介護保険
公的介護保険を補う?民間保険の必要性について・メリットデメリットは?

公的介護保険を補う?民間保険の必要性について・メリットデメリットは?

公的介護保険を補う?民間保険の必要性について・メリットデメリットは?

民間介護保険は、公的介護保険のほかに必要性が浸透しており、最近の保険人気ランキング入りしている商品が多数あります。

ところで、民間介護保険の必要性についてどこまで詳しくご存じでしょうか。

改めて、介護にかかるお金と、なぜ民間の介護保険がいざというときに頼りになるのか。この点を少し掘り下げてご説明したいと思います。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

介護にかかるお金はいくらくらい?何年かかる?

介護にかかるお金はいくらくらい?何年かかる?

介護にかかるお金の統計資料として、生命保険文化センターの調査結果があります。

介護期間は平均54.5カ月(4年7カ月)という結果が出ています。

また介護費用は、介護用の住宅改修や介護ベッドの購入などの一時的な費用が69万円に加え、月額平均7万8,000円の負担になっています(「生命保険に関する全国実態調査」平成30年度)

しかしこれは、お年寄りが在宅で介護を受ける場合・施設に入る場合をすべて平均して調査したデータです。

在宅の場合、家計経済研究所が2017年6月に発表した「在宅介護のお金と負担」によると、月々に在宅介護にかかる費用は平均5万円

うち、「介護サービス利用料」は1万6千円、「介護サービス以外の費用」は3万4千円でした。

さらに、老人ホームなどの施設に入所する場合は、特別養護老人ホームで、月額約7~15万円、高齢者サービス付き住宅の場合、月額約15万円~20万くらいが相場です。

さらに、民間のサービス付き住宅の場合、入居費を一時金で負担するような施設もあります。

在宅の平均値で、494.1万円、もしも54.5か月を20万円のサービス付き住宅で過ごしたとすると、1090万円のお金が少なくともかかることとなります。

介護にかかるお金をさらに検討、備えはどうする?

これらは目安の数字にすぎません。

介護にかかるお金は、かなり幅があります。また、在宅の介護費用は、生活費・食費は除かれています。

そう考えると、介護の時期のご両親にかかる費用は、老人ホームに入居された場合と同等かそれ以上にかかるものと考えておくのが妥当かもしれません。

では、足りなくなりそうな介護費用をどうやって負担するのかが問題になります。一つが、できるだけ介護保険のサービスを頼ることです。

しかし、公的介護保険のサービスのほかに、もしも足りなくなりそうな費用があれば、貯金や、積立・年金保険の給付を頼るほか、民間の保険会社による介護保険商品に頼ることが考えられます。

民間介護保険の必要性・何に必要なのか

民間介護保険の必要性・何に必要なのか

民間介護保険の必要性は、公的介護保険と、民間介護保険の差を考えるとわかりやすいと思います。

公的介護保険は、サービスが現物給付として給付され、利用者はその1割から3割の利用料を支払います。

一方、生命保険会社の介護保険は「現金給付」です。保険契約に定める所定の要介護状態に該当すると、契約時に定めた金額を受取人が受け取ることになります。

現物給付といっても、利用者は、1割から3割の利用料を支払うので、多くの方がこの介護の期間に、出費が多くなること、それに合わせたマネープランに合わせて、民間介護保険を考える必要がそもそもあるということです。

実際に、朝日生命が行った実態調査では、以下のような出費が負担に感じられており、自己負担額についての負担感について感じている割合が高いことがわかっています。

公的介護保険は、給付の限度額があるため、限度額を超えると全額自己負担です。また、家事代行や食事代光熱費など、カバーできない部分が生じ、ここも負担感につながっています。

公的介護保険の自己負担額35.8%
通院や外出時の交通費34.4%
公的介護保険適用外の介護用品の費用
(オムツなど)
24.6%
公的介護保険適用外の施設入所後の費用
(食事代・光熱費など)
21.1%
公的介護保険適用外
(ヘルパーが対応できない)の
家事代行費用
15.0%
その他12.3%

引用元:朝日生命保険「『要介護認定後の暮らし』と『民間介護保険に対する意識』」関する実態調査

このお金をもしも貯金などでカバーできる見通しができれば必要性は大きくないと考えることができますが、そこまで自信がある方も多くはないので、現在の民間介護保険人気があると思われます。

特に、ご自身・ご家族の状況について、

  • 貯金が不足しているので、不安を緩和したい
  • 一人暮らしなどで、頼れる人がいないので、より多くの出費があることが考えられる
  • 民間の老人ホームなどに入居することを考えているが、原資を確保したい

などの目的がある場合には、一般的には民間の保険に加入する必要性が高いものと考えられます。

しかし、民間介護保険の必要性は、状況ごとに異なるところがあります。

必要かどうか、微妙である・迷う、と思う方は、次にご紹介する民間介護保険と公的介護保険の違い、メリット・デメリットをさらに考えて、必要性について判断されるとよいでしょう。

公的介護保険と民間介護保険の違いとは

公的介護保険と民間介護保険の違いとは

保険の仕組みと保険料の払込期間の違い

公的介護保険は40歳以上の人を被保険者とした、市町村が運営する全員強制加入の社会保険です。終身払いなので、一生涯保険料を負担することとなりいます。

一方、生命保険会社の介護保険は契約で定めた期間にわたって保険料を払い込み、定期払いと終身払いがありいます。

保険料払込期間中に給付を受ける場合、その後も契約が続く商品では、保険料は払込免除になる特約付きの商品が多数です。

給付の条件

公的介護保険と生命保険会社の介護保険では、給付を受ける要件が異なります。

生命保険会社の介護保険は、給付要件が約款で定められいて、保険会社が自由に設定できます。

最近では、公的介護保険の要介護認定に連動した商品が増えていますが、どの要介護度から給付されるかは商品によります。

生命保険会社の介護保険は、公的介護保険と異なり40歳未満でも契約することができます(何歳から介護保険を契約できるかは、生命保険会社によって異なります)。

給付年齢・加入年齢

さらに、公的介護保険のように「65歳未満の人は、老化(加齢)に伴う特定の病気で要介護状態になった場合に限り、給付を受けられる」といった、年齢による制限もありません。

公的介護保険は40歳以上の人を被保険者とした、市町村が運営する強制加入の社会保険です。要介護状態と認定されて給付を受ける人を含め、加入者は一生涯保険料を負担します。

一方、生命保険会社の介護保険は契約で定めた期間にわたって保険料を払い込みます。

保険料払込期間中に要介護状態に該当して給付を受ける場合、その後も契約が続く商品では保険料は払込免除となるのが一般的です。

民間介護保険のメリットとは?

民間介護保険のメリットとは?

民間介護保険のメリットは経済的な備えができるほか、介護保険ではできない、カバーできないことを保管できることです。

経済的な備えが作れ、安心

特に自己負担は民間介護保険に加入することで、カバーすることができる可能性があります。

公的介護保険の対象外でも給付を受け取れる

公的介護保険は40歳から強制加入になりますが、40歳を超えて要介護状態であったとしても、65歳未満の方は特定疾病が原因ではないかぎり公的介護保険の給付対象になりません。

民間介護保険であれば、40歳未満の人でも介護リスクに備えられる商品があります。民間の保険の加入年齢は、保険会社が自由に設定でき、給付年齢も自由に設定できるのです。

特に終身払い保険の特約として介護保険が付帯する場合などは、子供のころから加入しておくことも可能である一方、50代からでも加入可能なものがあり、公的な介護保険よりも加入年齢や保障の内容に関して、柔軟性が高いということができます。

さまざまなタイプから任意の保険を選択できる

民間の介護保険は、公的保険と違って保険会社・商品のタイプ・プランにより保障内容が千差万別、保険料もまちまちです。

例えば現役世代中の保障を充実させたいと思う場合、定期型の民間介護保険を選択することで、終身型と比較してより割安な保険料で充実した保障が受けられます。

また、加入年齢も50歳以降からでも入れる介護保険があり、ある程度必要性が見えてきたところで加入するという選択肢もあるのです。

民間介護保険のデメリットとは?

一方、民間の介護保険のデメリットとしては以下の点が挙げられます。

保険料の支払い負担がかかる

介護保険料と二重の負担になるケースでは、生活が圧迫される可能性もあります。

できるだけ保険料がお財布にやさしいものを選ぶように考えておくと無理がありません。

また、掛け捨て型の方が一般的に保険料は少なく済みます。

要介護状態になっても給付が受けられないことがあり、給付要件がまちまちである

民間の保険は、約款で自由に内容を設定できるので、それぞれの給付要件をしっかり確認しておく必要があります。

要介護度2でも給付が受けられない、重い要介護状態になったときのみ、など人によっては生涯発生しない事態でないと、一時金が給付されないプランもあります。

将来の物価上昇に対応できない可能性

民間介護保険は現金給付であることから、こうした可能性があります。

将来的にインフレが進むと貨幣の価値が下がって物価が上がることになるため、介護で必要な費用も増加する可能性があります。介護費用の全額を民間介護保険でカバーできない可能性があるのです。

改めて民間保険が向いているケースを考える・無料相談もおすすめ

改めて民間保険が向いているケースを考える・無料相談もおすすめ
民間介護保険のメリットデメリットを考えた場合、改めて必要性の高いケースというのがわかりやすくなったのではないでしょうか。

民間介護保険が向いている・必要性が高いケースは、次のようなケースと考えられます。

  • 公的な介護保険だけに頼ると、介護サービスが手薄と考えられる場合
  • 一人暮らし・ご両親とお子さん一人、などで介護負担が気になる、ヘルパーさんなどの助けも欲しい
  • 40歳以前の介護ニーズにも備えておきたい
  • 子育てを終了して、あらためて介護の備えをしておきたい

こうしたケースの民間介護保険の必要性は、できるだけ、保険料が合理的な保険を選んでカバーすると、ライフプランの見通しがつけられて、経済的な備え以上の安心が得られると思われます。

より詳細には、例えばお住いのエリアの保険の相談窓口でFPに尋ねてみるとライフプランの設計と検討対象となる保険商品を教えてくれます。

エリアでは、地域密着型の介護保険による介護サービスがあるので、それとの組み合わせもFPが理解していると思います。

二重の負担に備えて、控除を利用

二重の負担に備えて、控除を利用

保険料の負担が二重になることに関しては、年末調整・確定申告の際に、社会保険料控除・介護生命保険料控除を利用し、負担を極力押さえましょう。

社会保険料控除

公的介護保険料については、年末調整・確定申告の際に、社会保険料控除の一部として、介護保険料の控除を受けることができます。

サラリーマンの方であれば、会社で手続きができる年末調整で給与所得者の扶養控除等申告書を使い、給与から天引きされている介護保険料全額が控除できます。扶養家族分も合算の対象になります。

実は、転職をされた方などは、前勤務先の社会保険料が合算できるとともに、それまでに支払っていた国民年金保険料・国民健康保険料なども合算できます。

控除証明書が国民年金・国民健康保険料の場合は必要になりますので、自治体に年末調整の前(10月ごろまで)に問い合わせておきましょう。

年金からの天引きの方は、確定申告で社会保険料控除を行うことができます。

介護生命保険料控除

この場合は、介護保険料を支払った方の年末調整または確定申告の際に、介護医療保険料控除として保険料を控除額として、所得から控除することができます。

所得税・住民税の控除がそれぞれ可能ですが、他の保険料と合算しての控除上限額・各保険料控除上限額が次の通り決まっています。

所得税住民税
一般生命保険料40,000円28,000円
介護医療保険料40,000円28,000円
個人年金保険料40,000円28,000円
合算適用限度額120,000円70,000円

年末調整・確定申告の際に保険会社から保険料を控除するために作られる書面である控除証明書が送付されますので、年末調整、または確定申告書に添付のうえ手続きを行います。

また、年末調整の時には、給与所得者の保険料控除申告書、確定申告の場合は、確定申告書の中に保険料控除につき記載する欄がありますので、それぞれ適切に記入して申告する必要があります。

まとめ

以上の通り、公的介護保険・民間の介護保険は、違いがあり、民間の介護保険の加入の必要性は、制度の性質上高い場合があります。

公的な介護保険だけに頼ると介護サービスの内容が手薄と感じられる場合、サービス開始年齢が気になる、あるいは、であれば、民間の保険の活用を検討しましょう。

二重の保険料負担については、年末調整・確定申告で、社会保険料控除・介護生命保険料控除を受け、費用の負担を軽減することができます。

年末調整や確定申告の際には保険会社から控除証明書が送られるので、保管をして使えるようにしておきましょう。