介護保険の被保険者について下記の項目のように簡潔に解説しました。
- 公的な介護保険の被保険者とは何歳からか
- 公的な介護保険の被保険者はいつからサービス利用可能か
この記事を参考に、介護保険制度の被保険者について知り、民間保険の加入をご検討ください。
本記事では、厚生労働省の資料などを参考にしています。
※”介護保険の保険者”については、別記事「介護保険の保険者って誰のこと?どんな役割を持っているのか徹底解説」にて解説しております。
公的制度の介護保険対象者(被保険者)とは?
介護保険の被保険者は、40歳以上の国民全員が対象(外国籍で日本居住の方も含む)。
被保険者には、年齢に応じて第1号被保険者と第2号被保険者の区分があり、それぞれ保険料や利用できるサービスなどの条件が違います。
ここからは、第1号被保険者と第2号被保険者について詳しく解説。
介護保険の仕組みについては、下記の記事をご覧ください。
第1号被保険者とは?
第1号被保険者とは、65歳以上の方のこと。
第1号被保険者は、介護保険法によって以下の2点が定められています。
- 所得に応じた保険料を負担する
- 介護が必要になったら、要支援・要介護認定を受けることを条件として、介護サービスの受給権者となることができる
保険料負担金額は?
第1号保険者の保険料は、所得に応じて定められます。
基本的に保険料は、確定申告の際に所得として課税される所得=課税所得で段階的に決定。
介護保険料は、健康保険料と別徴収され、国の標準6段階に応じて決められます。
さらに、介護保険料は介護保険の運営主体である市区町村など、地域によってより細かく所得段階が分けられるのです。
介護保険料は、基本的に年金から天引きされ、保険料の幅は概ね下記の通り。
- 最も所得の低い人が月2500円前後
- 所得の最も高い人で2万数千円ほど
一時滞在の外国人・海外居住の国民・適用除外施設の入居者以外は、全員が支払うこととなります。
介護保険料は滞納すると、介護サービスの利用が不可になることも。
注意:第一号被保険者は届け出が必要な場合がある
以下の場合、第1号被保険者は届け出が必要です。
被保険者本人が届け出を行いますが、世帯主が代わりにすることも可能。
- 転入または、住所地特例被保険者でなくなったことによる資格取得
- 外国人で65歳になったとき
- 氏名の変更
- 同一市町村内で住所変更
- 世帯主の変更
- 転出・死亡による資格喪失
第2号被保険者とは?
第2号被保険者とは、40歳~64歳の方のこと。
公的な介護保険は、40歳以上の国民に加入が義務付けられています。
それに伴い、介護保険料の徴収も40歳から開始されます。
原則、第2号被保険者は公的な介護サービス利用はできません。
しかし条件に当てはまる場合は、第2号被保険者も介護サービスの利用ができます。
第2号被保険者の保険料負担金額とは?納付はどうやって?
第2号被保険者は、加入する健康保険制度で決められた介護保険料を支払います。
具体的には、介護保険料は加入する介護保険の介護保険料率と所得から決まります。
原則、第2号被保険者の保険料は給与から天引きされます。
介護保険料率については、下記記事をご覧ください。
公的な介護サービスはいつから利用できる?
介護保険制度では、介護サービス利用について以下二点の条件があります。
- 65歳以上の被保険者
- 要支援・要介護認定を受けること
介護サービス利用にかかる費用は、全額保険給付ではなく、自己負担分があります。
基本的に自己負担額は1割ですが、所得に応じ、3割になることも。
介護サービスは、カバーできる範囲が決まっており、範囲外の介護保険サービスや利用限度額の超過分は自己負担。
ちなみに介護サービスでは、一定の看護にも介護保険が利用できます。
要支援・要介護認定
要支援・要介護認定とは、支援や介護の必要性の度合いを客観的に数値化したもの。
要支援(1・2)、要介護(1~5)の7段階に区分され、数字が大きいほど介護の必要性が高まります。
認定基準は国が一律で設けており、被保険者の居住市区町村の窓口にて受けることが可能です。
また市町村が、被保険者であることを表す「介護保険被保険者証」を第1号被保険者(原則全ての人)と、第2号被保険者(要介護・要支援認定を受けた人、または被保険者証の交付申請した人)に交付します。
介護保険被保険者証は、介護サービスを利用するときに必要です。
第2号被保険者の介護サービス利用できる場合
第2号被保険者が介護サービスを利用できる条件は、「特定疾病(特定疾患)を患い、要支援・要介護認定されること」。
第1号被保険者と違い、「要支援・要介護状態と認定される原因が、特定疾病(老化に起因する疾病)による場合に限定される」点には注意が必要です。
特定疾病とは以下の通りです(厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方へ))」を参考)。
- がん(末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
特定疾病に関しては、別記事「介護保険制度の特定疾病とは?診断基準を一覧にしてわかりやすく解説!」をご覧ください。
生活保護受給者の場合
第1号被保険者の年齢区分では、介護保険の給付が優先され、生活保護の介助扶助が支給。
第2号被保険者の年齢で医療保険非加入者は、被保険者にはならず、生活保護の介護扶助を受けます。
民間の介護保険とは?被保険者の加入はできる?
公的介護保険に加えて、民間の介護保険加入するという選択肢もあります。
民間介護保険は、公的介護保険と下記の違いがあります。
- 40歳以上、65歳以上といった年齢制限がない
- 加入できれば誰でも保障を受けられる
- 現金給付
もし交通事故などが原因で要介護状態になった場合、介護サービスの対象外なのです。
しかし、民間介護保険に加入しておけば、この場合サービスを利用できます。
以下の項目にあてはまる方には、民間介護保険が特におすすめ。
- 預貯金や公的年金が少ない
- 独身で将来介護をしてくれる身内がいない
- 手厚いサービスが希望
近年、民間介護保険加入を検討する方が増えています。
種類豊富な民間介護保険の選び方について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
民間介護保険の選び方をプロが4つのポイントに絞って徹底解説!
記事まとめ
介護保険制度の被保険者は、65歳以上(第1号被保険者)と40歳~64歳(第2号被保険者)です。
この記事で保険料やサービス利用の条件の仕組みや違いを把握できたのではないでしょうか。
また、介護保険でカバーできる範囲や金額は決まっています。
民間の介護保険の加入で将来に備えておくとより安心
民間の介護保険の情報や公的な介護保険制度改正にも関心を払いましょう。