医療保険制度と介護保険制度では、看護・介護サービスにかかる費用負担を軽減してくれます。
しかし、2種類の保険制度には使いどころや適用条件に違いがあるのです。
この記事では、医療保険制度と介護保険制度の違いについて解説し、併用することはできるのか紹介しています。
ぜひ今後の保険加入の参考になさってください。
医療保険と介護保険の特徴
医療保険制度とは、突然の病気やケガをした際の医療費の自己負担額が軽くなる制度のこと。
また、介護保険制度とは、要介護状態または要支援状態となった場合に所定の介護サービスを、1〜3割の自己負担で利用できる制度のことです。
それでは公的医療保険制度と介護保険制度の違いについて、詳しく解説していきましょう。
医療保険と介護保険の対象者の違い
医療保険と介護保険ではまず、加入できる対象者に違いがあります。
医療保険
全国民が何らかの医療保険に加入しており、年齢に関わらず利用することが可能です。
医療保険は加入者本人だけでなく、加入者に扶養されている家族も同様に医療サービスを受けることができます(会社員の場合)。
医療保険では、年代ごとに医療費用の自己負担割合が以下のように異なります。
年代 | 医療費の自己負担割合 |
---|---|
未就学児 | 2割 |
小学生~69歳 | 3割 |
70歳~74歳 | 2割(現役並みの収入がある場合は3割) |
75歳以上 | 1割(一定以上の収入がある場合は2割、 現役並みの収入がある場合は3割) |
介護保険
一方、介護保険制度は、原則40歳以上でなくては加入、またはサービスを利用することができません。
また、介護保険制度に加入していても年齢や状況によって、サービスを受けることができるとは限らないのです。
年齢 | サービス利用条件 |
---|---|
40歳~64歳 | 介護が必要になった原因が、加齢に伴う特定疾病であり、 要支援・要介護認定を受けている場合 |
65歳以上 | 介護が必要になった原因に関わらず、日常生活の基本動作が困難で 要支援・要介護を受けている場合 |
サービスの利用条件は上記のように違いがありますが、介護保険料の支払いは40歳から始まります。
40歳~64歳の介護保険加入者のことを第2号被保険者と呼び、65歳以上の加入者のことを第1号被保険者と呼びます。
医療保険と介護保険のサービスの違い
2つ目の違いは、医療保険制度と介護保険制度で利用できるサービスです。
公的保険制度は基本的に現物支給です。
医療保険
医療保険制度は、基本的に医療機関を介してサービスを受けます。
そして、私たちが公的医療保険で利用する機会が多い保障は以下の通り。
サービス例 | 内容 |
---|---|
療養給付 | 医療費の窓口負担が1~3割になる |
高額療養費制度 | 1か月の医療費負担が一定額を超えた場合、費用が抑えられる制度 |
傷病手当金制度 | ケガや病気によって働けなくなった場合の収入減に 対処することができる制度(会社員の場合) |
40歳未満で、特定疾病により介護サービスが必要になった場合や介護サービスが必要と医師に判断された場合は、医療保険制度でも介護サービスを利用できます。
また第1号被保険者、第2号被保険者であっても風邪や歯の治療などは、医療保険制度が適用されます。
介護保険
一方、私たちが公的介護保険制度で利用できるサービスは、要支援・要介護認定の度合いによって変わります。
施設サービス | 特別養護老人ホームや介護老人保健施設、 介護療養型医療施設などの施設に入ることができる。 |
---|---|
訪問サービス | 自宅に訪問してもらって介護や看護、リハビリができる。 |
通所サービス | 施設に通ってリハビリやデイサービスを受けられる。 |
介護予防サービス | 介護予防のためのサービスを、訪問や通所で受けられる。 |
地域密着型介護予防サービス | グループホームや定期巡回など、地域密着で受けられる。 |
また、一週間に利用できるサービスの回数や時間にも違いがあります。
介護保険制度で利用できるサービスの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考になさってください。
関連:介護保険制度とは?公的・民間の違いは?サービスや仕組みについて徹底解説
医療保険と介護保険の支給限度額の違い
3つ目の違いは、医療本制度と介護保険制度の支給限度額です。
医療保険
医療保険制度に支給限度額はありません。
むしろ一か月の医療費負担が一定上になった場合、さらに負担が軽減される高額療養費制度まであります。
介護保険
一方介護保険制度では、要支援・要介護の段階ごとに、一か月あたりの支給限度額が設定されています。
各段階での支給限度額は、以下の通り。
区分 | 支給限度額 |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
介護保険制度には、高額療養費制度のような仕組みがありません。
そのため、限度額を超えないように担当のケアマネジャーにしっかりと相談することが重要です。
医療保険と介護保険は併用できる?
結論から言うと、医療保険制度と介護保険制度は併用することはできません。
要支援・要介護認定を受けていて、医療保険制度と介護保険制度の両方が適用される可能性がある方は、介護保険制度が優先。
そのため、要支援・要介護認定を受けている場合は、介護保険制度が優先され、受けていない場合は医療保険制度を利用するのです。
介護保険制度は40歳以上の人が加入対象のため、40歳以上の人は医療保険制度と介護保険制度に二重で加入することになります。
前述しましたが、医療機関にかかる時には医療保険制度の保障を利用するため、二重加入はしかたありません。
医療保険と介護保険は、どちらも生命保険会社が販売する保険商品があります。
民間の医療保険と介護保険は、生命保険会社によっては併用することが可能なので確認してみてください。
訪問看護はどちらで利用できる?
訪問看護では、看護師・保健師による看護を在宅で受けることができます。
40歳未満で訪問看護を利用したい方は、厚生労働大臣が定める特定の疾患に該当した場合、医療保険制度として適用。
要支援・要介護認定を受けている場合は、介護保険制度が優先されます。
また訪問看護とよく似た言葉として知られる「訪問介護」は、医療業務が含まれないため、医療保険が適用されず介護保険制度でしか利用できません。
民間の保険に加入する必要性はある?
前述した通り、医療保険と介護保険のサービスを併用したい場合は、民間の保険に加入するという手段があります。
民間医療保険に加入する必要性
民間の医療保険は、病気・ケガをして所定の入院や手術をした場合に給付金を受け取ることができる保険です。
民間医療保険は比較的加入する必要性が高め。
日本の医療保険制度は充実していますが、入院にかかる費用など、適用対象外の費用が多いため、民間医療保険でカバーすることが必要です。
民間の医療保険は使い道が指定されていないため、給付金を利用してリハビリや訪問介護などのサービスの利用料金に充てることができます。
以下の記事で民間の医療保険に加入する必要性について解説していますので、参考になさってください。
関連:民間医療保険は必要か?加入が不要と言われる理由や必要性に関して徹底解説
民間介護保険に加入する必要性
民間の介護保険は、契約者が要介護・要支援状態になり、介護費用がかかった場合に、保険金が支払われるという仕組みの保険です。
民間介護保険は、保障内容の適用条件が介護保険制度と大きく変わらないため、全員がすぐに加入する必要性は低いです。
以下の記事で民間の介護保険に加入する必要性について解説していますので、参考になさってください。
関連:公的制度を補う民間介護保険の必要性は?要介護時の自己負担は想像よりきつい
記事まとめ
医療保険制度と介護保険制度は、利用できるサービスに似ている点がありますが、条件や保障内容にいくつかの違いがあります。
要支援・要介護認定を受けた場合は介護保険制度が優先され、医療保険制度との併用はできません。医療保険・介護保険を併用したい場合は、民間との保険を組み合わせる必要があります。
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