皆さんは、お祝い金やボーナスありの医療保険の広告をSNSや雑誌で見たことはありませんか?一定の期間、保険金を受け取ることがなかった場合にお祝い金が貰えるというのは嬉しい仕組みですよね。
しかし、「本当に得なのだろうか?」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、本記事では以下の3つのことについて分かりやすく解説しています。
- 医療保険のお祝い金(ボーナス)の仕組み
- 実際に保険商品を給付パターン別に比較してみた結果
- 医療保険のお祝い金(ボーナス)は得なのか
医療保険のお祝い金(ボーナス)について詳しく知りたい方や医療保険を検討している方は、是非、読み進めていってもらえると嬉しいです。
貯蓄型医療保険のお祝い金(ボーナス)の仕組み
貯蓄型医療保険がお得かどうか金額計算する前に、そもそも医療保険お祝い金の仕組みを理解しておきましょう。
お祝い金(ボーナス)の仕組みは非常に簡単です。一定期間、給付金をもらわなかった場合にお祝い金として一定額を貰えるというものです。ただし、ここで誤解をしてはいけないのが、お祝い金は単なるボーナスとして無償でもらえるものではないということです。
通常、医療保険料は万人がどのくらい入院をするのかという確率等に基づいてはじき出されています。したがって、医療保険の決められた保険料には、入院などをしないときに出すお祝い金(ボーナス)分は含まれていないのです。
お祝い金(ボーナス)に充当する分は、医療保険料とは別に付加されるという仕組みですので、実際にお得ではないことがいえるのではないでしょうか。
続いて、お祝い金(ボーナス)の医療保険についてもう少し深堀して説明していきます。
お祝い金(ボーナス)の保障内容
お祝い金は健康であった場合に給付されるもので、保障としては医療保障などは含まれていません。お祝い金で保障されるのはその他の給付金をもらわなかった際のボーナスのみです。以下にお祝い金給付の例を示します。
- 3年間給付金を受け取らなかった場合に、お祝い金を15万円もらえる。
- 1回目のお祝い金を受け取ってから、更に3年後も健康で給付金請求をしなかった場合、お祝い金(ボーナス)を15万円もらえる。
- 1回目は給付金請求をしたが、次の3年後は健康で給付金請求をしなかった場合、お祝い金(ボーナス)を15万円もらえる。
例に挙げたとおりに、保険期間の一定期間内で給付金請求をしなかった場合、受け取ることが出来るお祝い金(ボーナス)そのものが保障内容となっているのです。
お祝い金は特約扱い
医療保険のお祝い金(ボーナス)は、基本的には特約扱いになります。
元々備え付けられている保険もありますが、特約で付け足しができる場合は、特約なしの場合と特約ありの場合でどちらがお得なのか計算してみることをおすすめします。
原資は支払った保険料
医療保険のお祝い金(ボーナス)を特約として付けた場合、特約なしと比べると月々の保険料は高く設定されます。なぜなら、お祝い金は無償でもらえるものではなく、保険料増加分(特約として支払う保険料)がお祝い金の原資となっているからです。
そして、基本的にはお祝い金を付けて増加した保険料よりお祝い金のほうがもらえる金額が高く設定されています。例えば、5年おきにお祝い金(ボーナス)を貰える医療保険があるとすると、以下のような関係になっています。
- お祝い金(ボーナス)=20万円
- 保険料増加分2,500円/月×12ヶ月×5年=15万円
この医療保険に20年間加入していた場合、下記のように、お祝い金がどんどんお得になっていきます。
受け取れる お祝い金 (ボーナス) |
保険料増加分 | |
---|---|---|
5年 | 20万円 | 15万円 |
10年 | 20万円 | 15万円 |
15年 | 20万円 | 15万円 |
20年 | 20万円 | 15万円 |
総額 | 80万円 | 60万円 |
このことから、20年間健康でありつづけた場合は、お祝い金(ボーナス)特約として支払った保険料よりもお祝い金(ボーナス)の方がお得だということがわかりますね。
しかし、20年間のうちに万が一の事が生じた場合はどうでしょうか?例えば、3日間の入院(手術あり)をした場合を考えてみましょう。入院給付金が1万円で手術給付金が10万円だったとします。計算は以下のとおりです。
- 入院給付金1万円×3日=3万円
- 手術給付金10万円
- 合計でもらえる給付金は13万円
本来であれば、合計で13万円の給付金をもらえますが、給付金を請求しなければ20万円のお祝い金をもらうことができます。こうなるとお祝い金(ボーナス)よりも受け取る給付金が少ないため、多くの人は給付金請求をしませんよね。
このように、お祝い金特約を付加したせいで、本来、万が一の病気やケガに備えて入った医療保険の意味がなくなってしまう事態が発生することがあります。
お祝い金(ボーナス)が欲しいがために、必要な時に給付金を受け取れないというのは違和感を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?次に実際の保険商品の給付金ありなしを比較していますが、決して得とは言い切れない結果が出ています。
実際に保険商品の給付パターンを比較して損得を計算してみよう
それでは、今度は実際に保険商品の給付パターンを比較してみて、お祝い金(ボーナス)が本当に得といえるのかどうか解説していきます。
今回比較する保険商品は、「メットライフ生命・終身医療保障保険マイフレキシイ」です。
※対象は30歳・男性で試算しています。
お祝い金あり/なしの保険料・給付金をパターン別に比較
終身医療保障保険・お祝い金有り | 終身医療保障保険・お祝い金無し | |
---|---|---|
保障内容 | 入院日額1万円・入院手術10万円・ 外来手術2,5万円・3年ごとに10万円 |
入院日額1万円・入院手術10万円・ 外来手術2.5万円 |
15年間の累計保険料 | 809,100円(月4495円)・・X | 350,100円(月1945円)・・・y |
①日帰り手術で 1回給付 |
お祝い金10万円×5回=50万円 給付金請求せず50万円-X=▲309,100円 |
2.5万円-y=▲325,100円 |
②30万円の給付1回 | 30万円+(お祝い金10万円×4回)=70万円 70万円-X=▲109,100円 |
30万円-y=▲50,100円 |
③入院給付金60万円 (1入院)と手術給付金10万円 |
70万円+(お祝い金10万円×4)=110万円 110万円-X=290,900円 |
70万円-y=349,900円 |
④給付金請求無し | お祝い金10万円×5=50万円 50万円-X=▲309,100円 |
▲350,100円 |
お祝い金の 累計保険料との差額 |
459000円安い |
※▲は損をしている場合(赤字)
お得かどうか重要なポイントは4つ
今回の比較で重要なポイントは以下の4つ。
- 給付金を請求せずにお祝い金をもらうほうが得なパターンがある
- 大きな給付金をもらわない場合は、お祝い金(ボーナス)付きの医療保険が得
- 給付金請求が高額になった場合は、お祝い金なしのほうがお得
- お祝い金ありで得しているパターンは全て赤字になっている
パターン①では医療保険の給付額が2万5000円で、給付金請求せずにお祝い金(ボーナス)10万円をもらう方が得でした。しかし、これは3年おきに免責10万円の医療保険を更新しているようなものです。
また、パターン①、②、④においては、お祝い金(ボーナス)付きの医療保険が得のようです。しかし、全て赤字の状態です。
そして、パターン③においては、お祝い金(ボーナス)無しの医療保険がお得です。本来医療保険はこのパターンを想定して加入するものですから、このパターンでよりお得なお祝い金なしの医療保険のほうが優れていると断言できます。
付け加えると、今回試算した内容は1回のみの給付となっていますが、給付金を15年の間に何度かに分けて請求した場合も考えられます。その際は、全くお祝い金(ボーナス)を受け取れない可能性も考えられるので、そういった意味でもお祝い金なしの医療保険のほうがお得であると言えるでしょう。
結局、健康医療保険のお祝い金(ボーナス)付きって得なの?
ここまで読んでくれた方は既に結論がお分かり度と思いますが、医療保険のお祝い金は得ではありません。なぜなら、お祝い金(ボーナス)をもらうために割高な保険料を支払うのであれば、医療保険に加入せず積立貯金したほうが家計的にはお得だからです。
確かに、医療保険加入時に健康であった場合、お祝い金(ボーナス)があった方が得です。しかし、途中で病気やけが等、万が一が起こった場合はお祝い金(ボーナス)がない医療保険の方が得になる事があります。
本来、万が一の場合を想定して医療保険に加入するのに、健康でいた場合を想定して医療保険のお祝い金(ボーナス)に加入するのは本末転倒ではありませんか?お祝い金の損得の計算結果から見ても、健康でいた場合を想定して医療保険に加入するよりも、医療保険に加入しないで貯金したほうがお得だと言う結果が出ています。
一方で、万が一に備えたいのであれば、お祝い金(ボーナス)分の保険料がかからないお祝い金なしの医療保険がおすすめです。
記事まとめ
いかがだったでしょうか?今回は、お祝い金(ボーナス)の医療保険は得なのか?についてご紹介していきました。
実際の保険商品でお祝い金あり/なしを比較したところ、お祝い金ありのほうが得をするパターンはたしかに存在しました。しかし、お祝い金で得をする場合というのは全て赤字となっている場合のみ。結局、医療保険の本懐である多額の給付金をもらった場合には、お祝い金がないほうが得をします。
損をしたくないという気持ちからお祝い金ありの医療保険を選んでしまいそうになりがちですが、目先のカラクリに惑わされず、ぜひお祝い金なしの医療保険を選びましょう。
そして、医療保険を選ぶ際は様々な観点から検討してみることをおすすめします。