65歳以上の介護保険の支払いはどうなる?徴収方法や保険料の算定方法を解説

65歳以上の介護保険について

介護保険

現役世代として保険料で介護保険制度を「支える立場」から、介護保険制度のサービスの利用ができる「使う立場」に変わる65歳以上の方。

被保険者としての分類も、65歳以上になると「第1号被保険者」となります。

しかし、介護保険は一生支払う「終身払い」の制度ですので、65歳以上の方も保険料を支払い続けます。

これまで、保険料は給与から医療保険と一緒に給与から天引きされていた方も多いでしょう。

しかし、会社からの給与が無い65歳以上の方の場合、新しい納付方法が始まります。

65歳以上のそれまでと変わる介護保険料の納付方法や、保険料の計算方法の始まりについてまとめました。

ぜひ、65歳以上になったら介護保険がどう変わるのか、この記事で知っておいてください。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

介護保険制度の始まりや基本知識

介護保険制度の始まりや基本知識

介護保険制度が始まった年は、2000年です。

それまでにも老人福祉に関する取り組みは行われていましたが、高齢化問題に拍車がかかり、既存の政策では追い付かなくなってしまったことから、介護保険制度が始まりました。

現在までに3年に一回のペースで介護保険制度の見直しや改正が行われています。

そのため、介護保険制度は現代社会により適応した制度といえます。

関連記事のページでは、介護保険制度設立の背景や改正の歴史についてまとめていますので、ぜひご覧ください。

65歳以上の方は介護保険の第一号被保険者

65歳以上の方は介護保険の第一号被保険者

介護保険制度は、65歳以上の保険料を支払いながら介護保険制度のサービスを利用する方(第1号被保険者)と、40歳以上64歳以下の保険料を支払い、介護保険制度を支える方(第2号被保険者)に分けています。

65歳の誕生日を迎え、65歳以上となった方は、介護保険制度における第1号被保険者となります。

第1号被保険者は、要介護(要支援含む。以下同じ)認定を受けたときに介護保険のサービスを利用することができます。

介護が必要になった理由は問いません

40歳以上64歳以下の第2号被保険者は、加齢が原因・関係するとされる、16の特定疾病(末期がん・脳血管疾患、関節リウマチなど)が原因で要介護認定を受けたときは、介護保険のサービスを利用することができますが、それ以外の場合は介護保険のサービスは利用できません。

介護保険で利用できるサービスとは

介護保険で利用できるサービスとは

介護保険制度で利用することができるサービスは、次の3つに分けられます。

  • 介護給付
  • 予防給付
  • 総合事業

要介護認定のレベルによって、利用できるサービスが異なります。

また余談ですが、予防給付は2005年の一回目改正の際に始まりました。

詳しい内容は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考になさってください。

介護保険法とは?制度やできた経緯、サービス内容などわかりやすく解説!

介護保険サービスを利用するためには要介護認定を受ける必要がある

要介護認定はサービスを受けるための条件・手続きは?

ところで、65歳以上の方が介護保険による介護サービスを利用する際は、まず、介護保険の保険証が必要です。

しかし、介護保険証があれば無条件でサービスが利用できるわけではありません。

介護保険制度のサービスを利用するために、まずは要介護認定を受けることから始まります

65歳以上の方のサービスの給付条件となる、要介護認定の仕組みは以下の通りです。

サービス利用に必要な要介護認定の仕組み・流れとは?

サービスに必要な要介護認定の手順・仕組みとは?

要介護認定は、基本的に65歳以上の人が、日常生活の中でどれくらい介護を必要とするか判断する手続きです。

ご本人の身体動作の状況や、要介護時間を判定し、その結果を考慮して要介護のレベルを決められる仕組みです。

申し込みは、まずお住いの自治体の介護保険課等介護保険の窓口にて申請するところから始まります。

1次判定

自治体の担当者による聞き取り調査と主治医意見書を基に、コンピューターが「要介護認定等基準時間」=介護に必要とされる時間を推計して算出、7つのレベルに分類。

2次判定

1次判定の結果に基づき、介護認定審査会が審査、要介護度を判定する

要介護認定は、7のレベルに区分されています。

軽いほうから、「要支援1~2」と「要介護1~5」です。

レベルにより、介護保険サービスの内容や支給限度額が決められています。

65歳以上の方が保険料支払いの始まりを迎える前に確認すべきこと

65歳以上の方の介護保険料の支払いは?

それまで給与から天引きされていた介護保険料ですが、65歳以上になると、基本的に「年金からの天引き」という新しい徴収方法が始まります

65歳以上の方が、身体の自由が利かない場合があったり、地方で交通機関が不便な場合に納付書で支払うことはとても不便で、負担です。

そこで介護保険料は、年金からの天引き(特別徴収)を基本としています。

徴収方法:年金からの天引きが始まる

介護保険の徴収方法・65歳以上は年金からの天引き

介護保険料の徴収方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。

65歳以上の方は、年間18万円以上年金を受給している場合には、基本的に介護保険法の定めにより特別徴収(天引き)での支払いが始まります。

特別徴収の場合、年金支払いのタイミングである2カ月ごとに、支払われる年金の額から天引きされます。

高齢者の負担や手間の軽減が主な理由として、天引きされることとなっています。

高齢者の場合、年金受給者がほとんどです。

もし天引きになるのであれば、本人も行政も手間が減らせることから、介護保険料の特別徴収が始まりました。

複数の年金を受給している場合はどうなるの?

複数の年金を受給している場合はどうなるの

複数の年金を受給している場合、以下のような順番で天引きされる年金が決まります。

  1. 老齢基礎年金
  2. 老齢・通算年金
  3. 退職年金
  4. 障害年金
  5. 遺族年金

65歳以上の方の介護保険料の決定・算定方法は?

65歳以上の方の介護保険料、決定・算定方法は?

65歳以上の方の介護保険料は、自治体ごとに異なる「基準額」と、課税所得の額によって決められるという方法が始まります

課税所得や、課税所得からの控除額については、確定申告の時と同様に考えるのが介護保険料計算のルールです。

基準額のほか、課税所得の区分は自治体ごとに違っており、細かく段階分けされています。

この段階分けは、国の定める指針では9段階ですが、東京の特別区の各自治体では16段階に分けられているところもあり、よりきめ細かく公平に保険料を決められるようにしています。

基準額×所得別の係数(例:0.375~6に分かれている)=保険料年額

上記の計算式で、保険料が算出されます。

65歳以上の方も年金所得から控除される所得を引いた課税所得を基準にして、保険料が決定されます。

被扶養者が64歳以下の場合、徴収は健康保険から

被扶養者が64歳以下の場合の保険料の徴収は健康保険から

典型的なケースは、年金受給者である夫が65歳以上になった場合に、専業主婦である被扶養者の妻が、64歳以下の場合です。

この場合は、夫が加入する国民医療保険から、妻の介護保険料を支払います

64歳以下の方は、医療保険から、介護保険を支払う仕組みになっているので、扶養義務者の医療保険からの支払いになります。

これに対して、被扶養者が65歳以上になった場合は、被扶養者が独立で支払う義務が始まります。

上記の典型的な場合では、65歳になった妻の年金から保険料を天引きで徴収することとなります

まとめ

まとめ

以上、65歳以上の方の介護保険について、サービス利用や新しい保険料支払いの始まりについてご説明しました。

年金から保険料が天引きになる点、保険料の計算方法、サービスを利用するには、要介護認定が必要な点、また被扶養者の介護保険料の支払い方法など、知っておくと今後に役立ちます。

お金の面では、公的保険と民間保険を組みわせて、できるだけ介護のニーズにあった老後のプランを立てておきましょう。

比較的負担の少ない保険料の安い民間介護保険なども紹介しているので、気になる方はぜひそちらもご覧ください。

安い介護保険を探しているならこれがおすすめ!保障も充実な保険を紹介

保険の新規加入や見直しを検討するにあたり、保険のぷろサービスがおすすめです。

保険に精通したファイナンシャルプランナーが35社以上にもわたる保険会社から、人一人に最適な保険プランを提案します。

オンラインはもちろん、全国どこでも対面にて相談することも可能ですので、お気軽にご相談くださいね。

保険のプロに相談する

-介護保険

フッターバナー