アメリカ合衆国に旅行や留学する方、あるいは会社から出張・赴任する日本人の方は、多くの場合、海外旅行保険に加入して出発されると思います。
海外旅行保険には、医療保険や盗難などの保険がセットになっており、加入はインターネットでも空港などでも受け付けています。
日本の医療保険・医療制度と、アメリカの医療保険・医療制度はかなり違っており、端的にいうと、アメリカの医療費は非常に高額になる可能性があります。
そのため、アメリカ渡航の際は、海外旅行保険への加入は必須と考えられています。それでは、具体的に、アメリカの医療制度・医療保険はどのように違うのでしょうか。
知識をつけておくと、海外旅行保険の加入プランが選びやすくなります。また、滞在が長くなる場合、現地で医療保険に入る必要もあるため、予備知識はあった方が便利です。
この記事では、アメリカの医療制度・医療保険についてご紹介します。
海外の医療事情は日本と異なる
海外の医療事情は、日本と異なります。アメリカの医療は、一言で日本との違いを表現するなら「高い」ということが特徴です。
その上、アメリカには国民皆保険制度がないので、医療保険は民間の会社が運営している保険に加入することが原則となります。
民間の営利企業、つまり米国は保険会社が運営主体ですから、公的医療保険に慣れている日本出身の私たちは、アメリカの医療保険には知っておかないと対処しにくい問題もあります。
アメリカは医療費が高額?初診料は150ドル以上?入院だとびっくり?
アメリカは、特に医療費の高額な国で、何らかの形で医療保険に加入しないと、自己負担額が非常に高額です。
一例をあげると、救急車は12万円ほどの出費(民間で運営されている場合もある)、初診料が1万6500円~3万3000円、ICUの入院に至っては、1晩日本が医療保険制度で平均10万円ほどの自己負担額となるのに対し、100万円以上の負担となります。
海外旅行者向け医療保険が適用されたの例で、「腰痛・熱・頭痛・嘔吐の症状を訴え受診。急性腎盂腎炎と診断され5日間入院」の医療費も、370万円を超えたとの事例もあります。
そんなに珍しい病気の事例ではない、と考えられますが、非常にアメリカの医療費が高額であることがお判りになるでしょう。
アメリカ合衆国の医療制度・医療保険制度とは?
アメリカ合衆国では、世界トップクラスの水準の医療も受けられます。しかし、そうした医療は、すべての人に開かれているものではありません。
国民皆保険制度はない!民間保険が原則
アメリカの医療制度によると、自己負担額が非常に高額になりますが、この高額の医療費をアメリカでは、主に民間の医療保険でカバーしています。
日本は、国民皆保険制度により、医療保険にはすべての日本居住者が社会保険または国民健康保険に入ります。そのため、民間の医療保険の必要性があまりピンとこない、ということもありがちなことです。
しかし、アメリカを含めた多くの国が、公的な医療保険ではなく、民間の医療保険に依存しています。
したがって「高い医療保険料を支払えば、高い質の医療を受けられる」のがアメリカの医療の特徴ということもできます。お金さえあれば、世界最先端の医療を受けるチャンスがあるのがアメリカです。
その一方、アメリカの保険審査・告知事項・あるいは医療費の給付には非常に厳しいものがあります。
自社の利益にできる部分は限られていますが、最大限の利益を出すため、医療費の出費を抑えるという傾向にあります。
そのため、いざ保険事故が発生し、医療費の給付を受けようとしたら給付拒否にあってしまった、といった例も多くみられれるのがアメリカの医療保険制度の問題点です。
アメリカ合衆国の公的医療保険制度とは?
アメリカにも公的な医療保険制度がないわけではありません。
ただしアメリカの公的医療保険制度は、一般の国民が加入する制度ではなく、低所得者・障害がある方などのための医療保険制度です。
メディケアとメディケイドと呼ばれる2つの精度が存在します。
メディケアは、2年以上失業している方や、障害のある方のための医療保険制度、また、メディケイドは、日本でいうなら生活保護制度の医療扶助制度が最も近い制度で、医療の現物給付を中心とする給付が行われます。両者は財源が異なります。
公的福祉の仕組みに頼らない国、アメリカ
ただし、質の良い医療が受けられるかというと、日本人の感覚からは想像できないほどの格差があるようです。
公的な福祉制度はアメリカの場合、「共産主義的な制度」として、特に保守層からはしばしば社会的な批判を浴びており、日本ほど充実はしていません。
「普通の病院ではこうだけど、メディケイド向けの病院ではそうした医療が受けられない」といったこともあります。
このように通常の水準の医療を受けられるかどうかは、財源の少ないメディケイドにおいてはしばしば問題になります。
所得の低い人などのための公的な社会保障制度・医療保険制度はありますが、日本の国民皆保険制度および生活保護の医療扶助制度とはだいぶ内容が違います。
日本では国民健康保険・社会保険・生活保護を問わず、医療の質は平準化されています。
一方、お金のある人は命をあたかも買うようにふるまえるが、低所得者は命を保険制度のために落とす人がいるという、倫理的にも問題点が指摘される制度は、しばしば選挙などでも議論の的になってきました。
アメリカで医療保険を「皆保険」にするのは難しい?
大統領選でも、メディケア・メディケイド制度、民間の医療保険の今後の運営を巡り、争点となってきたことから、これらの制度について聞いたことがある、という方も多いかと思います。
中でも、2010年に成立した、「オバマケア」といわれる新しい健康保険法は、既往症があるために健康保険加入を保険会社が拒むことを禁止し、一方で、無保険者には罰金を科し、健康保険の義務付けを行いました。
しかし、トランプ政権下で「オバマケア」は激しく攻撃を浴び、廃止寸前まで追い込まれ、「皆保険」を実質的に促す制度をアメリカで実施することには非常に難しさがあります。
一方で、民主党のバーニー・サンダースが、国民皆保険制度を支持し、低所得の若者を中心に、支持を集めたことは記憶に新しいでしょう。
アメリカ合衆国に滞在する方の医療保険、ここに注意
アメリカに滞在する場合、そんなアメリカの医療制度の高額の負担を軽減するには、どんな医療保険に入ればよいのでしょうか。
アメリカの医療保険プランHMO・PPO・POSの違い
アメリカの医療保険プランは、HMOとPPOとPOSの3種類あり、それぞれの特徴を解説します。
- HMO
HMOは、まずかかりつけ医を決める必要があります。また、ネットワーク外の医療機関だと医療保険が適用されないので気をつけましょう。
また、別の専門医にかかりたい場合でも、かかりつけ医を通さなければなりません。 - PPO
PPOは、医療機関を自由に選べます。しかし、ネットワーク外を利用すると、自己負担の保険費用が上がります。 - POS
POSは、上記のHMOとPPOを合わせたようなプランになります。まず、HMO同様かかりつけ医を決めます。もしネットワーク外の医療機関を利用したい場合には、彼らの紹介が必要になることもありのです。ネットワーク外の医療機関を利用する場合、PPOの様に自己負担費用が高くなります。
アメリカの医療保険は、必ずしもどこの医療機関でも医療保険からの支払いが行われるわけではないため注意が必要です。
緊急時に医療機関を利用したい場合は、アメリカの医療保険が最適とは言い難いです。そのため、しばらくは旅行保険に加入することをおすすめします。
到着後しばらくは、海外旅行保険に加入がお得
日本で渡航前に加入できる海外旅行総合保険は、アメリカ渡航からしばらくカバーするものに入るのが無難と考えられます。
1年間で20万円ほどの金額で医療保険付きの総合保険に加入でき、更新も可能です。
もしも、国民健康保険に日本で加入し続けることができる方は、同保険の払い戻し制度も知っておくとよいでしょう。
比較的に少額で済む外来治療なら、あとから申請により国保で払い戻しも可能、かつ日本の保険治療の範囲なら還付されるからです。
民間医療保険加入時は・救援費用がカバーされているかもチェック
長期滞在となると、同じ旅行保険でも、シグナや、April などの現地加入ができる民間保険に加入したほうが便利です。
海外赴任の方には、会社の負担で医療保険が付されることも多いですが、個人の場合は、各社に現地から見積もりを取る必要があります。
気になる保険料ですが、保険会社により相当に差があります。年齢にもよりますが、1人当たり日本円にして月額2~3万円くらいの料金で加入できるプランがよく広告で見られます。
自己負担額(Deductible)を決めて、以外を保険金で支払う内容の契約とすると、より安い保険料で加入できます。医療保険の見積もりを各社からとり、比較して検討してみましょう。
「緊急時にも引き受けてくれるか、救援のための特約などで、病気・ケガをした場所から搬送してくれるか」チェックが大事なポイントです。
まとめ
海外での医療費の負担は、病気やけがをした際にしばしば高額になります。
アメリカは公的医療保険制度がないに等しく、民間の医療保険さえも最適な医療保険とは言えません。
もし、アメリカへの旅行や観光を予定している場合は、医療保険付きの海外旅行総合保険に加入しておくことをおすすめします。
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