介護保険
介護保険で住宅改修する

介護保険で住宅改修する

介護が必要な方が、浴室・トイレなどでの転倒の防止や、段差の解消などのために、住宅を使いやすく改修することが必要になることがあります。

介護保険制度では、こうした住宅改修費用も支給の対象にしています。

ただし、介護保険による支給の対象となる改修工事について、あるいは支給費用の限度額、住宅改修費の申請手続きなど、法令で決められているルールも多く、注意が必要です

そこで、ここでは知っておきたい住宅改修のルールと手続きを中心に、介護のための住宅改修の進め方のポイントについてお伝えします。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

介護保険でできる住宅改修とは?

介護のために必要な住宅改修には、介護保険から改修費を支給してもらうことができます。

ただし、介護保険の対象範囲内の工事について、最高額20万円の範囲での支給と決められています。

どんな制度?

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どんなことができる?利用できる範囲

介護保険で支給される住宅改修費の対象となる工事は以下の通りであることが決まっています。

  • 手すりの取り付け
  • 段差解消(床のかさ上げ・下げ、踏み台、スロープ設置等)
  • 滑り防止等のための床・通路面の材質の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 和式便器から洋式便器等への便器の取替え
  • 上記5項目の住宅改修に付帯する工事

トイレや浴室・通路、あるいは段差など、住宅の転倒しやすいところのため、あるいは、扉・便器を使うときの転倒を予防し、安全に使うための取り換えなどに利用できます。

改修費用の支給対象者とは?

改修費用の支給対象者は、第2号被保険者、第1号保険者(特定疾病の方に限る)のうち、要介護(支援)認定を受けている人です。

さらに、改修する住宅の住所が利用者の被保険者証の住所と同一であり、利用者が実際に居住している場合に限られます

入院中や、施設利用中の方など、改修の必要がないところに居住中の場合は、支給されません。しかし、入院中でも退院後に備えての工事を事前に申請することは可能です。

どんな方法で支給される?手続きの流れとは?

介護保険で行うことのできる住宅改修費は、申請により支給されます。

まず、手続きを行う準備として、押さえておきたいポイントがあります。

準備のポイント

①住宅改修費の支給を受けるには、介護保険の要介護あるいは要支援認定を受けていることが条件となります。支給申請の前に受けておきましょう。

②改修前に市町村・特別区に事前に申請する必要があります。住宅改修着工前に介護支援専門員(ケアマネージャー)等に相談しましょう。事後の申請では支給されないことに注意が必要です。

③業者は、ここでなければいけない、といった指定はなく、ケアマネージャーからリストをみせてもらって選ぶのが通常です。

業者に工事をしてもらうときに改修費用の支給があり、家族に工事をしてもらう・自分で工事を行う場合には支給はありません。

④改修後の使いやすさや、費用面でのメリットデメリットを比較検討するためにも業者は相見積もりをとることがおすすめです。

手続きの流れ

介護保険の「住宅改修費」の支給までの具体的な手順は下記のとおりです。

(1)ケアマネージャーにまずは相談・業者・プランの検討

ケアマネジャーと住宅改修のプランを検討し、施工業者を選択します。

また、あとで申請の時に必要となる申請書類をこの時にもらっておくと用意がしやすいです。

(2)施工業者からの見積書取得

施工業者に住宅改修する場所や工事の内容を確認してもらい、見積書の作成を依頼します。複数の業者から取得することが自治体からすすめられますし、比較検討により利用者に使いやすい住宅改修を行いやすくなります

(3)市区町村に申請書類を提出

介護保険課」など、市区町村の介護保険窓口に次の書類を提出します。

住宅改修費支給申請書、住宅改修理由書、工事見積書・工事図面、改修前の状況が目で確認できる写真・図面など

上にあげた書類は、申請書類の一部です。住宅改修費の支給を受ける前に、工事後に作成・取得する残りの書類を提出します。

介護保険課などの窓口には、書類を直持参します。

(5)業者が施工、工事完成

(6)利用者から業者への工事費の支払い

利用者がいったん住宅改修の費用の全額を立て替えて支払います。施工業者から領収書等を受け取りますが、利用者が住宅改修費の支給申請をするときに必要となりますので、大事に保管しましょう

(7)市区町村に住宅改修費の支給申請書類を提出

次のような書類を準備して提出します。

改修前と改修後の状態を示す図面や写真、領収書、工事費の明細書・内訳書など工事の内訳・詳細がわかる書面、住宅の所有者の承諾書(所有者が異なる場合のみ要提出)

(8)住宅改修費の支給

介護保険での住宅改修費は、最高で20万円です。

実際にかかった費用の9割~7割が市区町村から支給されます。残りは自己負担です。

どこで申請可能?

市区町村の「介護保険課」などの、介護保険の窓口で行います。申請前にかならずケアマネージャーに相談して、申請手続きを始めましょう。

事前申請の必要書類は?

住宅改修費支給申請書、住宅改修理由書、工事見積書・工事図面、改修前の状況が確認できる写真

工事後の申請は可能なの?

不可能です。必ず事前に介護保険窓口に申請しましょう。ただし、工事後に要件・書類がそろうなどの場合は相談が可能ですので、この点もケアマネージャーにあきらめずに確認しましょう。

工事費を自己負担額と介護保険により支給

住宅改修工事費は、最高で20万円が介護保険による支給額となります。

ただし、費用は業者に支給される費用を基準としているので、全額が利用者に支給されるのではなく、自己負担割合に相当する額を利用者が負担することとなります。

介護保険のサービス利用の際の自己負担額割合は、基本が1割、現役並みの所得を有する場合が2割、高所得者は3割の自己負担があります

また、要介護度により、介護保険は支給の限度となる金額が決まっています。工事費が限度額をオーバーする場合は、オーバーした分がすべて自己負担になります。

住宅改修の範囲は狭い?自治体の助成金・補助金制度、民間保険などでさらにカバー

介護保険の支給対象となる住宅改修は、介護に直接役に立つところに限って工事対象としています。

みんなで支えて公平に介護サービスを使う制度であるため、一人一人のニーズにかなずしも合っていない面はありますr

実は自治体のリフォームの補助金など、費用の補助を受給できる制度は介護保険による住宅改修制度には限られていません。

これらの助成金・補助金制度または民間保険などで費用を補い、あるいは福祉用具の利用もぜひ併せて検討してみましょう

実際にはトイレや浴室のほかにも、改修費の支給対象外である台所改修、介護保険の支給額よりも費用がかさみがちな階段の改造など、利用者の生活にあった改修や、用具による工夫があったほうが良いことも多いものです。

まとめ

介護保険による住宅改修費の支給は、要介護・要支援状態の方に最高で20万円を限度に、申請・その他の条件に従い支給されることがあります。

利用者のニーズによっては介護保険からの支給の限度額を超えて、改修が必要になることも多いですが、自治体の助成金・補助金、あるいは民間の介護保険などで費用を補うことが考えられます。