返戻とは?事務手続きの不備?介護保険の報酬支払の仕組みに迫る

返戻とは?事務手続きの不備?介護保険の報酬支払の仕組みに迫る

返戻とは?事務手続きの不備?介護保険の報酬支払の仕組みに迫る

介護保険

介護報酬の返戻は、事務の過誤などで発生した、介護保険事業者に対する報酬が支払われない事態のことを意味しています。

返戻や、起こりうる事務の過誤について知っておくことで、介護保険事業者の事務に携わる方も、またこれからケアマネージャーとして介護に携わる方も、返戻を通じて、介護保険における報酬支払いの仕組みの理解を深めておきましょう。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

返戻・保留と介護保険の報酬支払いの仕組みとは?

返戻・保留と介護保険の報酬支払いの仕組みとは

介護保険は、国民健康保険と同様、利用者がサービス給付を受けたのち、事業者が報酬を国保連合会に請求します。

国保連合会へ請求した介護給付費請求明細書=レセプトを審査した結果、不備が見つかり、介護事業者への支払処理が出来ないことを意味しています。

直接には、国保連合会から、事業所へ介護給付費請求明細書を戻すことを返戻と言います。

国保連合会は、一か月の介護報酬のレセプトを、翌月=審査付きの10日ころまで受け付けます。

審査月の27日ころに伝送(オンライン送付)により、事業所へ請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表を送付します。

エラーコードが出たらどのように処理するべき?再審査について

エラーコードが出たらどのように処理するべき?再審査について
事業所は、返戻・保留となった介護給付費請求明細書を正しい情報に修正し、国保連合会へ再請求しなければなりません。

返戻をそのままにしてしまうと、介護保険サービスの事業者は、報酬支払が行われず、報酬も発生したことにはならないのです

介護保険・返戻の原因を示すエラーコードの種別と内容とは?

介護保険・返戻の原因を示すエラーコードの種別と内容とは?

エラーコードとは、国保連合会より、事業所へ送付される請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表の右端の備考欄に表示される記号です。

見方ですが、記号により、介護給付費明細書の何が原因で返戻となったかを判断します

返戻が起こるよくある原因事由と、エラーコード、対処法を以下に紹介します(エラーコードと返戻への対処法は、東京都国保連ホームページの解説によっています)。

よくある事由・利用者の明細書が重複している

よくある事由・利用者の明細書が重複している
同じ月に、同じ利用者の請求明細書が複数枚提出された場合は、最初の請求明細書が支払いの対象となります。

2回目以降提出されたレセプトは全て返戻となります。

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同月に同じ給付管理票(新規)を提出済

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同月に同じ請求明細書を提出済

同月に同じデータが複数請求されている重複エラーとなり、返戻となります。

複数請求されても、1件は決定していますので、再提出の必要はありません

誤った内容で決定している場合、明細書を過誤取り下げし、過誤決定通知で過誤決定を確認した後、再請求する必要があります。

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過去に同じ給付管理票(新規)を提出済

過去に「新規」の給付管理票が決定されていますので、再提出の必要はございません
内容を変更する際は、作成区分を「修正」として給付管理票を作成し、再提出してください。

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過去に同じ請求明細書を提出済

過去に請求が決定していますので再提出の必要はありません。誤った内容で決定している場合、明細書を過誤取り下げし、過誤決定通知で過誤決定を確認した後、再請求してください。

よくある事由・利用者が要介護者等、介護保険利用者に該当せず給付なし

よくある事由・利用者が要介護者等、介護保険利用者に該当せず給付なし
よくある返戻の原因の一つが、利用者が月の途中で要介護認定を受けた・資格喪失した際など、サービスの受給日に介護保険の利用者に該当しないことです。

要介護者等に該当していない場合には、介護保険サービスの給付は行われません。
その結果、返戻となります。
受給者証等で認定日喪失日の確認をしっかり行うことが大切です。

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変更申請中の受給者最新の受給者台帳が変更申請中であることを意味しています。
要介護度が決定してから再請求をする必要があります.

よくある事由・給付管理票に問題あり

よくある事由・給付管理票に問題あり

請求明細書のサービス種類が給付管理票に入力されていない場合、もしくは、管理票が未提出の場合に返戻の扱いとなります。
給付管理票は、ケアマネージャーが作成します。

管理表の未提出になる場合は、保留扱いとなることもありますので、保留期間中に該当の管理表を提出し、審査の対応を依頼すると、提出された審査年月で、事業者は保留分の支払いを受けることができます。

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給付管理票の作成区分「新規」での提出が必要

過去に「新規」の給付管理票が決定していないので、作成区分は「修正」ではなく、「新規」として再提出してください

よくある事由・要修正、レセプト記載の誤り

よくある事由・要修正、レセプト記載の誤り
レセプトの記載に、生年月日・性別が受給者台帳と異なって記載されているなどの間違いがあるときです。
これも訂正・再請求が必要となります。

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受給者台帳記載項目と一致しない、請求された生年月日、性別が受給者台帳と異なる場合に発生するエラーです。

請求を確認し、誤っていれば正しいものに訂正し、再請求してください。

誤っていなければ、当該介護保険の保険者に問い合わせをしてください。

まとめ

まとめ
介護保険の報酬支払いに関しては、ルールが多くあります。

ただし、請求事務は、確認を事前によく行うことで返戻を防げるものも多く、また誤りがあった場合は、返戻に対して正しく対処することにより最悪の報酬の支払いが行われなくなる事態は防げます。

ぜひご紹介した対処法を参考にされて、正しく対処してください。

また、RAKUYAでは、保険に関する無料相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

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