポイントになります。保険料・受け取る給付金・保険金双方のポイントについて解説します。

保険料について

保険料については、年末調整・確定申告の際に、介護医療保険料控除の一部として、医療保険料の控除を受けることができます。

本人の契約、受取人が本人の場合

この場合は、本人の年末調整または確定申告の際に、介護医療保険料控除として保険料を控除額として、所得から控除することができます。

家族が契約者、受取人が家族の場合

この場合は、保険料の支払いを行っている家族の年末調整または確定申告の際に、介護医療保険料控除として、保険料を控除します。受取人の所得からの控除はできません。

所得税・住民税の控除がそれぞれ可能ですが、他の保険料と合算しての控除上限額・各保険料の控除上限額が次の通り決まっています。

所得税 住民税
一般生命保険料 40,000円 28,000円
介護医療保険料 40,000円 28,000円
個人年金保険料 40,000円 28,000円
合算適用限度額 120,000円 70,000円

年末調整・確定申告の際に保険会社から保険料を控除するために作られる書面である控除証明書が送付されますので、年末調整、または確定申告書に添付のうえ手続きを行います。

法人の契約の場合

法人の契約の場合も、保険料には税法上認められる限りの税制上の特典があります。通常、法人医療保険料は、1事業年度の払込保険料が30万円以下の場合は全額の損金算入が可能です。

個人の契約では保険金について、相続税・贈与税が問題になる

個人の契約では保険金について、相続税・贈与税が問題になる

個人で保険契約をし、給付金(疾病・入院・手術)を受け取った場合は税金がかかりません

本人が受取人の場合も、家族の受取人の場合も、非課税です。

また、高度障害保険金の場合も、税金はかかりません。

ただし、無疾病お祝い金等のお祝い金になると、課税所得となります。

これに対して、死亡保険金の場合には、相続税または贈与税、さらに、家族の契約の場合には、所得税の問題となることがあります。

受取人と契約者をどのようにしておくと、税務上は有利と考えられるでしょうか。

死亡保険金が相続税の課税対象となる場合

死亡保険金は、いったん亡くなった方の「みなし相続財産」として、相続財産の一部として取り扱われます。

そこでさらに、受取人として指定された方の相続税の課税対象となります。

ただし、相続税は、一定の範囲で、税制上の優遇措置があるため、保険金が相続税の課税対象になっても、最終的に相続税を支払うかどうかは別の問題です。

死亡保険金は、遺族の生活保障のためのお金ですので、一定の死亡保険金が非課税になることが税法上決められています。

そこで、死亡保険金は「500万円 X 法定相続人の人数」非課税金額となります。

また、配偶者には、より大きな相続財産控除が認められていますので、多くの場合で、結果的に死亡保険金が非課税になります。

したがって、契約者が死亡の場合に、相続人である配偶者を医療保険の受取人にすると、万が一の備えが税金で小さくなるという心配は大きくありません。

死亡保険金が所得税の課税対象となる場合

家族を被保険者にし、受取人が死亡保険金を受け取った場合は、死亡保険金が所得税の対象となります。

一時所得として課税されるので、相続税よりも大きな負担となる可能性が高いといえるでしょう。

死亡保険金が贈与税の課税対象となる場合

契約人と、被保険者と、受取人がすべて違う場合は、贈与税がかかるので注意が必要です。

このように考えるのは、いったん、契約者に入るべき保険金をさらに受取人に贈与としている、と考えるからです。

契約者夫、配偶者である妻死亡の場合に、子供を受取人にすると、贈与税がかかることがあります。

したがって、この場合夫を受取人にしておく方が税務上はより有利になります。

以上をまとめると、税目は3種類あります。

可能な限り、税目としては相続税がかかるようにしておくと、万が一の死亡保険金の受け取りの場合は、税務上の取り扱いが有利になると考えられます。

死亡保険金について、契約と、受取人の関係から、適用される税目をまとめると以下の通りです。

契約者≠受取人 かつ、受取人=法定相続人 相続税
契約者=受取人(家族が被保険者) 所得税
契約者≠被保険者≠受取人 贈与税

法人の契約は死亡保険金は原則益金となる

法人の契約は死亡保険金は原則益金となる

すでに少しご説明しましたが、医療保険の中でもがん保険などを役員の休業補償(会社に対する関係で)、従業員の福利厚生に利用するケースが実務上多くあります。

このうち、医療保険の被保険者が役員である場合、会社の損失を補填する目的となります。

これに対して、被保険者が従業員の場合は、万が一の医療保険の死亡保険金の受け取りは、法人が行うことが多いのです。

法人にとっては益金に全額算入されますが、もしも直接遺族に給付するようなことがあると、一時所得として所得税がかかってしまいます

さらに、法人から、従業員の家族として見舞金として給付した場合は、見舞金は社会通念上相当な範囲で、非課税となります。

まとめ

医療保険の保険金、特に死亡保険金の場合、受取人が遺族の場合、相続税・贈与税・法人税・所得税がかかることに注意しましょう。

契約者が誰であるか、受取人と契約者が同じか、違うかによっても変わりますので、契約時に注意が必要です。

また、万が一の請求の手続きをどうするかも、何も起こっていない間に、受取人には十分共有し、いざというときに備えておきましょう。

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