これからがん保険に加入を検討している女性の中には、掛け捨て型で女性特有のがんに備えておきたいと考えている方もいるでしょう。
安心できるがん保障をつけるには、まず女性特有のがんについて理解するとともに、女性向け掛け捨て型がん保険の保障内容についても知っておくことが大事です。
そこで今回は、女性向け掛け捨て型がん保険の保障内容やメリット・デメリット、選び方やベストな加入タイミングなどについて詳しく解説していきます。
女性特有のがんについて理解しよう
女性向けの掛け捨て型がん保険についてご紹介する前に、まずは女性特有のがんにはどのようながんがあるのかを確認していきましょう。
女性特有の主ながんには以下のものがあります。
- 乳がん
- 子宮頸がん
- 卵巣がん
これらのがんは、20代といった若い世代の女性でも罹患する方もおり、それゆえに20代から50代にかけては男性よりも女性の方ががん罹患率が高くなっています。
では、上記のがんについて簡単に解説していきます。
乳がん
乳がんは乳腺(母乳をつくるところ)の組織にできるがんで、乳房の周りのリンパ節や骨、肺などに転移することがあります。
主な症状は乳房のしこりですが、ほかにも乳房にえくぼができる、ただれる、乳房の形が左右で非対照になる、乳頭から分泌物が出るといった症状がでることもあります。
ちなみに、乳がんは男性でも罹患することがあります。
子宮頸がん
子宮がんには、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」があります。
子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生することが多いため、婦人科診察の際などに発見されやすく、早期発見できれば比較的治療がしやすいですが、進行するほど治療が難しくなります。
進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器にも転移したりすることがあります。
初期症状は特にないことが多く、進行すると不正出血や下腹部の痛みなどが出てきます。
卵巣がん
卵巣がんは、卵巣に発生するがんです。進行すると、腹膜播種(はしゅ)(おなかの中にがんが広がること)が起きやすくなり、また、大腸、小腸、横隔膜、脾臓(ひぞう)といった周辺臓器に転移することもあります。
初期の自覚症状はほぼなく、下腹部のしこりに気づく、おなかが張るなどの症状があって受診することが多いですが、このような症状が出ているときはすでにがんが進行している可能性があります。
女性向け掛け捨て型がん保険の特徴と保障内容
がん保険は各保険会社から様々な種類のものが販売されていますが、その中に女性向けのがん保険を販売しているところもあります。
がん保険には、「貯蓄型がん保険」と「掛け捨て型がん保険」がありますが、現在は掛け捨て型が主流となっていますので、ここでは掛け捨て型がん保険についてご紹介していきます。
では、女性向けの掛け捨て型がん保険にはどのような特徴があるのか、また具体的にどのような保障内容になっているのか、詳しく見ていきましょう。
女性向け掛け捨て型がん保険の特徴
「女性向け掛け捨て型がん保険と一般的な掛け捨て型がん保険とでは何が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
女性向け掛け捨て型がん保険は、一般的な掛け捨て型がん保険の保障内容にプラスして以下のような保障も備えています。
- 女性特有のがん手術を受けた際の上乗せ保障
- 乳がん手術を受けた場合の乳房再建手術の保障
一般的ながん保険よりも手厚い保障が受けられるので、保険料は割高になることが多いです。そのため、保険料負担を軽減できるよう掛け捨て型のがん保険に加入する方が多いです。
女性向け掛け捨て型がん保険で受けられる保障
女性向け掛け捨て型がん保険で受けられる主な保障には以下のものがあります。
- 診断給付金(診断一時金)
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
ではそれぞれの保障内容について詳しく確認していきましょう。
診断給付金(診断一時金)
医療機関を受診し「がんと診断されたとき」に受け取ることができる給付金です。一時金としてまとまったお金を受け取れ、金額は50万円や100万円、200万円など契約時に決めます。
女性向け掛け捨て型がん保険の中には、女性特有のがんに罹患した場合に、給付金が上乗せされて受け取れる商品もあります。
診断給付金の使い道は自由なので、入院費や通院費、またはがん治療のために休業した場合の収入の補填などにも利用できます。
入院給付金
がん治療を目的として入院した場合に受け取れる給付金です。「入院日額〇〇円×入院日数」で計算されるタイプと「一律〇〇円」という定額タイプがあります。
女性向けの掛け捨て型がん保険では、女性特有のがん治療のために入院した場合、給付金が上乗せして支払われる商品が多いです。
ちなみに、掛け捨て型がん保険でも入院日数は無制限のものがほとんどです。
手術給付金
がん治療を目的として手術を受けた場合に受け取れる給付金です。
女性向けの掛け捨て型がん保険では、手術の種類に応じて「入院給付金日額の〇〇倍」といった金額が受け取れるタイプと、「一律〇〇万円」という定額タイプがあります。
また、女性特有のがんの手術では「乳房再建術」など特別な手術を行うことがあるため、女性向けの掛け捨て型がん保険に「女性特定ケア給付金」や「乳房再建給付金」などの特約を付けておくことをおすすめします。
通院給付金
がん治療を目的として通院した場合に受け取れる給付金です。
女性向けの掛け捨て型がん保険では、一般的に「通院日額〇〇円×通院日数」で計算された給付金が受け取れます。
通院日額は5,000円や1万円に設定することが多いです。
また、入院給付金同様に、通院日数は無制限のタイプがほとんどです。
さらに、女性向けの掛け捨て型がん保険なら女性特有のがん治療のために通院した場合、給付金が上乗せされて支給される商品があります。
女性向け掛け捨て型がん保険のメリット・デメリット
女性向けの掛け捨て型がん保険の特徴や保障内容がわかったところで、メリットとデメリットについても確認しておきましょう。
メリット:女性特有のがんに対する保障が手厚い
女性向け掛け捨て型がん保険のメリットといえば、やはり女性特有のがんに罹患した場合に受けられる保障が手厚いということです。
すでに触れましたが、女性特有のがんの治療のために入院・通院した際の給付金は、通常の給付金に上乗せして受け取ることができます。
また、女性向けの掛け捨て型がん保険によっては、特約を付けなくても乳房再建術などの費用についてもカバーしてもらえたり、一定期間給付金を受け取らなかった場合に「健康お祝い金」といったお金が受け取れたりするものもあります。
「掛け捨てはもったいない」という方におすすめです。
デメリット:保険料が割高
女性向け掛け捨て型がん保険は、一般のがん保障にプラスして女性特有のがんに罹患した際の保障が手厚いというメリットがありますが、その分保険料が高額になってしまいます。
もし女性特有のがんに罹患しなかった場合、「保険料がムダだった」と感じてしまう方もいるかもしれませんね。
また、掛け捨て型の保険には抵抗がある方には一定期間ごとに健康祝い金が受け取れるがん保険もありますが、こういった祝い金等がもらえるタイプのがん保険は保険料がその分高額になります。
保険料が割高でもお祝い金等が受け取れた方がいいのか、それとも掛け捨て型で保険料をなるべく安くしたほうがいいのか、慎重に検討することをおすすめします。
掛け捨て型がん保険の選び方
ご自身にぴったりの女性向け掛け捨て型がん保険を選ぶには、以下のポイントを押さえた選び方をしましょう。
- 診断給付金の金額と受け取れる回数
- 上皮内新生物も保障対象か
- 通院給付金が充実しているか
- 女性特有のがん以外の保障も十分か
ではそれぞれのポイントについて詳しく確認していきましょう。
診断給付金の金額と受け取れる回数
女性向け掛け捨て型がん保険の診断給付金は、50万円、100万円、200万円など、契約できる金額は商品によって異なりますが、金額が大きくなるほど保障は手厚くなります。
診断給付金は、一般的には50万円から200万円の間で契約することが多いですが、もっと高額な給付金を受け取りたい場合はいくらまで契約できるのか、公式サイトで確認するか保険会社に電話で問い合わせて相談してみましょう。
また、診断給付金は「1回のみ」しか受け取れない商品と「診断されるたびに何度でも」受け取れる商品があります。
がんは再発や転移の可能性がある疾病なので、複数回受け取れるがん保険を契約すると安心です。
上皮内新生物も保障対象か
上皮内新生物とは、がんが表面の「上皮内」にとどまっており深部まで浸潤していない状態のものをいいます。
一般的に、切除することで転移や再発はほとんどないとされていることから、女性向け掛け捨て型がん保険では保障対象外となっている商品もあります。
また、保障されたとしても給付金が減額されてしまうこともありますので、契約時にしっかり確認するようにしましょう。
通院給付金が充実しているか
女性向け掛け捨て型がん保険では、一般の掛け捨て型がん保険と同様に、通院給付金は基本的に「通院特約」を付けた場合に保障されます(中には主契約に組み込まれている掛け捨て型がん保険もあります)。
以前はがん治療というと入院による治療がメインでしたが、近年は通院による治療がメインとなってきており、今後は通院特約に重要性を持たせた契約内容が求められます。
そのため、女性向け掛け捨て型がん保険を契約する際も、通院特約内容を確認し、給付金が十分に受け取れるものを選ぶようにしましょう。
女性特有のがん以外の保障も十分か
女性ががんに罹患するのは女性特有のがんだけではありません。胃がんや大腸がんなど罹患リスクの高いがんはほかにもあります。
女性特有のがんに備えることはもちろん大事ですが、そのほかのがんについても十分な保障が受けられる商品を契約しましょう。
加入するタイミングはいつがベスト?
女性は男性に比べてがんに罹患する年代が早いことから、できるだけ早い年齢でがん保険に加入しておくと安心です。
「具体的に、女性向け掛け捨て型がん保険に加入するのはいつがいいの?」
という疑問を持っている方もいると思いますので、乳がん・子宮がん・卵巣がんの年齢別罹患率を確認していきましょう。
年齢別のがん罹患率
国立がん研究センター がん情報サービス「全国がん罹患データ(2016年~2017年)」によると、年齢ごとの10万人あたりのがん罹患率は以下の通りとなっています。
年齢 | 乳がん | 子宮頸がん | 卵巣がん |
---|---|---|---|
20~24歳 | 1.2 | 0.9 | 5.6 |
25~29歳 | 8.3 | 6.2 | 9.4 |
30~34歳 | 29.5 | 20.0 | 10.0 |
35~39歳 | 75.2 | 27.8 | 14.0 |
40~44歳 | 158.1 | 27.8 | 20.7 |
45~49歳 | 239.7 | 29.2 | 29.9 |
50~54歳 | 239.3 | 25.9 | 36.8 |
55~59歳 | 231.9 | 23.4 | 36.6 |
60~64歳 | 252.2 | 22.3 | 32.3 |
20代でも、10万人あたり乳がんで9.5人、子宮頸がんで7.1人、卵巣がんで15.0人という罹患率となっています。決して多い確率ではないですがゼロではありません。
そして、30代になると乳がんで104.7人、子宮頸がんで47.8人、卵巣がんで24.0人と増加していき、40代になるとさらに高確率となっていきます。
「では30代になってから加入すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、女性向け掛け捨て型がん保険は、一度がんに罹患してしまうと新規加入することが難しいです。
仮に加入できたとしても給付金が減額されたり給付条件が厳しくなったりと、良い条件で加入することができない可能性が高いです。
そのため、女性向け掛け捨て型がん保険には、がん罹患リスクが高くなる20代のうちに加入しておくことをおすすめします。
【参考:国立がん研究センター がん情報サービス「全国がん罹患データ(2016年~2017年)」】
終身タイプで一生涯の保障がおすすめ
女性向け掛け捨て型がん保険には、一生涯の保障がつけられる「終身タイプ」と一定期間のみの保障に限定した「定期タイプ」がありますが、がんに備えるなら終身タイプがおすすめです。
がん罹患率は高齢になるほど高くなりますので、女性向け掛け捨て型がん保険で終身保障を付けておけると安心です。
しかし、終身タイプは定期タイプよりも保険料が割高になることが多いです。
たしかに若いうちは定期タイプの方が割安ですが、定期タイプは更新のたびに更新するときの年齢で保険料が再計算されるため、更新のたびに保険料が高額になっていきます。
そのため、結果的に終身タイプの方が安く済むということが少なくありません。
しかも終身タイプは一生涯保険料が変わらないので、高齢になってからの保険料支払い負担が大きくならないのです。
まとめ
女性特有のがんは早い方で20代でも罹患することもあるため、20代のうちに女性向け掛け捨て型がん保険に加入することをおすすめします。
がん罹患リスクは高齢になるほど高くなりますので、終身タイプの掛け捨て型がん保険に加入し一生涯のがん保障をつけておきましょう。
女性特有のがんはもちろんのこと、その他のがんに罹患した場合でも掛け捨て型のがん保険なら保障されます。