介護保険
介護保険の特定疾病とは?選定・診断基準をわかりやすく解説!

介護保険における16種の特定疾病、その診断基準は?

40歳以上で対象となる介護保険の特定疾病とは?選定・診断基準も解説

介護保険の特定疾病について知っておきたい」

「介護保険の特定疾病って、診断基準はどうなってるんだろうか?」

こんな疑問をお持ちではありませんか?公的文書などを調べてみても小難しくて分かりづらいですよね。そこで、こちらでは、特定疾病の一覧とそれぞれの診断基準から、どういう状態であれば介護保険が利用できて、所定のサービスが受けられるのかについて、詳しくお伝えします。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

特定疾病の方が介護保険のサービスを受ける条件

特定疾病の方が介護保険のサービスを受ける条件

特定疾病の方で、40歳以上65歳未満の第2号被保険者が介護保険のサービスを受けるためには二つの条件があります。

  • 介護保険法上の特定疾病に該当することを、主治医意見書の記載内容に基づき、市区町村等 に置かれる介護認定審査会が確認したこと
  • 要支援又は要介護状態であると認定されること

要支援状態・要介護状態であることを認定する手続きをまとめて「要介護認定」と呼びます。要介護認定は、市区町村の介護保険担当窓口に行き申請を行うものです。

主治医意見書

申請の際には、介護状態について、申請者の疾病の状態や認知症の症状などについて書かれた「主治医意見書」も必要です。

特定疾病の主治医意見書と、要介護認定の意見書は別に作成するものではなく、1つの主治医意見書で済ませることができます

主治医意見書には、のちにご説明する介護保険法上の特定疾病の診断基準に当てはまっていることも書く必要があります。

申請は代行も可能・判定まで約30日

「主治医意見書」は要介護認定申請後、市区町村からかかりつけ医に依頼が行われます。主治医は要求される必要項目すべてに記載を済ませる必要があります。

窓口に行けない方は、介護保険施設や、居宅支援事業者などに依頼して、代行をしてもらうこともできます。

コンピューターによる一次判定、介護認定審査会が二次判定を行い、認定結果の通知までには30日ほどの時間がかかります。もし結果に不服がある場合は、異議申し立てを行うこともできます。

介護保険における16種の特定疾病と選定基準の考え方

介護保険における特定疾病に16種の疾病が選定されています。以下の特定疾病は、加齢と関係のある疾患で、介護保険のサービスを受けるのに適した疾患として、厚生労働省が指定している疾患です。

  1. がん(末期がん)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変性性関節症

厚生労働省による介護保険制度での特定疾病の指定は、次のような観点から行われています。

  • 加齢と関係が認められること
  • 要支援・要介護状態になるような、日常生活・身体の事由に影響がある疾病であること

なお、介護保険法上の特定疾病以外の疾患で、難病として指定されている疾患については、介護保険による介護サービスを受けることはできません。詳しくは、別記事:難病の方の介護保険利用についてをご覧ください。

しかし、40歳未満の方でも障害者総合支援法※(平成25年4月施行)に基づく支援を受けて介護をうけることができ、公費負担により、自己負担を軽減できる場合があります。

※障害者総合支援法については、厚生労働省のこちらのページを参考にされてください。

その他の場合は、介護保険による介護サービスと同じ内容の訪問看護など、医療保険でもカバーできるサービスを受ける場合、公費により自己負担額を軽減できます。

また自治体が難病に対する施策を実施しているなどで、サービスに対して助成がある場合もあります。

介護保険法上の特定疾病の診断基準一覧

介護保険法上の特定疾病の診断基準一覧

前述しましたが、介護保険法における特定疾病は16種類で、それぞれに診断基準があります。介護保険の制度上、特定疾病により要介護認定を受けられるかどうかは、「特定疾病により要介護状態になった」という原因と結果の関係が必要とされるためです。

これらの診断基準は各自治体や厚生労働省のホームページにて紹介されています。そのままでは分かりづらいので、今回は愛知県の手引書厚生労働省のホームページを参考にわかりやすく紹介していきます。原文を確認したい方は、それぞれのホームページを御覧くださいませ。

1.がん(末期がん)

診断基準

特定疾病の診断基準では治療をしないと亡くなってしまうと考えられる致死性を持ち、治癒困難な状態であることが要件とされています。治癒困難な状態とは、余命が6ヵ月程度と診断される場合を指します。

2.関節リウマチ

診断基準

関節リウマチの場合、介護保険法上の特定疾病の認定には自覚症状とX線などの臨床検査の結果の双方の診断基準が使われます。

自覚症状としては、朝に起こるこわばりの持続時間が少なくとも1時間以上続くことが必要です

3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)

診断基準

筋委縮性側索硬化症は、進行性で、だんだん前身が動かなくなってしまう病気です。

介護保険法上の特定疾患に関する診断基準では、成人発症であること・進行性であること・神経に一定の障害が認められることが要件とされています。

4.後縦靱帯骨化症

診断基準

脊椎をつなぐ「後縦靱帯」が骨に変化してしまう疾患です。神経が圧迫されるため、しびれや運動・知覚障害が生じます。

症状や脊椎X線の結果が、靱帯骨化と因果関係があるとされる場合に、診断基準から介護保険法での特定疾病に該当するとされます。

5.骨折を伴う骨粗鬆症

診断基準

骨に起こる疾患で、小さな穴が大量に発生して骨がもろくなります。

介護保険における特定疾病の診断基準には、腰椎骨の骨密度が一定の以下であることと、脊椎のX像が一定の状態に当てはまることが要求されています。

6.初老期における認知症

初老期における認知症

診断基準

初老期における認知症も特定疾病の対象となる可能性があります。

記憶障害に加え、初老期における認知症の認知障害(例;うまく考えをまとめられない、自分がどこにいるかわからない、など)があり、一時的な意識障害であるせん妄には該当しないことが診断基準に定められます。

7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

診断基準

神経の障害により、動作がゆるやか・ゆっくりになっていく病気です。

40歳以上・中年期以降に発症すること、緩やかに進行すること、それぞれの疾患に典型的とされている運動機能・震えなどの症状が認められると特定疾病の診断基準に該当します。

8.脊髄小脳変性症

診断基準

脊髄小脳変性症とは、運動を司る小脳に異変をきたす病気で、進行すると思うように体を動かせなくなります。

特定疾病に認定されるかどうかについては、診断基準にしたがって専門医が総合的に判断を行います。

9.脊柱管狭窄症

診断基準

脊柱管とは脊椎の中にある空間で、狭くなると中にある神経が圧迫されて、動きにくくなったり、痛みが出てたりします。

画像診断で1つ以上の狭窄があり、症状と狭窄に因果関係があれば特定疾病の診断基準に該当します。

10.早老症

診断基準

早老症は、老化の兆候が実年齢よりも早く、全身に生じる疾患の総称のことです。

介護保険法上の特定疾病としての診断には、専門医に診てもらうことが必要です。

11.多系統萎縮症

診断基準

多系統萎縮症は、非遺伝性の脊髄小脳変性症による代表的疾患で、いくつかの疾患が含まれています。

典型的な運動異常を認めると、特定疾病の診断基準に該当している、とされます。

12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

診断基準

糖尿病そのものは特定疾病とは認められませんが、合併症の複雑な診断基準があり、すべてを満たした場合に特定疾病として認められます。

13.脳血管疾患

診断基準

脳梗塞や脳出血のような、脳の血管に異常が起こったために発生する疾患の総称です。総合的な判断の下で診断基準を満たしている場合、介護保険法上の特定疾病とされます。老化によるものと認められることが必要です。

脳梗塞における介護保険の利用については、こちらの別記事でも解説しています。気になる方はぜひそちらもご覧ください。

14.閉塞性動脈硬化症

診断基準

動脈硬化症だけでは特定疾患となりませんが、老化によるものであり、中程度以上の主要な血管に認められる動脈硬化の場合、症状が明確で重い場合に特定疾病の診断基準を満たすとされています。

15.慢性閉塞性肺疾患

診断基準

慢性気管支炎・肺気腫・気管支喘息・びまん性汎細(はんさい)気管支炎が該当します。

呼吸の流れが悪い、気流閉塞が起こっている場合に、介護保険の適用となります。

16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

診断基準

膝の関節か股関節が変形したために痛みや機能低下が確認される場合は介護保険法上の特定疾病とされます。X線・歩行機能・関節の動く範囲や痛みの度合いについて詳細な判断基準があります。

まとめ

介護保険法上の特定疾患の方であれば、40歳以上の方も介護保険のサービスが使えるので、自己負担を軽減できます。

ただし、特定疾患の診断基準には紹介したように細かく決まりごとがあるので、主治医・介護保険の窓口で相談してから要介護申請をされることがおすすめです。