2017年(平成25年)2月22日、胃がんなどの病気の原因にもなるピロリ菌に関する医療保険制度が改正されました。
ピロリ菌が体内にいる可能性がある人やすでに治療している人の中には、「医療保険はおりるのだろうか」と気になっている人もいるでしょう。
そこで本記事では、ピロリ菌に対する治療で公的医療保険が適用されるのか見ていきます。
併せて、民間医療保険での扱いについても詳しく解説しているので、ピロリ菌と医療保険についてお調べの方は、ぜひ続く内容をご覧ください。
ピロリ菌とは
ピロリ菌は免疫が未熟な子どものうちに感染するケースが多く、胃の粘膜に入り込むと胃酸を中和させて胃を傷つけるのです。
すると、胃は細菌から体を守ろうと免疫反応を起こします。
この状態が継続すると、胃の中で炎症が発生し、慢性胃炎や胃がんの原因になることがあるため注意が必要です。
これまでピロリ除菌は一部しか公的医療保険の対象になっていなかった
従来、ピロリ菌の治療で公的医療保険が適用される範囲は、以下の病気に罹患している場合のみでした。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 早期胃がん
- 胃MALTリンパ腫
そのため、症状が悪化してからでなくては、保険が適用されなかったので、患者の治療費負担が大きかったのです。
しかし、2017年(平成25年)2月22日から対象範囲が広がりました。
この改正によってピロリ菌に医療保険が適用されるため、患者の自己負担が減り、治療や検査を受ける人が増加することが期待されています。
また前述の通り、ピロリ菌は胃がんの原因にもなる細菌です。
胃がんの罹患率は非常に高く、胃がん患者のほとんどがピロリ菌に感染しているというデータがありました。
慢性胃炎や胃がんになる前に、検査や除去を医療機関で行い、防ぐことができまするようになったのです。
医療保険がおりる範囲が拡大されたことで、ピロリ菌の治療や検査を受ける人が増え、胃がんの早期発見・予防につながるという見通しもあります。
ピロリ菌感染者は保険診療を受けられる?
2017年(平成25年)2月22日から、先に説明した医療保険がおりる病気に「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(慢性胃炎)」が追加されました。
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎とは、その名の通り、ピロリ菌に感染することで引き起こされる慢性的な胃炎のことです。
このヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が進行することで、胃がんに発展する恐れがあるといわれていました。
医療保険がおりる病気にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が加えられたことで、ピロリ菌に感染した人のほぼ全員が保険診療を受けられるようになったのです。
罹患者の年齢や所得にもよりますが、2022年12月現在は、ほとんどの人が自己負担3割だけでピロリ菌の診療を受けられるようになっています。
内視鏡検査が必須
ただし、医療保険がおりる状態にするには、必ず内視鏡検査を受けなければいけません。
胃カメラで胃の中に慢性胃炎等の所見があると確認し、クリニックなどの医療機関から診断を受けることが保険適用・請求の条件。
ピロリ菌除去前の感染診断について、検査方法は以下の7つがあります。
- 迅速ウレアーゼ試験
- 鏡検法
- 培養法
- 抗体測定
- 尿素呼気試験
- 糞便中抗原測定
- 核酸増幅法
上記のうち、内視鏡検査に該当するものとしないものは以下の通りです。
内視鏡検査 | 迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法 |
---|---|
内視鏡を使わない検査 | 抗体測定、糞便中抗原測定、尿素呼気試験、核酸増幅法 |
したがって、医療保険がおりる状態でピロリ菌の検査・治療を受けたいと考えているなら、迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法のいずれかを受ける必要があります。
ピロリ菌治療の流れや負担額は?
ピロリ菌検査で慢性胃炎が発覚した場合、除菌治療が始まります。
胃酸を抑える薬と抗生物質を一週間服用するというものです。
除菌後一定期間を置き、再度ピロリ菌検査を行って、除菌が完了したかどうかを確認するというものです。
前述しましたが、ピロリ菌の検査に医療保険が適用されるためには「内視鏡検査」が必須です。
そのため、内視鏡検査以外の検査方法でピロリ菌の有無を確かめたい場合は、自費になります。
医療保険が適用されると5,000円程度の医療費負担で検査できますが、自費となると1.5万円~2万円程度かかるといわれています。
内視鏡検査に抵抗がある方も多いかと思いますが、技術が改良され苦痛が少なくなっていますし、胃がん予防にもつながるのです。
胃がんになった場合、治療に医療保険はおりますが、何倍もの経済的な負担がかかります。
内視鏡検査を行い、しっかりと除菌治療をしておくことで、そのリスクを回避できる可能性がかなり高くなるのです。
ピロリ菌治療のための通院・入院に民間医療保険はおりる?
民間の医療保険に加入している場合は、ピロリ菌が要因の通院・入院をした場合に給付金を受け取れる可能性が高いです。
ただし、通院給付金や入院給付金の支払条件は契約している医療保険によって異なるため、一度生命保険会社の担当者に確認することがおすすめ。
また、ピロリ菌が原因で民間医療保険を使う場合に、「一度使うと保険料が上がるのでは?」という疑問もあるかもしれません。 答えを言ってしまうと、一度使ったからといって保険料が上がることはありません。
こちらについては別記事:医療保険を一度使うと高くなるってホント!?にて詳しい解説を加えているので、気になる方はぜひそちらもご覧ください。
一方、民間の医療保険に加入していない状態でピロリ菌に感染した人もいるでしょう。
ピロリ菌の感染を機に、民間の医療保険の契約を前向きに考えている人もいるかもしれません。
それでは、ピロリ菌感染状態で民間医療保険に加入することはできるのでしょうか?
そもそも加入できるかどうかについて
ピロリ菌に感染している場合でも、一般的な医療保険に加入できる可能性は十分にあります。
しかし、医療保険は基本的に健康状態などの告知・診査があるため、加入を希望する医療保険の条件や病状によっては難しいケースがあります。
生命保険会社によって対応が変わってくるため、医療保険に加入する際は一度確認した方が良いでしょう。
場合によっては、契約自体を断られたり、部位不担保の制約を付けられたりする可能性があります。
以下の記事では、持病がある方も加入しやすい医療保険についてまとめているので、是非参考にしてみてください。
持病ありの方も加入しやすい医療保険とは?保障内容やおすすめを紹介!
昔加入した医療保険のままだとピロリ菌が保障対象になっていない可能性がある
民間の医療保険にすでに加入していらっしゃる方も多いかと思われます。
ただ、ピロリ菌検査や治療のための通院・入院が加入している医療保険の保障範囲になっているかどうかは定かではありません。
ピロリ菌にかかわる公的医療保険制度の内容が大きく変更されたのは、2017年(平成25年)2月22日です。
また、不定期的に少しずつ改正されてもいます。
そのため、昔加入した医療保険の保障内容が、公的医療保険制度の改正内容に適応したものかどうかは怪しいのです。
困ったらファイナンシャルプランナーに無料相談
公的医療保険制度の改正前に加入した民間医療保険では、改正が反映されていない保障内容で契約している可能性があります。
せっかく医療保険に加入し、リスクに備えているのであれば、この機会に見直しを行い、より自分に合った保障内容を考えましょう。
しかし、どの保険が今の自分に合っているのかわからないという方も多いかと思います。
そこで、困ったときには保険選びのプロに相談することがおすすめです。
保険のぷろでは、実績のあるファイナンシャルプランナーが、あなたに最適な保険プランを無料で何度でもご提案いたします。
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是非お気軽にお問い合わせください。
まとめ
胃に感染すると胃がんなどの原因にもなるピロリ菌は、2015年(平成25年)まで医療保険がおりる範囲が限定されていました。
しかし、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎でも医療保険がおりるようになったため、ピロリ菌に感染したほぼすべての人が保険適用で検査・治療を受けられます。
ただし、内視鏡による検査が条件とされています。
ピロリ菌に感染したことをきっかけに医療保険に加入したいと考えている場合は、生命保険会社に一度相談してみてください。
一般的な医療保険でも問題なく加入できるできるケースもあるため、まずは自分にあう医療保険を探すことから始めましょう。