持病があると健康な人に比べて入院・手術の可能性が高くなるため、一般的に医療保険への加入が難しくなります。
椎間板ヘルニアの人は医療保険に入ることはできるのでしょうか。
この記事では、ヘルニアの特徴や手術・治療費用の相場、ヘルニアがあっても医療保険に加入できるかなどのポイントを解説します。
ヘルニアでお悩みの方は、ぜひ本記事を参考に最適な医療保険を選びましょう。
そもそもヘルニアとは?
そもそも「ヘルニア」とは、身体の中の一部があるべき場所から飛び出している状態のことです。
椎間板の中の髄核が飛び出してしまい、神経を圧迫している状態を「椎間板ヘルニア」と呼びます。
椎間板は、人間の背骨を構成する24個の椎骨の間でクッションの役割を果たす軟骨です。
老化や激しい運動などの影響により椎間板が損傷すると、内部にある髄核が外に飛び出して神経を圧迫し、激しい痛みやしびれなどの症状が引き起こされます。
腰の部分にある腰椎で発生する「腰椎椎間板ヘルニア」や、頸部で発生する「頸椎椎間板ヘルニア」などがあります。
年代別ヘルニアになる確率
厚生労働省の「令和2年患者調査」によると、年代別の「椎間板傷害」の総患者数は以下の通りです。
年代(一部抜粋) | 患者数(千人) |
---|---|
5〜9歳 | 0 |
15〜19歳 | 10 |
25〜29歳 | 7 |
35〜39歳 | 27 |
45〜49歳 | 72 |
55〜59歳 | 55 |
60〜64歳 | 56 |
65歳以上 | 276 |
上記の通り、若くても椎間板ヘルニアを発症するリスクはありますが、年齢を重ねるごとに患者数は増えていく傾向にあります。
参考:厚生労働省「患者調査」
主な治療方法
椎間板ヘルニアと診断されたら、まず初めに保存療法を行います。
主な保存療法の種類として以下のようなものが挙げられます。
薬物療法 | 鎮痛薬などを使用して痛みを和らげる治療法。 |
---|---|
理学療法 | 筋肉を伸ばしたり血行を改善したりすることで痛みを改善する治療法。コルセットなどを着用するケースもある。 |
神経ブロック治療 | 局所麻酔やステロイド薬などを注射して痛みを和らげる治療法。 |
こうした保存療法で痛みが改善せず、日常生活にも影響が出るような症状が出ている場合は手術療法に進みます。
手術療法には背中側を切開して椎間板を切除する「切開手術」や、背中側から管と内視鏡を入れて行う「内視鏡下ヘルニア摘出術」などのがあります。
椎間板ヘルニアでお悩みの方は医師とご相談の上、最適な治療法を選択しましょう。
ヘルニア手術や治療費用の相場
椎間板ヘルニアの手術にかかる治療費用は、手術の種類によって以下のような相場となっています。
- 切開手術:約70,000円
- 内視鏡下ヘルニア摘出術:約250,000円〜300,000円
- 椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア):約60,000円
公的医療保険によって医療機関の窓口で負担する金額は3割となりますが、それでも手術をすると高額な治療費がかかります。
民間の医療保険に加入し、高額な医療費を支払うための保障を準備しておきましょう。
手術や通院・入院は医療保険の適用対象?
椎間板ヘルニアが原因で入院・手術となった場合、加入している医療保険から給付金を受け取ることができます。
通院保障が付いている医療保険であれば、入院・手術後の通院時にも給付金を受け取れます。
ただし、椎間板ヘルニアと診断されただけでは給付金の対象とはなりません。
また、手術の内容によっては給付されない場合があるため、事前に給付対象となる範囲を把握しておくことが大切です。
さらに通院保障は、一般的に入院・手術を伴う通院のみが保障の対象となります。
通院治療のみで椎間板ヘルニアを治療した場合は、医療保険の給付対象にならない点に注意しておきましょう。
ヘルニアがあっても医療保険への加入はできる?
一般的に持病があると医療保険への加入が難しくなると言われています。
椎間板ヘルニアの場合も過去に医師から診察を受けて治療を行っているのであれば、通常の医療保険に加入できる可能性は低いです。
ただし、「部位不担保」という条件付きで医療保険に加入できる場合があります。
部位不担保とは、特定の「部位」や「疾病」を保障の対象から除く条件のことです。
例えば腰椎椎間板ヘルニアの場合は、腰椎部を除いて保障するという仕組みになります。
しかし椎間板ヘルニアの悪化に備えて医療保険に加入したい場合、部位不担保では一定期間保障が得られません。
椎間板ヘルニアに備えたい場合は、引受基準緩和型・無選択型の医療保険を検討しましょう。
引受基準緩和型・無選択型とは
引受基準緩和型や無選択型の医療保険は、いずれも持病・既往症があっても加入しやすい医療保険です。
椎間板ヘルニアが原因で通常の医療保険に加入できない場合は、引受基準緩和型や無選択型も選択肢として考えましょう。
引受基準緩和型は、保険加入時の告知項目が通常よりも少ないタイプの医療保険です。
3〜5つの告知項目に対する回答がすべて「いいえ」となる場合、椎間板ヘルニアの治療中であっても申し込むことができます。
ただし、通常の医療保険よりも保険料が割高になる点に注意が必要です。
無選択型保険は、健康状態に関する告知や医師による診察がなくても加入できるタイプの医療保険です。
持病や既往症で医療保険に加入できない人を対象とした保険で、椎間板ヘルニアを治療中の人でも入れる商品です。
ただし保険料は通常よりも割高になり、保険金・給付金の額が少なくなります。
通常の医療保険に入れない場合は引受基準緩和型、それでも入れない場合は無選択型の医療保険を検討しましょう。
医療保険加入時の注意点
椎間板ヘルニアを保障するために医療保険に加入する場合、以下の3点に注意が必要です。
- 虚偽の告知をしない
- 保障と保険料のバランスを考える
- 保障対象外のケースを把握する
それぞれの注意点について解説していきます。
虚偽の告知をしない
椎間板ヘルニアがあると医療保険への加入が難しくなるからと言って、加入時の告知で虚偽の内容を申告してはいけません。
虚偽の内容を告知していたことが発覚すると、告知義務違反になってしまう可能性があります。
告知義務違反と判断されると、保険金・給付金を請求しても支給されません。
最悪の場合、保険契約自体が解除されてしまう可能性もあります。
椎間板ヘルニアで医師の診察や治療を受けた場合は、正確に告知しましょう。
保障と保険料のバランスを考える
医療保険を選ぶ際、保障と保険料のバランスをしっかりと考えましょう。
万が一の保障を備えることは大切ですが、保険料が高額になって日々の生活に負担をかけてしまっては元も子もありません。
例えば椎間板ヘルニアが原因で通常の医療保険に入れず、引受基準緩和型や無選択型の医療保険への加入を検討している方も多いでしょう。
しかしいずれも通常の医療保険よりも保険料は割高で、保障内容も少ないケースがほとんどです。
高額な保険料を負担している割に、充実した保障を受けられない可能性は十分にあります。
あらかじめ保障と保険料のバランスを考え、本当に医療保険に入るべきかどうかを判断しましょう。
保障対象外のケースを把握する
医療保険は商品によって保障の対象範囲が異なります。
あらかじめ保障の対象外となるケースを把握した上で、自分に合った商品を選びましょう。
例えば、手術の種類によっては医療保険の対象とならない場合があります。
自分が希望する手術が保障されるかどうかを確認しておくことが重要です。
また、医療保険の通院保障は入院・手術を伴う通院を対象としているケースがほとんどです。
椎間板ヘルニアを通院だけで治療した場合、通院給付院は支給されない可能性が高いです。
事前に商品の保障範囲を把握し、自分に合った保障を受けられる医療保険に加入しましょう。
記事のまとめ
椎間板ヘルニアは椎間板にある髄核が飛び出して神経を圧迫し、激しい痛みやしびれなどを引き起しています。
若い人でも発症のリスクがあり、薬物療法や理学療法、切開手術などによって治療を行います。
手術をすると高額な治療費がかかりますが、医療保険に加入していれば保障を受けることが可能です。
引受基準緩和型や無選択型保険なども視野に入れながら、椎間板ヘルニアによる入院・手術に備えることが重要です。
本記事でご紹介した注意点を参考に、椎間板ヘルニアに備えた最適な医療保険に加入しましょう。