介護保険のサービスとは?支給限度額・自己負担割合を確認しよう

介護保険のサービス内容や支給限度額について解説

介護保険のサービスとは?支給限度額・自己負担割合を確認しよう

介護保険

介護保険は40歳になると加入する保険で、65歳以上になると要介護度に応じたサービスを受けられるようになります。

介護費用の自己負担額が軽減されるメリットがありますが、これには支給限度額があるため注意が必要です。

そこで本記事では、介護保険の支給限度額について詳しく見ていきます。
あわせて負担軽減措置や保険料滞納時のペナルティなども確認していくので、ぜひ役立ててください。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

そもそも介護保険のサービスとは

そもそも介護保険のサービスとは

日本では、40歳になると介護保険に加入し、保険料を支払うルールとなっています。

そして、原則65歳以上になり、要介護認定がなされると必要なサービスを受けることができます(第1号被保険者)

また、40歳から64歳までの間に特定疾病となり、介護が必要だと認定された場合も同様です(第2号被保険者)

なお、介護保険における特定疾病は、以下16種類です。

  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脳血管疾患
  • 後縦靭帯骨化症
  • 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 多系統萎縮症
  • 慢性関節リウマチ
  • 初老期における認知症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
  • 早老症
  • 末期がん

厚生労働省:介護保険とは

介護保険が適用されたサービスを利用すると、自己負担する料金が割り引かれます。
基本的には介護サービスにかかった費用の1割の支払いだけですみます。

ただし、所得が一定額以上ある場合は、2割もしくは3割の自己負担が必要です。

負担割合は毎年7月下旬に更新される

負担割合は毎年7月下旬に更新される

介護費用の自己負担割合は前年の所得をもとに決定され、毎年7月に更新されます。。

要介護認定の申請を出すと1ヶ月程度で認定が決まり、介護保険負担割合証と介護保険被保険者証が発行される仕組みです。

要介護認定の申請手順は、以下のとおりです。

  1. 市区町村、もしくは地域包括支援センターの窓口で必要書類を提出する
  2. 要介護認定の認定調査が行われる(訪問調査、主治医の意見書、コンピュータによる一次判定、専門家による審査会・二次判定)
  3. 要介護度が通知される

要介護認定の申請手順について詳しく知りたい方は、厚生労働省の差異化サイトをチェックすることをおすすめします。

厚生労働省:サービスまでの流れ

負担割合証は介護保険被保険者証と一緒に保管する

負担割合証は介護保険被保険者証と一緒に保管する

負担割合証は介護サービスを利用するときに、必ず必要になる書類です。
そのため、手元に届いたら介護保険被保険者証とあわせて大切に保管しておきましょう。

また、記載されている情報に変更が生じた場合は、速やかに内容を更新する手続を行ってください。

支給限度額がある

支給限度額がある

冒頭で触れましたが、介護保険の費用負担は介護認定の度合いに応じた支給限度額が決められています。

下の一覧表に介護保険における1ヶ月あたりの支給限度額を介護度別にまとめたので、確認してみましょう。

要支援1 50,030円
要支援2 104,730円
要介護1 166,920円
要介護2 196,160円
要介護3 269,310円
要介護4 308,060円
要介護5 360,650円

厚生労働省:サービスにかかる利用料

上表の金額を超過した場合は、オーバーした分の介護費用をすべて自分で負担する必要があります。
預貯金や年金などで賄わなければいけないため、きちんと計算して介護サービスを利用しましょう。

介護サービスには負担軽減措置が設けられている

介護サービスには負担軽減措置が設けられている

介護保険を通していろいろな介護サービスを利用できますが、所得が低い方向けのサポートも用意されています。
所得別に区分があり、全部で4段階あります。

設定区分 対象者
第1段階 生活保護者、世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下
第3段階 世帯全員が市町村民税非課税かつ、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超
第4段階 市区町村民税課税世帯

サポート内容は、認定区分の段階に応じて異なるのが特徴です。

ここでは、介護サービスに関する代表的な負担軽減措置を3つ紹介するので、それぞれ内容を簡単に確認してみましょう。

厚生労働省:サービス利用者の費用負担等

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費

介護保険特定入所者介護サービス費とは、所得や資産が一定額以下の場合で、介護保険施設を利用する際に適用されるサービスです。
具体的には、負担限度額を超過した居住費・食費が介護保険から支給されます。C特定入所者介護サービス費における負担限度額は、所得や利用する施設・部屋のタイプによって異なります。

介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、短期入所療養介護の場合

介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、短期入所療養介護を利用する場合は、下表のとおり、負担限度額が決められています。

基準費用額(日額) 負担限度額(日額) 負担限度額(日額) 負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階
【食費】 1,380円 300円 390円 650円
【居住費】ユニット型個室 1,970円 820円 820円 1,310円
【居住費】ユニット型個室的多床室 1,640円 490円 490円 1,310円
【居住費】従来型個室 1,150円 320円 420円 820円
【居住費】多床室 840円 0円 370円 370円

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、短期入所生活介護の場合

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、短期入所生活介護の場合は、下表のとおり、負担限度額が決められています。

基準費用額(日額) 負担限度額日額) 負担限度額(日額) 負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階
【食費】 1,380円 300円 390円 650円
【居住費】ユニット型個室 1,970円 820円 820円 1,310円
【居住費】ユニット型個室的多床室 1,640円 490円 490円 1,310円
【居住費】従来型個室 1,640円 490円 490円 1,310円
【居住費】多床室 370円 0円 370円 370円

高額介護サービス費

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、介護費用の自己負担額の合計が区分の上限額を超えた場合にオーバーした分が介護保険から支給される制度です。

認定区分ごとに負担の上限額をまとめたので、確認してみましょう。

設定区分 対象者 負担の上限額(月額)
第1段階 生活保護を受給している方等 15,000円(個人)
第2段階 前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)/15,000円(個人)
第3段階 世帯全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600円(世帯)
第4段階 市区町村民税課税世帯(一定の場合、年間上限があります。) 44,400円(世帯)

なお、介護保険の高額介護サービスの支給を受けるためには、市区町村への申請が必要です。

高額医療・高額介護合算療養費

高額医療・高額介護合算療養費

高額医療・高額介護合算療養費とは、年額の限度額を500円以上超えた場合に自己負担額が軽減される制度です。

医療保険と介護保険の両方に自己負担が出た場合に、世帯単位で医療費・介護費を合算して、市区町村に申請することで超過分が支給されます。

注意:介護保険料を滞納しているとペナルティがある

注意:介護保険料を滞納しているとペナルティがある

40歳になると保険料を支払い、介護保険に加入しますが、介護保険料を滞納していると介護保険サービスの支払方法が変更される場合があるため注意が必要です。

1年以上滞納していると、介護サービスで請求された費用の全額を一度すべて自己負担しなければいけません。
ただし、後から必要な申請手続きを行うことで9割分が返還されます。

なお、1年6ヶ月以上介護保険の保険料を滞納していると、介護保険給付が止められるため十分注意してください。
申請しても本来介護保険で負担してもらえる費用が返還されることはありません。

2年以上滞納すると、自己負担額が(1割・2割負担の方は)3割に引き上げられるペナルティを受けます。
元々が3割負担の方は、4割に引き上げられるため注意が必要です。
申請しても本来介護保険で負担してもらえる費用が返還されることはありません。

場合によっては、預貯金や不動産などを差し押さえられる恐れもあるため、介護保険料はしっかり支払うようにしましょう。

東大阪市:介護保険料を納付しないでいると・・・

まとめ:介護保険には支給限度額が設定されている

まとめ:介護保険には支給限度額が設定されている

介護保険に加入していると介護が必要な状態になった場合に、介護費用の一部を自己負担するだけでサービスを受けられます。。

ただし、要介護度に応じて負担限度額が定められているため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
年金や預貯金でうまくやりくりできるよう計画を立てておくといいでしょう。

公的な介護保険だけでは自己負担額が多くなりそうな場合は、民間の保険会社が販売している介護保険を利用するのもおすすめです。

保険料を別途負担する必要はあるものの、介護サービスの費用に対する不安を軽減できるのでぜひこの機会に加入を検討してみてください。

関連記事

-介護保険

フッターバナー