医療保険では薬代は補償されない?「薬剤治療保険」の補償内容とは

医療保険では薬代は補償されない?「薬剤治療保険」の補償内容とは

医療保険で薬代は補償される?

医療保険

現在、医療保険に加入している方の中には、「薬代のためのお金が高額で困っている。」という方もいるでしょう。

医療機関に通院した際の薬代が、医療保険で直接補償されるわけではないため、通院が長引くほど薬代の負担も大きくなってしまいます。

そういった状況にあって、最近は「薬代を直接補償してくれる医療保険」へのニーズが高まりつつあります。

そこで今回は、公的医療保険や民間の医療保険で薬代はどのような補償となっているのかを確認したうえで、最近販売された「薬剤治療保険」の具体的な内容について解説していきます。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

医療保険で「薬代の補償も受けたい」というニーズが高まっている

医療保険で薬代の補償も受けたいというニーズが高まっている

近年、がんをはじめケガや病気で入院をする日数が短縮化される傾向にあり、以前は入院中に行っていた治療を通院で行うようになってきました。

入院中に受けた治療であれば医療保険の入院給付金などで薬代もカバーすることができますが、通院になると別途支払うことになり、通院が長引くと薬代の支払額も多くなっていきます。

入院日数が短縮化されている理由

入院日数が短縮化されている理由には、「医療技術の進歩」と「国の施策」のふたつの要因があります。

医療技術の進歩

内視鏡手術などの体に負担をかけにくい手術方法が確立され、術後の回復期間を長く取る必要がなくなったことで、日帰りや一泊といった短期入院での手術が可能になりました。

退院後は、通院による治療でフォローすることになり、長期間にわたるケースもあります。

国の施策

今後ますます高齢化社会が深刻化し、高齢者の入院数が多くなったり長引いたりして病床が足りなくなる事態を回避するために、国は入院日数をできるだけ短期化できるような施策をすすめています。

通院が増えることで薬代の支払い負担も増える

入院日数が短縮化され通院による治療がメインになってくると、その分薬代の支払い負担も大きくなるため、「医療保険で薬代の補償をしてもらえるかどうか」が注目されるようになってきました。

薬代も治療費の一部ととらえれば、医療保険で補償してもらいたいと思う気持ちも納得できますね。

薬代は公的医療保険の対象になる?

薬代は公的医療保険の対象になるのか?

薬代を支払った分は、民間の医療保険で補償されるかどうかの前に、公的医療保険ではどのくらい補償を受けられるのか確認しておきましょう。

処方箋の自己負担割合

公的医療保険では、医療費の自己負担が原則3割(年齢などによって異なる)となっていますが、これは診察を受けたときだけでなく、薬代を支払ったときも同じ扱いとなっています。

というのも、処方箋は通院による診療のひとつとして薬剤が投与されたものとみなされるためで、薬代は処方箋が出された医療機関の外来分と合計し計算します。

参考までに、年齢や収入などによる医療費の自己負担割合を以下にまとめました。

年齢自己負担割合~6歳(義務教育就学前)2割70歳未満3割70歳~74歳2割(ただし、現役並み所得者は3割)74歳~1割(ただし、現役並み所得者は3割)

薬代も、治療費などと同様に自己負担割合に応じた金額のみを支払うだけで済んでいます。

高額療養費制度を利用できる

また、公的医療保険には、1か月の医療費の自己負担を一定の金額に抑えることができる「高額療養費制度」という制度がありますが、これには処方箋を受け取って調剤薬局で支払う薬代も含まれます。

自己負担上限額は、年齢や年収によって異なりますが、たとえば70歳未満で年収が370万円~770万円の方が、1か月に100万円の医療費がかかった場合の自己負担上限額は、9万円程となります。

限度額適用認定証の活用もできる

公的医療保険の高額療養費制度を利用すると、1か月の医療費の自己負担を軽減することができますが、実は一度薬代や医療費を支払う必要があり、上限を超えた分が後日還付されるという流れになっています。

そのため、一度は薬代などを支払わなくてはなりませんが、それが難しい場合は「限度額適用認定証」をあらかじめ保険者に交付申請し、医療機関などの窓口に提示しておくことで、支払う医療費を限度額までに抑えることができます。

このように、公的医療保険でも薬代の支払い負担を軽減する制度があります。

しかし、医療費の原則3割は自己負担となりますし、高額療養費制度でも自己負担分があることから、やはり民間の医療保険で薬代を補償してもらいたいと思う方もいるでしょう。

そこで次章では、民間の医療保険における薬代の補償事情について解説していきます。

民間の医療保険では薬代は補償される?

民間医療保険での薬代は補償対象か?

結論から申し上げますと、民間の医療保険では、薬代として明確に補償される商品はごく少数にすぎないというのが現状です。

「では、民間の医療保険では薬代は補償してもらえないの?」と思ってしまいますが、直接薬代を給付金として受け取るのではなく、ほかの方法を利用してカバーすることができます。

具体的には、「入院給付金」や「通院給付金」を活用する方法です。

1.入院給付金を増額する

民間の医療保険で薬代もカバーしたい場合は、入院給付金を増額するという方法があります。

通常、入院給付金は日額5,000円で加入することが多いですが、個室を使用したい方などは差額ベッド代の支払いに備えて日額10,000円に増額して契約することがあります。

この加入方法を活用して日額10,000円で医療保険に加入し、個室を利用せず差額ベッド代が発生しない部屋に入院することで、実際にかかった入院費を支払っても給付金に余裕が出る可能性があるため、その分を通院時の薬代の支払いに充てることができます。

2.通院給付金を充実させる

もうひとつの方法は、通院給付金を充実させる方法です。

これまでの医療保険は、入院給付金や手術給付金を主な補償とする商品が多かったのですが、通院による治療がメインになってきたことを受け、最近の医療保険は通院保障に力を入れている商品が増えてきました。

通院保障は、一般的に3,000円や高くても5,000円に設定されることが多いですが、医療保険によっては10,000円まで設定できる商品もあります。

1回の通院につき10,000円の補償を受けることができれば、治療費や交通費を支払ってもマイナスにならない可能性があります。

このように、医療保険の給付金を上手に利用することで薬代をカバーすることもできます。

がん治療の薬剤補償は商品によって異なる

がん治療の薬剤補償は商品によって異なる

がん治療においても入院日数が減少傾向にあり、通院での治療がメインとなりつつあります。

がん治療に用いる薬は高額なものが多く、ほかの疾病の薬代と比較して支払い負担が非常に大きくなります。

医療保険に「三大疾病特約」や「がん特約」を付けている方は、がんにおける治療が補償対象となりますが、薬代については支払い条件が医療保険ごとに異なるため確認が必要です。

たとえば、同じホルモン剤治療を受けても、薬代として補償される医療保険もあれば補償されない医療保険もあるのです。

また、治療薬によっても薬代として補償されるものとそうでないものがあるため、保険会社の担当者に質問したり約款などで確認したりする必要があります。

薬剤治療保険 メディケア生命「メディフィットEX」

日本初の薬剤治療保険 メディケア生命「メディフィットEX」

ご紹介してきましたように、医療保険では薬代を直接補償する商品は少なく、がん治療における薬代は医療保険によって対応が異なることがわかりました。

しかし、時代は通院治療がメインとなりつつあります。

こういった背景の中、2019年5月にメディケア生命から日本初の薬剤治療保険「メディフィットEX」が販売されました。

その名の通り、薬剤治療を補償対象とする「おくすり保険」というあたらしい形の保険です。

薬代の支払いに悩んでいる方にとって救世主となり得る、「メディフィットEX」の特徴を詳しくご紹介していきます。

「メディフィットEX」の3大特徴

「メディフィットEX」は、従来の医療保険ではカバーしきれない薬剤治療をメインとする保険で、主に次の3つの特徴があります。

1.がんを含む9疾病の薬剤治療が対象

「メディフィットEX」の補償対象は、「3疾病(支払い対象薬剤Ⅰ型)」または「9疾病(支払い対象薬剤Ⅱ型)」の所定の薬剤治療です。

それぞれの対象となる疾病は以下の通りです。

支払い対象薬剤Ⅰ型がん(上皮内がんを含む)、心疾患、脳血管疾患支払い対象薬剤Ⅱ型上記プラス動脈・静脈疾患、腎疾患、肝疾患、膵疾患、糖尿病、脂質異常症

これら9つの疾病は「生活習慣病」といわれているもので、相互に関連し合い併発するケースも多いため、薬代もかさみがちです。

生活習慣病における薬代に不安を感じる方多いため、ニーズが多い保険といえるでしょう。

なお、がん治療においては、所定の自由診療による抗がん剤医療も補償対象となっているため、高額な薬代にも対応できる可能性が高くなります。

2. 入院・通院・手術・在宅医療などの要件なし

従来の医療保険のように、入院に伴う通院だけでなく、入院せずに受ける薬剤治療も補償されます。

すべての薬代が対象となるわけではありませんが、薬剤治療は入院や手術に先駆けて行われることもあるため、一般的な医療保険よりも薬代の支払い負担を軽減することができます。

3.給付金の支払回数は最大120回、がんは無制限

給付金の支払い回数も手厚くなっており、通常の「特定薬剤治療給付金」は60回型の場合は通算60回まで、120回型の場合は通算120回まで支払われます(同一月に1回5万円まで)。

また、「抗がん剤治療給付金」は支払い回数が無制限(同一月に1回10万円まで)で、不担保期間がないというメリットもあります。

【参考】確定申告で「医療費控除」も忘れずに

確定申告で「医療費控除」も忘れずに

高額な薬代がかかってしまい医療保険などでカバーしきれない場合は、確定申告で「医療費控除」を忘れずに申告し節税対策を取りましょう。

医療費控除を申請することで、所得税や住民税が減額されるため節税効果が期待できます。

控除の対象となる医療費には、医療機関窓口で支払った治療費や手術費だけでなく薬代も含まれます。

医療費控除の対象金額

医療費控除は以下の計算式で求めます。

医療費控除=1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで受け取った金額-10万円(※)

※所得が200万円未満の場合は、総所得金額の5%

原則的に、1年間に支払った医療費の合計額から保険金や給付金で受け取った金額を差し引き、さらに10万円を差し引いた金額が医療費控除として申請できます。

対象となるのは「治療を目的としたもの」

医療費控除の対象となる薬代は、「治療を目的としたもの」のみで、すべての薬代が対象となるわけではない点に注意が必要です。

そのため、疲れをとるためのマッサージや医師や看護師への謝礼、入院中の生活備品購入費などは対象外となります。

ただし、医師の処方に基づくものであれば、市販のビタミン剤や漢方薬代なども対象になります。

まとめ

現在の医療保険では、薬代をしっかり補償してくれる商品は限られているというのが現状です。

しかし、すでにメインとなる治療が入院から通院になりつつある中で、通院保障に重点を置いた医療保険の要望が高まっていることも事実です。

今回ご紹介した「メディフィットEX」のように、薬代の補償に特化した保険が出てくる可能性も大いにあります。

医療の進歩に伴い、医療保険の補償内容も変化していくことが予想されるため、定期的に補償内容の見直しが必要になるといえるでしょう。

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