がん保険に加入する場合は、健康診断の結果を提出するか、告知書に記入・入力することで現在および過去の病歴などについて告知する必要があります。
しかし、健康診断で「再検査」といった指摘を受けた場合、正直に告知すべきか迷う方もいると思いますが、再検査をせずにがん保険に加入することはできるのでしょうか。
そこで今回は、がん保険の申し込み時に健康診断の結果や告知書が必要になる理由と、健康診断で「再検査」といった指摘を受けた場合、がん保険への加入にどのような影響があるのかについて詳しく解説していきます。
がん保険への加入には健康診断が必要?
まずは、がん保険の申し込み時に、健康診断を受ける必要があるのかについて確認していきましょう。
もし健康診断が必要な場合、勤務先で行われる定期健康診断の結果を添付できれば手間がかかりませんが、わざわざがん保険に加入するために健康診断を受けに行くのは、正直気が重いですよね。
結論から申し上げると、健康診断を受けた方はその結果を提出することで対応してもらえますし、健康診断を受けていない方は「申告書」を記入・入力することで状況を申告します。
がん保険に加入するにあたって、現在の健康状態や過去の病歴などについて保険会社に告知することは非常に大切なことなのです。
健康状態を告知する義務がある
がん保険をはじめ生命保険の申し込みの際には、加入者の健康状態等についてありのままに告知しなければならない「告知義務」があります。
告知義務は加入者間の公平性を保つために必要なことで、たとえば契約前から健康状態の良好でない方も無条件に契約できてしまうと、簡単に保険金や給付金等を受け取ることができてしまい、不公平になってしまいます。
そういった不公平をなくすために、健康状態の告知を義務付けているのです。
告知方法は、先にも触れたとおり、保険会社が指定する告知書に記入する場合と、健康診断や人間ドックの健康診断書を提出する場合のほかにも、医師による診査が必要になるケースもあります。
ちなみに、保険会社の担当者などに口頭で伝えただけでは告知したことになりません。
告知義務違反は厳禁
すでに健康状態に不安があってこれからがん保険に申し込むという方の中には、「どうしてもがん保険に加入したいからウソの申告しよう。」と考える方もいるかもしれません。
しかしそれは告知義務違反となり、事実が判明したときにがん保険の「契約解除」や「取り消し」といった対処になるため、ありのままを申告するようにしてください。
契約解除
責任開始日から2年以内に虚偽の事実が発覚した場合、告知義務違反としてがん保険契約を解除されてしまいます。
また、2年経過した後でも保険金受取事由が責任開始日から2年以内だった場合は、やはり契約解除となる可能性があります。
契約解除の場合、保険金や給付金を受け取ることはできませんが、解約時にもし解約返戻金がある場合は受け取ることができます。
契約の取り消し
告知義務違反の内容が悪質・重大な場合は、詐欺に該当しがん保険契約自体が取消しされます。
この場合、保険金を請求しても当然受け取ることができないうえ、これまで払ってきた保険料が払い戻されることもありません。
がん保険の告知内容とは
がん保険に申し込む際の告知内容は、ありのままの状態を申告することが大切だということがわかりましたが、具体的にはどういった内容を告知するのでしょうか。
一般的に告知する内容について確認していきましょう。
具体的な告知項目
がん保険では、主に以下のような内容を申告します。
基本的事項
- 名前
- 身長・体重
- 職業
- 年収
- 連絡先 など
病気やけが(例)
- 過去3か月以内の健康状態について
- 過去5年以内のけがや病気について
- 過去2年以内の健康診断について
- 身体の障害について
- がんの罹患歴について
- 喫煙の有無
- 妊娠の有無 など
がん保険によって若干異なることがありますが、一般的にこのような内容を申告することになります。
健康診断を受けていない方でも、告知欄に記入・入力することで対応してもらえますが、申告内容によっては健康診断の結果を提出するよう求められることもあります。
なお、保険金額が高額な契約をする場合は、医師による健康診断が必要になるケースもあるので、詳しい条件などは保険会社に確認することをおすすめします。
健康診断で「再検査」や「要経過観察」を指摘されたとき
健康診断や人間ドッグを受けた結果、「再検査」や「要経過観察」といった指摘を受けることがありますが、がん保険の加入に影響があるのか心配になりますね。
もしかすると、「再検査を受ける前にがん保険に加入してしまおう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、健康診断で再検査や要経過観察と指摘されたからといって、必ずしもがん保険に加入できないというわけではありませんので、「再検査をしっかり受ける」「告知内容をごまかさずに申告する」いった対応をすることが大切です。
まずは再検査を受けることが大事
健康診断で再検査の指摘を受けた場合は、すみやかに再検査を受けるようにしましょう。
再検査を受けずにうやむやにしたままがん保険に加入してしまうと、告知義務違反に該当する可能性もあるため、結果を明確にするためにも再検査を受けることが大事です。
再検査を受けずに申し込んだら・・・
健康診断で再検査の指摘を受けたにもかかわらず、再検査を受けずにがん保険に申し込む場合は、告知欄で「再検査の指摘をうけている」ことを申告しなくてはなりません。
再検査をせずに加入するとなると、保険会社としては「この人は健康面に不安な要素がある」とみなし、加入時の審査は厳しいものになるでしょう。
その結果、がん保険に加入できない可能性もでてきますし、仮に加入できたとしても「不担保」となる条件が厳しくなることが考えられます。
健康診断の結果を無視して、再検査を受けずに虚偽の事実を申告すれば告知義務違反になりますし、再検査を受けなかったことを申告しても審査では非常に不利になります。
再検査で異常がなければ加入できる可能性がある
再検査を受けた結果、「異状なし」だった場合はがん保険に加入できる可能性が高くなるでしょう。
再検査を受けることは、がん保険への加入のためだけなく、ご自身の健康のためにも必要なことですね。
健康診断は本来、病気の早期発見のために受けるものであるはずが、がん保険加入のために再検査の指摘を無視してしまうのは本末転倒といえます。
がん保険には、健康診断結果の再検査や要経過観察の不安要素を取り除いてから申し込むことをおすすめします。
再検査で「異常あり」ならがん保険は入れない?
健康診断で指摘を受け再検査をした結果、「異常あり」という結果となってしまうこともあります。
その場合、「がん保険には加入することができないのか。」とあきらめてしまいがちですが、まだ方法はあります。
具体的には
- 引受基準緩和型保険に申し込む
- 無選択型保険に申し込む
といった方法がありますので、ひとつずつ確認していきましょう。
「引受基準緩和型保険」に申し込む
健康診断で再検査となり、その結果が「異常あり」だった場合、まずは「引受基準緩和型保険」への加入を検討してみましょう。
引受基準緩和型保険は、持病や入院歴がある人でも入りやすい保険で、告知項目は3つ程度と少なく設定されています。
がんに備えたい場合は「三大疾病無制限特約」を付けることで、がんに罹患した場合の保障を得ることができます。
また、がんだけではなく現在治療中の病気や、以前かかったことのある疾病も保障対象になる可能性もあります。
注意点として、保険料が高めに設定されていることと、給付金額が減額されることがあるということがあります。
無選択型保険に申し込む
「引受基準緩和型保険」に加入できなかった場合は、「無選択型保険」への加入を検討してみましょう。
無選択型保険は、告知や健康診断の結果、医師の診査がなくても加入することができる保険で、一生涯の保障を得られるタイプの商品もあります。
一般的な生命保険やがん保険に比べると、保険料は高額で保険金や給付金の上限額は低く設定されています。
また、死亡保障については、契約日から一定期間のうちに病気で死亡した場合、死亡保険金ではなく払い込んだ保険料相当額が支払われます。
さらに、免責事由も多くなり十分な保障が得られない可能性もあるため、契約時にしっかりと確認することが大切です。
まとめ
がん保険に申し込む際には「告知義務」があるため、健康診断の結果を提出したり告知書に記入・入力したりするなどして、現在および過去の病気やけがについて申告する必要があります。
健康診断の結果、再検査となった場合は、うやむやにせずにきちんと再検査を受けてからがん保険に申し込むようにしましょう。
黙ったままがん保険の申し込みをすると「告知義務違反」となり、ご自身にとって不利益な状況になります。
再検査の結果、「異常なし」であればがん保険に加入できる可能性はありますし、「異常あり」だとしてもがん保険以外の商品でがん保障をつけることができます。
また、がん保険の告知に関連して、当サイトでは既往歴を確認されやすい「バレット食道」でのがん保険加入についても解説しています。ご興味のある方はぜひそちらの記事もご確認ください。