がん保険を取り扱う保険会社はいくつかありますが、県民共済も選択肢の1つです。県民共済のがん保険(がん保障)には、民間保険にはない特徴があり、最低限の特約で十分な人や40代以降で安いがん保険を探している人におすすめです。
本記事では、がん保険への加入を考えている人に向けて、県民共済のポイントを解説します。特約の内容や県民共済のメリット・デメリットをチェックしていきましょう。
県民共済のがん保険には2つの特約がある
県民共済のがん保険は、新がん特約と新三大疾病特約の2種類の特約が用意されています。
それぞれどのような保障内容なのか、この章で確認していきましょう。
新がん特約
新がん特約は、がんを治療するための入院や通院などが保障される特約です。入院時に受け取れる共済金は支払い日数に制限がなく、通院時の共済金は60日目までが保障される仕組みになっています。
医療機関でがんの診断を受けた場合も、共済金が支払われます。1度がんと診断されてから5年以内に再発した場合は共済金は支払われませんが、5年経過して入れば再度共済金が受け取れるのもポイントです。
新三代疾病特約
新三大疾病特約とは、その名の通り、三大疾病に罹患した場合に保障が適用されるものです。三大疾病とは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞の3つの病を指します。
保障期間は、県民共済のがん保険に加入してから80歳までとなっています。ただし、総合保障1型に加入する場合に限り、保障期間が65歳までになるため注意してください。
また、新三大疾病特約と前述の新がん特約は、併用できません。したがって、県民共済のがん保険に加入する際は、どちらか一方の特約を選択する必要があります。
新ガン特約の特徴
県民共済の新がん特約は、月掛金にプラスする金額に応じて2つのコースに分けられます。具体的には、以下の通りです。
- 新がん1型特約:月掛金+1,000円
- 新がん2型特約:月掛金+2,000円
この章では、それぞれの加入条件や保障内容・免責期間について確認していきましょう。
加入条件
新がん特約を付帯できるのは、総合保障型もしくは入院保障型に加入している健康な方だけです。持病があったり、健康上不安な点が告知で判明したりした場合は、県民共済のがん保険に加入するのが難しくなります。
保障内容と免責期間
県民共済の新がん1型特約と新がん2型特約の保障内容の違いは、下表の通りです。月掛金に追加する料金が変わると、保険金に違いが出てくるので比較したうえでどちらにするか判断してください。
【新がん1型特約】
被保険者の年齢 | 18~60歳 | 60~65歳 |
診断一時金 | 50万円 | 25万円 |
入院給付金 | 1日あたり5,000円 | 1日あたり2,500円 |
通院給付金 | 1日あたり2,500円 | 1日あたり1,500円 |
手術一時金 | 5万円、10万円、20万円 | 2万5,000円、5万円、10万円 |
先進医療の一時金 | 1~150万円 | 1~100万円 |
【新がん2型特約】
被保険者の年齢 | 18~60歳 | 60~65歳 |
診断一時金 | 100万円 | 50万円 |
入院給付金 | 1日あたり1万円 | 1日あたり5,000円 |
通院給付金 | 1日あたり5,000円 | 1日あたり3,000円 |
手術一時金 | 10万円、20万円、40万円 | 5万円、10万円、20万円 |
先進医療の一時金 | 1~300万円 | 1~200万円 |
なお、県民共済のがん保険になるため、90日間の免責期間が設けられています。仮に免責期間中にがんに罹患しても、十分な保障が受けられないためがん保険に加入するタイミングをしっかり考えることが大切です。
新三大疾病特約の特徴
県民共済の新三大疾病特約には、月掛金にプラス1,200円で加入できる新三大疾病1.2型特約とプラス2,400円で加入できる新三大疾病2.4型特約の2種類あります。
この章では、それぞれの加入条件や保障内容・免責期間について確認していきましょう。
加入条件
県民共済におけるがん保険の代わりになる新三大疾病特約を利用するためには、次の条件を満たしている必要があります。
- 健康な方
- 総合保障型もしくは入院保障型のいずれかに加入している方
保障内容と免責期間
新三大疾病1.2型特約と新三大疾病2.4型特約の保障内容について、下表にまとめました。同じ特約でも保障内容に差があるので、比較しながら確認していきましょう。
【新三大疾病1.2型特約】
被保険者の年齢 | 18~60歳 | 60~65歳 |
診断一時金 | 50万円 | 25万円 |
入院給付金 | 1日あたり5,000円 | 1日あたり2,500円 |
通院給付金 | 1日あたり2,500円 | 1日あたり1,500円 |
手術一時金 | 5万円、10万円、20万円 | 2万5,000円、5万円、10万円 |
先進医療の一時金 | 1~150万円 | 1~100万円 |
【新三大疾病2.4型特約】
被保険者の年齢 | 18~60歳 | 60~65歳 |
診断一時金 | 100万円 | 50万円 |
入院給付金 | 1日あたり1万円 | 1日あたり5,000円 |
通院給付金 | 1日あたり5,000円 | 1日あたり3,000円 |
三大疾病手術 | 10万円、20万円、40万円 | 5万円、10万円、20万円 |
三大疾病先進医療 | 1~300万円 | 1~200万円 |
なお、県民共済の新三大疾病特約のがん保障は、90日間の免責期間が設けられています。最初の掛金を支払った日の翌日を含め、90日以内にがんであることが分かった場合、がん診断共済金は受け取れないので注意してください。
県民共済をがん保険として扱う際のメリット
県民共済に新規加入してがん保険として利用する場合のメリットを3つ紹介します。
通院・手術・再発も保障される
県民共済のがん保険は、通院、手術に対する保障が得られます。近年は医療の発達によって、入院せずに通院や日帰り手術でがん治療するケースも増えています。そのため、県民共済のように通院・手術が保障されるがん保険がおすすめです。
また、県民共済のがん保険の場合、がんが再発した場合でも保障が適用されます。再発性が高いがんという病気に対して、リスクを最小限に抑えたい人に向いていると言えるでしょう。
先進医療にもバッチリ対応
先進医療は、その名の通り、高度な医療技術を用いた最新の治療方法です。健康保険が適用されないため、自己負担額が高額になります。
しかし、県民共済をがん保険として利用すれば、先進医療に対する保障も手に入るため安心です。
一般的に対象外の上皮内がんでも保障がある
上皮内がんとは、皮膚の表面付近に現れるがん細胞のことです。比較的簡単に除去できるため、民間のがん保険の中には上皮内がんに対して保障が適用されないケースもめずらしくありません。
一方、県民共済では、上皮内がんに対応した保障内容も用意されています。さまざまなリスクに備えたい人は、上皮内がんに対する保障が得られる県民共済を選ぶと良いでしょう。
県民共済をがん保険として扱う際のデメリット
県民共済をがん保険として利用する場合に、感じられるデメリットを3つ紹介します。民間のがん保険と県民共済、どちらに加入すべきか迷っている人は、こちらを参考にしてください。
がんに特化した保障内容ではない
県民共済では、民間のがん保険のようにがんだけに特化した商品は存在しません。そのため、総合保障型もしくは入院保障型などの基本契約に特約として保障を付帯する必要があります。
したがって、県民共済以外の保険会社で死亡保障や入院保障がある保険に加入している場合は、保障が重複することになるためその分のお金が無駄になる可能性があります。
とはいえ、県民共済はすべて掛け捨ての保障ということもあり、掛け金は月に数千円程度です。そのため、家計の大きな負担にはならないと言えるでしょう。
掛け金が一律なので人によっては損
前述の通り、県民共済をがん保険として利用する場合、掛け金は基本的に一律になります。そのため、年齢が若い人は、民間のがん保険の方が保険料が安く収まる可能性があります。手術保障や入院保障が割に合わないケースもあるでしょう。
60歳以降の保障額が減る
県民共済をがん保険として利用する場合、60歳以上になると保障内容が変わってきます。先に紹介した通り、60歳未満と60歳以上の場合で比較すると共済金が半額になるケースも多いです。
反面、60歳以上になっても掛け金が変わらず、手術保障や先進医療特約などを利用できる点はメリットとも言えます。
どんな人におすすめ?
県民共済をガン保険・特約として利用するがおすすめの人は、次のような人です。
- 安い保険料でがん保険の保障が欲しい人
- 中高年になっても変わらず保障が適用されるがん保険を探している人
- 最低限の保険料で心筋梗塞や脳卒中に対する保障もほしい人
まとめ
県民共済では、通院・手術・再発にも対応可能ながん保険を用意しています。先進医療にも対応しているため、もしがんに罹患して特別な治療が必要になった場合でも安心です。
ただし、民間のがん保険と違って、がんに特化した保障内容になっていなかったり、掛け金が一律なので人によっては損をしたりする可能性があります。
「がん保険の保障がほしいけど最低限の特約で十分」「40代以降で安いがん保険を探している」という場合は、県民共済のがん保険の利用が適しているため今回紹介した内容を参考に加入を検討してみてください。