日本の介護サービスを支えている公的介護保険は、40歳になったときから保険料の支払い義務が発生します。
もし、介護保険料を支払わないと滞納期間に応じてペナルティが発生するという問題に発展するため注意が必要です。
この記事では、介護保険を滞納したときにどうなるかという点について、以下の内容を中心に解説していきます。
- 介護保険料を払ってないとどうなる?
- 滞納期間別のペナルティ
- 介護保険料の納付が厳しい場合の対処法
「介護保険を払ってない」「支払いが厳しい」という方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
介護保険料を払ってないとどうなる?
介護保険とは、介護が必要な状態にある人を社会全体で支えるために始まった制度です。
40歳以上の人が保険料を負担し、要支援・要介護の状態にある人に介護サービスが給付されます。
この介護保険料を払わないとどうなるのか、確認しておきましょう。
督促手数料と延滞金が加算される
納付期限までに保険料を納付せずに20日が経過すると、市区町村から支払いの督促状が届きます。
督促手数料が発生する上に、納期限の翌日から延滞金が加算されていくことになります。
督促手数料は1通あたり100円程度、延滞金は延滞した保険料の7%〜14%が加算されるケースが多いです。
地域によって金額が異なりますが、いずれにしても延滞するほど負担が大きくなるため早めに支払いましょう。
滞納期間に応じてペナルティが課される
滞納する時間が長くなってしまうと、督促手数料や延滞金以外にもペナルティが課されます。
この措置は、期間が長くなるほど重いペナルティとなっていきます。
とにかく滞納期間が伸びるほど負担は大きくなってしまいます。
滞納期間別のペナルティを把握した上で、速やかに保険料を納付しましょう。
滞納期間別のペナルティ
介護保険料の納付が1年以上遅れると、滞納期間別にペナルティが課されます。
どういった措置が取られるのかを把握し、すぐに保険料を納付しましょう。
1年以上1年6ヶ月未満
滞納期間が1年を超えると、介護サービス費用の支払い方法が変わります。
本来、介護サービス費用の自己負担は1〜3割ですが、1年以上滞納しているとまずは全額自己負担をしなければなりません。
その後、市区町村の窓口に申請することで支払った保険料の7〜9割が返還されます。
例えば、介護サービス費用が10万円かかる場合、10万円をすべて負担した後、窓口に申請すると7〜9万円が返還されるということです。
返還までには2ヶ月以上かかるため、家計に大きな負担となるでしょう。
1年6ヶ月以上2年未満
滞納期間が1年6ヶ月を超えると、介護サービス費用の全額自己負担に加え、申請によって返還されるはずの保険料が差し止められるケースがあります。
差し止められた保険料は、滞納していた分に充てられます。
例えば、10万円分の介護サービスを受けた場合、10万円をすべて負担した後、返還されるはずの7〜9万円が滞納している分に充てられるということです。
必要な介護サービスの受給に支障が出る可能性もあるため、速やかに納付しましょう。
2年以上
介護保険料は2年を経過してしまうと、時効となって納付することができなくなるため注意が必要です。
また、自己負担割合が1〜2割の人は3割に、3割だった人は4割に引き上げられ、高額介護サービス費の払い戻しも受けられなくなります。
さらに場合によっては、滞納している保険料に充当するために財産が差し押さえられる可能性もあります。
こうしたペナルティは大きな負担となってしまうため、できる限り速やかに保険料を納付しましょう。
介護保険料の支払いが厳しい場合は?
収入が減少していたり、働けなくなったりといった事情により、保険料の納付が厳しいというケースもあるでしょう。
できるだけ保険料滞納は避けたいところであるため、しっかりと手続きをしておくことが重要です。
ここでは、介護保険料の納付が厳しい場合の対処法を解説していきます。
分割納付の相談
保険料の一括納付が難しいときは、市町村窓口で相談すれば分割納付が認められる場合があります。
どうしても生活が苦しいという場合は、保険料の分割納付も視野に入れましょう。
少しずつでも介護保険料を納付していかないと、ペナルティなどで負担が大きくなってしまいます。
保険料を一括で払えない理由と納付する意思をしっかりと説明し、分割納付ができないか相談しましょう。
減額・免除されるケースもある
一定の条件を満たす場合、保険料が減額・免除されるケースもあります。
例えば、以下のケースに該当すると減免の可能性があるため、市役所で相談してみましょう。
- 震災などの災害によって住宅や家財などに著しい損害を受けた
- 世帯の主たる生計維持者が死亡・重大な障害状態となったり、長期入院をしたりしたことで収入が著しく減少した
- 事業の廃止や失業などによって収入が著しく減少した
- 天災による農作物の不作、不漁などの理由で収入が著しく減少した
これらの基準は各自治体で異なります。
まずはお住まいの市町村窓口に行き、減免の相談をしてみましょう。
生活保護の申請
介護保険料の納付だけでなく、生活を送っていくこと自体が経済的に厳しい場合は生活保護の申請も視野に入れましょう。
生活保護を受給すれば、介護保険料の分も上乗せして支給されます。
生活保護の申請に抵抗がある人もいるかもしれませんが、きちんと条件を満たしているのであれば正当な権利です。
経済的な理由で生活が苦しい場合は、市町村窓口で生活保護の相談をしてみましょう。
介護保険料を払ってない場合は早めに相談しよう
介護保険料を払っていないと、督促手数料や延滞金に加えてペナルティが課されてしまいます。
滞納期間が長引くほど重い措置が取られていってしまうため、「払いたくない」などと考えずに速やかに対処することが大切です。
介護保険料は支払いの義務があるものの、経済的に払えない理由がある場合は分割納付や減免などの対応を取ってもらえるケースがあります。
滞納をせずに済む可能性があるため、「払えない」と諦めてしまうのではなく、市町村窓口に相談へ行くことをおすすめします。
介護サービスの受給に支障をきたさないためにも、介護保険料が払えないと感じたときには速やかに窓口に相談へ行きましょう。
まとめ
介護保険料は40歳から納付義務が発生し、保険料は要支援・要介護状態にある人に介護サービスという形で給付される仕組みです。
滞納をしてしまうと督促手数料と延滞金が発生してしまい、滞納期間に応じてペナルティが課されてしまいます。
期間が長くなるほど経済的に大きな負担となるため、できるだけ早い段階で対処していくことが重要です。
「介護保険料を払えない」という方は、速やかに市町村の窓口に相談しに行きましょう。