「医療保険の契約者を変更したいんだけど、どんなことに気をつけないといけないんだろう...?」
医療保険に加入している場合に、結婚・離婚や贈与などの関係で契約者変更が必要になるケースがあります。しかし、具体的にどのような手続きをすれば良いのか分からず、困ってしまう人も多いですよね。
そこで本記事では、医療保険の契約者変更のやり方を解説します。記事の後半では、医療保険の名義変更手続きをする場合に知っておきたい税金の注意点を確認しましょう。
医療保険の契約者変更は可能?
医療保険は、最初に手続きをした契約者を後から変更できます。親から子へ変更する人も多いです。
この章では、医療保険の契約者変更が発生する具体的なケースや名義変更に必要な手続きの流れをチェックしましょう。
契約者変更を行う様々なケース
医療保険の契約者変更が必要になる場合は人によって異なりますが、例としては次のようなケースがあります。
- 学生の子どもの医療保険を親が契約者として契約し、就職を機に親から子へ契約者変更を行うケース
- 医療保険の契約者が死亡し、契約を継続する場合
- 離婚などが原因で夫から妻へ契約者変更を行うケース
- 法人から個人へ契約者変更を行う場合 など
医療保険の契約者変更手続きは保険会社側からすると、よくある手続きです。親から子へ、夫から妻へ等、契約者変更を考えている場合は、後述する手続きの流れを確認しておきましょう。
手続きはそれぞれの保険会社にて行う
医療保険の契約者変更手続きは、保険会社によって流れが多少異なります。
例えば、アフラックの場合は、被保険者の同意を得た状態で代理店の窓口もしくはアフラックコールセンターに問合せます。保険会社の担当者に名義変更する理由を伝え、詳しい説明を受けてください。その後、約者変更手続きに必要な書類に情報を記入していきましょう。
なお、契約者が死亡した以外の場合は、必ず契約者本人が変更手続きを行わなければいけません。
一方、メットライフ生命の場合は、必ずコールセンターへの問合せが必要です。手続きに必要な書類は後日郵送で届けられるので、忘れずに受取ってください。受取った書類に必要事項を記入し、公的書類とあわせて封筒に入れ、メットライフ生命に返送する手続きの流れになります。
他の生命保険会社での具体的な手続き方法について知りたい人は、医療保険を契約している保険会社に相談して確認しましょう。
ここに注意!契約者変更が影響する3つの税金
医療保険は契約後に契約者変更ができる保険ですが、手続きをした結果、税金に影響が出てくる可能性があることに注意しましょう。保険会社のよくあるFAQなどでもよく取り上げられている内容ですが、重要なポイントなのでしっかり確認してください。
変更時点では基本的に影響はない
医療保険は保険金の受取時などに税金が発生します。そのため、契約者変更の手続きが終わった時点では税金の扱いに影響は出ません。
しかし、医療保険の契約者を変更したことで、保険金・給付金や解約金を請求したときに課税される税金の種類が変わるケースがあります。
税金によって税率が異なるため、税制的なメリットを感じられるか否かで契約者変更の実施を検討するのも1つの方法です。
贈与税
医療保険の契約者変更で贈与税が発生するケースは、契約者と被保険者、保険金の受取人がすべて異なる場合です。具体的には、親から子に変更する場合などに贈与税の課税対象になることが多くなっています。
贈与税が課税されるのは、保険会社から医療保険の給付金・保険金が支払われるタイミングです。
なお、贈与税は年間110万円までの基礎控除が設けられています。受取る給付金・保険金が110万円以下である場合は、贈与税は非課税になるため確定申告などの手続きも不要です。
ちなみに、医療保険を受け取ったタイミングでは受取額が確定しておらず、税金の計算ができないこともあって給付金・保険金の支払い時に課税される仕組みになっています。
贈与税の税率は、一般贈与財産用と特例贈与財産用の2つに分かれています。よく質問があるポイントでもありますが、兄弟間や夫婦間、親子間などでの贈与は一般贈与財産用の税率、祖父母・父母から成人した子ども・孫が贈与を受ける場合は特例贈与財産用の税率が用いられます。
【一般贈与財産用】
基礎控除後の課税額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
【特例贈与財産用】
基礎控除後の課税額 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円以下 | 50% | 415万円 |
3,000万円超 | 55% | 640万円 |
所得税
所得税は、契約者変更した医療保険の満期保険金や解約返戻金をもらった際にかかってくる税金です。医療保険の契約者と受取人が同一の場合に課税されます。
医療保険の契約者変更によって所得税が発生する場合、住民税が大きく変わる可能性があるため注意しなければいけません。
貯蓄性がある医療保険を契約者変更する場合は、税率を確認しておく必要があるでしょう。
なお、医療保険において所得税がかかるのは、満期保険金や解約返戻金が発生する場合のみです。保険料が掛け捨ての医療保険は、契約者変更しても所得税が発生することはありません。
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,999円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
相続税
医療保険の保険金に相続税が課税されるのは、契約者が死亡した場合です。契約者と被保険者が同一で、保険金の受取人だけが異なる場合に相続税が課税されます。
死亡した契約者の解約返戻金を受け取る権利が新しい契約者に移ると考えられるため、相続税の対象になります。
相続税は医療保険の解約返戻金の額だけでなく、死亡した契約者のすべての財産をもとに税金が計算される仕組みです。医療保険以外に多くの財産を持っていた場合は、結果的に贈与税や所得税よりも高い税金が徴収される可能性があります。
まとめ
医療保険は必要な手続きさえ済ませれば、契約者変更が可能な保険です。親から子へ、夫から妻へ名義変更する人も多くいます。基本的には、医療保険の被保険者の合意を得た状態で保険会社に問合せます。契約者変更手続きに必要な資料を案内してもらえるので、情報をすべて記入すれば医療保険の名義変更が完了する流れです。
なお、医療保険の契約者変更をすることで、結果的に税金に影響が出てくるケースもあります。名義変更をしない方が税制的にメリットがある場合も考えられるため、保険のプロなどに相談しながら手続きの必要性を吟味していくことが大切です。
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