40歳になり、介護保険を支払い始めると、「いつまでこれは支払うのだろうか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、介護保険料は、終身払いがその特色です。保険料を終身払いとすることで、高齢化社会での介護のニーズを満たす原資を確実に、そして公平に確保しています。
そのため、保険料を徴収する方法や、保険料の決定の仕方には、確実で公平な徴収を行うために、工夫が施されています。
また、高齢者が終身払いをし続けるということにも配慮がなされています。
介護保険料、いつまで払う?支払いとその仕組みとは?
介護保険の仕組みは、年齢により被保険者を2種類に分けます。
介護保険料の支払いも、この2種類の被保険者の種別により、異なっています。
第1号被保険者の保険料・徴収方法は年金から天引き【特別徴収】
65歳以上の第1号被保険者の場合、介護保険料は、一部納付書で支払う方以外、通常年金から天引きされ、市町村・特別区に徴収されます。
年金が受取り口座に入るときには、すでに保険料が徴収されているのです。
老齢基礎年金や老齢厚生年金から介護保険料は天引きが原則とされ、ほとんどの方が納付書を使いません。
健康を損なっている可能性も高い高齢者が交通機関を使って、介護保険料の払い込みに行くのは負担が大きいと思われ、年金からの天引きのほうが負担は軽いからということが主な理由です。
また、ほとんどの高齢者が年金を受給する中で、介護保険料の徴収をできるだけ確実にするためという理由もあります。
第1号被保険者の保険料決定の仕組み
第1号被保険者の場合、保険料決定の仕組みは、自治体ごとに異なっています。
自治体で、現役世代と、高齢者世代の人口比率も異なっていますし、介護保険料でどれだけの費用が賄えるかもばらつきがあります。
そこで、一定の範囲でですが、自治体ごとに介護保険料の決定の仕組みを柔軟に変えてよい制度になっています。
「基準額」と、課税所得の額によって介護保険料が決まりますが、どれくらいの区分に分かれるかは自治体ごとに違っており、細かく段階分けされています。
この段階分けは、国の定める指針では9段階ですが、東京の特別区の各自治体では16段階に分けられているところもあり、よりきめ細かく公平に介護保険料を決められるようにしています。
介護保険料の算出式は、次の通りです。
基準額×所得別の係数(例:0.375~6に分かれている)=保険料年額
第1号被保険者の扶養家族はどのように保険料が決まる?
第1号被保険者の扶養家族は、扶養家族が65歳以上と、40歳以上65歳未満で取り扱いが異なります。
65歳以上の扶養家族の場合、本人が本人の介護保険料として負担します。これに対して、40歳以上65歳未満の被扶養者は、扶養義務者の健康保険を基に算出、扶養義務者が保険料を支払うこととなります。
第2号被保険者の保険料・徴収方法は給与から天引きの【特別徴収】と【普通徴収】の2種類
40歳以上64歳以下の現役世代の被保険者は、医療保険の一部として介護保険を支払いますが、保険の加入先に納付します。
給与所得者なら、40歳の誕生月から給与天引きにより特別徴収されます。
一方、40歳以上の自営業の方などは納付書で支払う普通徴収の場合もみられます。
第2号被保険者の場合・保険料決定の仕組み、
保険料の決定も、第2号被保険者の場合は、医療保険の仕組みに従います。
社保の場合
会社員の場合、多くが組合健保に加入しますが、その場合の介護保険料の計算式は以下のとおりです。
1ヵ月当たりの介護保険料=(標準報酬月額+標準賞与額)×介護保険料率
ここで、介護保険料率は、1.73%とされています。
標準報酬月額とは、税引き前の給与を健康保険の所得に区分した金額のことをいい、標準賞与は、賞与の総額から1000円未満の端数を切り捨てたものをいいます。
国保の場合
自営業者などが加入する国民健康保険の場合は、介護保険料の金額は、「所得割額」「均等割額」「平等割額」「資産割額」という4つの項目を基に算出されます。
通常は、所得を基に算出した所得割額と、均等に負担する均等割額の合計が、国民健康保険加入のうち多くの方の年間納めるべき介護保険料となり、そのほかの項目は、自治体ごとに計算の方法が異なります。
所得割の計算は、総所得から基礎控除を引いて(確定申告の時の基礎控除額と同じです)一定の保険料率を掛けます。
介護保険料率は自治体ごとに異なります。計算式は下記のとおりです。
(総所得-基礎控除額)×介護保険料率=所得割額
正確な計算方法と、保険料の額を具体的に知りたい場合には、直接お住いの自治体の介護保険課に確認してみましょう。
第2号被保険者の扶養家族はどのように保険料が決まる?
第2号被保険者の扶養家族の保険料も、健康保険により決定されます。
40歳以上から支払いの義務が生じるので、扶養家族が40歳以上になると、扶養義務者が加入する健康保険の基準で決定された保険料を支払います。
介護保険料はいつまで払う・後期高齢者や要介護になっても支払う
介護保険料は終身払いですので、亡くなるまで支払い続ける必要があります。
時々誤解があるのですが、75歳以上の後期高齢者医療制度の適用対象となった場合や、要介護認定を受けた場合でも、支払い義務が免除はされないことに注意しておきましょう。
民間の介護保険の中には、要介護状態になったら介護保険料を支払わなくてよい、といった商品がありますが、公的介護保険ではそういう仕組みにはなっていないのです。
保険料、支払いに困ったら?
長い人生の中には、様々な理由で、お金の支払いが苦しくなることがあります。
納付書払いの場合で、天引きがなされず、かつ、保険料の支払いが難しくなってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
支払義務の免除は原則なし・65歳以上は、生活保護でも支払い
支払い義務の免除は原則ないのが介護保険制度です。所得に応じて、額が変わるので、応分の負担を求められています。
65歳以上の生活保護の方も、生活保護の扶助料に介護保険分の上乗せがあるので、介護保険料を支払っています。
ただし、40歳~64歳の生活保護の受給者は、介護保険に加入をしていないことになっています。
この間に特定疾患により、要介護状態になったため、介護サービスを受ける場合は、みなし第2号被保険者として、サービスをうけることができます。
一方、生活保護の申請はしていないが、生活が急に生活保護のレベルにまで苦しくなってしまった方への支援制度(境界層措置)による減額を申請するなどの方法があります。
また、国の施策や、自治体によって、災害などによる各種保険料などの減免が認められることなどもあり、介護保険料が対象となりうることも知っておきましょう。
自営業の方などは納付忘れに注意・普通徴収の場合の注意点
普通徴収は、納付書で行うことになります。
納付書をなくした、あるいはまったく存在を忘れてしまった、といった理由で滞納となってしまった、という場合も生じています。
特に、自営業の方などは、40歳の誕生日の前に通知・納付書が届くことに注意しておきましょう。
保険料の滞納・介護保険で受けられるサービスが利用できなくなる?
保険料の滞納があっても、サービスを受けられるのが介護保険の特徴です。
ただし、サービスにかかる費用の自己負担分が大きく増えてしまうのです。
介護保険は、原則として65歳からサービスを受けることができ、例外として40歳以上の保険加入者も、特定疾患を原因とする場合には介護サービスを受けることができます。
どちらの場合も、要介護認定を受けることがサービスを受ける条件です。
保険料を滞納すると、サービスにかかる自己負担額が増えてしまうのがペナルティの内容です。
ペナルティは、金銭的ペナルティとして、お金を支払うことが中心となり、次のように定められています。
- 滞納の場合は、督促手数料・延滞利息を加えて支払う必要があります。
- 滞納が1年を超えると、いったんサービスの利用には全額自己負担をする必要が生じます。ただし、申請で払い戻してもらうことが可能です。
- 滞納が1年6か月を超えると、全額自己負担になった介護サービスの費用を申請により返してもらうことはできなくなります。
- 滞納が2年を超えると、未納が確定してしまい、一律介護サービスは3割の自己負担で利用しなければならなくなります。
こうならないうちに、早めに境界層措置などの適用をしてもらえるよう、介護保険課に相談しましょう。
一人暮らしをしていて、けがや疾病で動けず、支払いの手続きができなくなってしまったような場合にも結果として滞納が生じることもあります。
その場合もペナルティが課されることは同じですので、動けるようになったら滞納の解消は早めにしておきましょう。
まとめ
介護保険の保険料は終身払いであることが特色で、年金や給与からの天引きで確実な徴収が図られています。
後期高齢者になった場合、あるいは要介護認定があった場合でも支払い義務があるほか、免除の制度等は原則ないことに注意しておきましょう。
納付書払いの方が生活が困難になった場合、「境界層措置」のような支援制度があり減免がありうることを知っておくとよいでしょう。
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