介護保険制度とは?公的・民間の違いは?サービスや仕組みについて徹底解説

介護保険制度のサービスや仕組みとは?公的と民間の違い?

介護保険制度とは?公的・民間の違いは?サービスや仕組みについて徹底解説

介護保険

平均寿命が延びているなかで、私達は、自分の将来の介護について考え始めたり、親の介護について再検討するなど、介護保険について知っておく必要があります。

見直すと+αの保険に加入した方が良いよいという可能性も出てくるかもしれません。

介護保険についての仕組み、用語について解説していきたいと思います。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

介護保険とは

介護保険とは
「介護保険」とは、一般的に公的な介護保険制度のことを指します。

公的な介護保険とは、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みのこと。

簡単にいうと、介護を必要としている人に、介護サービスを給付する仕組みのことです。

公的と民間がある

上記であえて「公的な」と言ったのは、民間の保険会社が扱っている介護保険もあるからです。

民間の介護保険は、公的な介護保険で利用できるサービスでは足りないと感じる方におすすめ。

とはいってもまずは、「公的な介護保険サービスとはなにか?」ということを詳しく紹介し、その後に民間の介護保険について説明します。

公的介護保険の仕組み

公的介護保険の仕組み

公的な介護保険制度は市区町村(保険者)が運営主体。

介護保険制度の財源は、保険料50%、公費負担(税金)50%で構成されます。

そして、介護保険サービスを利用するときには、世帯の所得に応じて1~3割の自己負担があります。

介護保険サービスを受けられる対象者は?

被保険者は

  1. 65歳以上の高齢者(第1号被保険者)
  2. 40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)

の二つに分けられます。

介護サービスが受けられるのは基本的に第1号被保険者だけ。

とは言っても、第2号被保険者も条件を満たせばサービスが利用可能。

第2号被保険者は、特定疾病に該当し、要支援・要介護状態と認定されば、介護保険サービスを利用できます。

特定疾病とは

特定疾病とは加齢によって引き起こされ、要介護状態の原因となる病気のこと。

厚生労働省では、以下の16種類の病気を定めています。

がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。) 関節リウマチ 筋萎縮性側索硬化症 後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗鬆症 初老期における認知症 進行性核上性麻痺 大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病 【パーキンソン病関連疾患】
脊髄小脳変性症 脊柱管狭窄症 早老症 多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 脳血管疾患 閉塞性動脈硬化症 慢性閉塞性肺疾患 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

また、第1号被保険者、第2号被保険者にかかわらず、サービスを利用したいときには、要支援・要介護認定されることが必要です。

要支援・要介護認定とは

上記に記載したとおり公的な介護サービスを利用するためには、地域の自治体に申請し、要支援・要介護認定をされる必要があります。

判定される介護の必要性の度合いを介護度と言い、7段階に分かれています。

  • 要支援:日常生活を送る上で、多少の支援が必要な状態(2段階)
  • 要介護:日常生活全般において、誰かの介護が必要な状態(5段階)

いずれも数字が大きい方が要介護度が重いとされています。

ちなみに日常生活を送る上で、介護サービスなどの支援が必要ない状態を自立といい、介護サービスは利用できません。

介護度 判断基準となる状態
要支援 1 要介護状態とは認められないが、社会的支援を必要とする状態
2 生活の一部について部分的に介護を必要とする状態
要介護 1 生活の一部について部分的に介護を必要とする状態
2 軽度の介護を必要とする状態
3 中等度の介護を必要とする状態
4 重度の介護を必要とする状態
5 最重度の介護を必要とする状態

介護度が重くなると必要な介護も増え、費用も高くなるので、利用できるサービス内容や上限金額が変動。

ただし生活保護受給者が第2号被保険者になると、介護保険料を支払わなくても同等のサービスが利用可能に。

このような生活保護受給者はみなし2号と呼ばれ、介護保険料を払えなくても公的な介護保険サービスを利用できます。

みなし2号とは

生活保護受給者が第2号被保険者になった場合、生活保護費の介護扶助費でまかなわれ、介護保険制度と同等のサービスが利用可能です。

この介護保険料は、公的医療保険料に上乗せされて徴収されます。そのため、介護保険料だけの徴収は不可能。

生活保護受給者は国民健康保険制度や後期高齢者医療制度が適用除外となるので、上乗せ先がなく、被保険者になれません。

しかし、介護扶助費でサービスを利用できるため「みなし2号」と呼ばれます。

介護保険料の支払いが始まる年齢は?

40歳になると公的な介護保険制度への加入が義務づけられ、保険料の支払いが開始。

上記で紹介した第1号被保険者、第2号被保険者ともに保険料の支払いはあります。

無職の場合でも40歳になると介護保険料を支払わなければなりません。

被保険者 徴収方法
協会けんぽ、職場の健保、共済組合の医療保険に加入している 給与に介護保険料率を掛けて算出。事業主が半分を負担。※1
国民健康保険に加入している ①所得割②均等割③平等割④資産割※2の4つを各自治体の財政により独自に組み合わせて計算。保険料率も異なる。
第1号被保険者 国民年金からの天引き

※1:被扶養配偶者は納める必要なし

※2:「所得割額」とは、被保険者本人あるいは世帯における前年の所得額に応じて決定される金額。「均等割額」は世帯の被保険者数によって決まる金額。「平等割額」は1世帯当たりの金額として算出される金額。「資産割額」は世帯の資産に応じて算出される金額。

また、滞納すると給付制限が課され、色々な弊害が出てくるので注意が必要。最悪の場合介護保険のサービスが全額自己負担になる可能性があります。

ちなみに、自身で負担した介護保険料があれば、確定申告で所得から一定の金額を差し引く分、課税所得が小さくなるので節税効果を得られます。

支払い方法は自治体によって変わるので、直接聞いてみることをおすすめします。

もっと詳しく知りたい方は、こちらを見てみて下さい。

関連記事:公的介護保険は40歳から強制加入、気になる保険料とサービスについて

公的サービスを受けるための手続きとその内容

公的サービスを受けるための手続きとその内容

公的な介護保険サービスを利用するためには、まず、自分が住む地域の自治体に要介護認定をしてもらうための申請をすることが必要。

また、サービスを利用するためには介護保険被保険者証が必要です。

介護保険被保険者証とは

介護保険被保険者証とは、簡単に言うと健康保険証の介護保険バージョンです。

介護サービスを受けるためには、介護保険被保険者証(介護保険証)が必要。

第1号被保険者と第2号被保険者とで交付のされ方が違います。

第1号被保険者 65歳の誕生月に郵送
第2号被保険者 要介護認定を受けたら郵送

また、介護保険証には更新時期があります。

とはいえ、審査の結果に不服があったり、更新時期が来る前に心身の状態が悪化することも。

そんなときは申請をして、区分変更することも可能です。

サービスを利用するには申請が必要

被保険者とはいえ、すぐに介護サービスを受けられるわけではありません。

申請手順を踏むことで、介護サービスを受けられるようになります。

手続きの際には介護保険証が必要ですが、第2号被保険者の方は健康保険証を提示することで申請が可能。

  1. 市区町村の窓口で申請
  2. 認定調査と主治医の意見書で一次判定
  3. 介護認定審査会による二次判定
  4. 結果通知とケアプランの作成

認定結果の通知には1ヶ月ほどの時間を要しますが、通知されるまでの間、暫定的な被保険者証として資格者証が被保険者に対して交付されます。

ケアプランの作成は、認定を受けるときに就く、担当のケアマネージャーが行います。

気になるサービス内容

では実際、どんなサービスが利用できるのでしょうか。

介護度 サービス
介護予防給付 要支援1・2 介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援
介護給付 要介護1・2・3・4・5 居宅介護サービス、施設サービス、地域密着型介護サービス、居宅介護支援

例えばグループホームは地域密着型サービス、訪問看護は居宅介護サービスの一種です。

共通するサービスの種類は以下の通りです。

  • 自宅で生活しながら受けるサービス
  • 施設などを利用して受けるサービス
  • 介護の環境を整えるためのサービス

介護給付にあって、介護予防給付にないサービスの種類は、「施設に入所して受けるサービス」。

もっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧下さい。

関連:介護保険とは

民間の介護保険とは

民間の介護保険とは

民間の介護保険とは、公的な介護保険制度の不足した部分を補うもの。

民間の介護保険は、公的な介護保険とは違った利用目的になります。

以下の項目にあてはまる方は、民間の介護保険に加入することをおすすめします。

  • 預貯金や公的年金(国民年金、厚生年金)が少ない
  • 将来、介護を頼める身内がいない
  • 手厚いサービスを希望している
  • 給付金の使い道を自分で決めたい

また民間の介護保険は、日本の平均寿命がのびてきていることを鑑みて、介護期間の長期化のリスクに対応しています。

認知症に特化した保険商品等も存在し、話題になりました。

公的な介護保険と異なる点は以下のようになっています。

  • 現金支給
  • 40歳未満でも契約内容によっては給付可能
  • 加入は任意

とはいっても、加入するためにはいくつか条件があり、誰でも加入できる訳ではありません。加えて、公的な介護保険制度のサービスで不足を感じていなければ加入する必要はないです。

具体的には、介護費用に余裕がある(保険料の支払いによって生活に支障が無い)場合や、将来自分の介護をしてくれる人がいる場合には必要ないでしょう。

まとめ

まとめ
介護保険は自分の将来だけでなく、家族にも影響することです。

現代ではライフスタイルが多様化しているので、一人一人にあったプランを選択できる民間保険も検討してみて下さい。

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