介護保険料は確定申告の控除対象?受取人と契約者が違う場合の申告方法は?

介護保険料は確定申告で控除可能?受取人の手続き方法や疑問について解説

介護保険の受取人は誰がなれる?対象範囲や税金・控除の手続きを解説

介護保険

40歳から64歳は第2号被保険者とされ、原則介護サービスを利用することはできません。

一方で65歳以上は第1号被保険者と呼ばれ、介護保険料を支払うことは変わりませんが、手続きをすることで介護サービスを利用することができます。

保険料といえば、年末に確定申告をすることで控除金額分が自分の手元に戻ってきますよね。

介護保険料は、確定申告の控除の対象になるのか、以下で説明していきます。

また、確定申告をする際には受取人の欄への記入が必要になります。

介護保険料の受取人に関する疑問にもお答えしていきますので、ぜひ参考になさってください。

高橋朋成

年金アドバイザー / EQプロファイラー / 2級ファイナンシャルプランニング技能士

この記事の監修担当者:株式会社クロックアップ 代表取締役 高橋朋成

20年以上にわたり外資系生保や損保系生保などで、販売現場での営業スタッフの採用や実践を活かした生保販売や育成手法に携わった経験を損保代理店向けに特化してアレンジし2013年に株式会社クロックアップを設立。

業務内容は損保代理店の
専属コンシェルジュとして
① 保険営業職の人材紹介、マッチングサポート
② 損保営業マン向け生保クロスセル研修
③ 代理店M&Aマッチングサポート等
を行っている。

介護保険料は確定申告で控除できる?

介護保険料は確定申告で控除できる?

結論から言うと、介護保険は確定申告で保険料を控除することができます

つまり、自身で負担した介護保険料は、確定申告で所得から控除することができ、節税になります。

公的介護保険料は、社会保険料の一種です。

そのため、確定申告をする方自身が介護保険料を支払ったとき、または生計を一つにする家族の分を支払ったときは「社会保険料控除」の金額に含めて、所得額より控除できます。

また、民間介護保険は生命保険料の一種になります。

公的介護保険か民間介護保険かで記入欄が異なりますので、注意が必要です。

公的介護保険は社会保険料控除の対象

介護医療費保険料控除とは

公的介護保険料は所得控除のなかでも社会保険控除の対象です。

公的介護保険料の徴収され方によって、少し手続きが異なりますので、以下で解説していきます。

徴収方法によって手続きが少し異なる

徴収方法

公的介護保険の場合、年齢によって介護保険料の徴収方法が変わります。

第2号被保険者は、普通徴収により介護保険料を徴収されます。

会社員の場合会社で契約している健康保険と併せて徴収され、自営業の場合は、国民健康保険と併せて徴収されます。

介護保険料を確定申告する人自身が支払った場合、1月1日から12月31日までの一年間で支払った全額を社会保険料控除に含めることが可能。

一方、第1号被保険者は、介護保険料を年金から天引きされる特別徴収をされます。

特別徴収される公的年金受給者等は、ご自身で確定申告しなければならない場合もあります

介護サービス利用料の場合

介護サービス利用料の場合

公的介護保険サービスを利用した場合、サービスの利用料を医療費控除の対象として控除される場合があります

医療費控除とは、所得控除の一種。

医療費控除は、1月1日から12月31日までに支払った医療費について一定額を超えた部分を確定申告をすることで、所得から控除できるというものです。

医療費控除にできる介護保険サービスの対象かどうかや書き方については、国税庁のページで確認できます。

また、サービス事業者が発行する領収書で対象額を確認できる場合も

以下のような居宅サービスは医療費控除に含めることができます。

  • 訪問介護(生活援助が中心でないもの)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリステーション
  • 医師等による居宅療養管理指導
  • 医療機関でのデイケア

障害者認定された場合、対象になることも

障害者控除認定書とは

年齢が65歳以上で障害者手帳の交付を受けていない人は、障害程度が基準を満たす場合、自治体で「障害者控除対象者認定書」の交付を受けると節税できる可能性があります。

障害者控除は、申告する納税者はもちろん、同一生計の配偶者、扶養親族にあてはまる場合でも対象になります。

障害者 一律27万円
特別障害者 40万円
同一生計配偶者または
扶養親族が同居特別障害者
75万円

民間介護保険は生命保険料控除(介護医療保険料)の対象

民間介護保険は生命保険料控除(介護医療保険料)の対象

ここまで公的介護保険は確定申告で控除の対象になるかについて解説してきました。

一方で民間の介護保険に加入していらっしゃる方も多いことかと思います。

社会保険料控除の対象となる公的介護保険と違い、民間の介護保険は生命保険料の控除対象です

生命保険料控除はさらに以下の3つに分けられ、介護保険料は介護医療保険料控除に分類されます。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

介護医療保険料控除とは、契約している民間介護保険に払い込んだ保険料に応じて一定の金額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度のことです。

介護医療保険料で控除できる金額

控除できる金額は

介護医療保険料で控除できる金額は、支払った介護保険料の額に応じて決まり、一定の計算式に基づいて算出します。

年間の保険料支払いの合計額が20,000円以下の場合、払い込み保険料の全額が控除される金額になります。

年間に支払った保険料の合計金額 控除金額
20,000円以下 全額
20,001円以上40,000円以下 (払込保険料×1/2)+10,000円
40,001円以上80,000円以下 (払込保険料×1/2)+20,000円
80,001円以上 一律40,000円

上記の計算式にあてはめ、算出された金額が控除額となります。

ただ、控除額には上限があります

介護医療保険料控除による所得税の控除額の上限金額は40,000円です。

介護医療保険料制度を利用することで、所得税や住民税の負担を抑えることが可能。

所得税等の控除は、年末調整や確定申告で手続きができます。

対象保険に加入している場合、手続きを忘れないようにしましょう。

控除上限額

所得税・住民税の控除はそれぞれ可能ですが、他の保険料と合算しての控除上限額・各保険料の控除上限額が次の通り決まっています。

所得税 住民税
一般生命保険料 40,000円 28,000円
介護医療保険料 40,000円 28,000円
個人年金保険料 40,000円 28,000円
合算適用限度額 120,000円 70,000円

年末調整・確定申告の際に契約している生命保険会社から介護保険料を控除するために作られる書面である控除証明書が秋ごろに送付されます。

年末調整、または確定申告書に控除証明書を添付のうえ手続きを行います。

また、年末調整の時には、給与所得者の保険料控除申告書、確定申告の場合は、確定申告書の中に保険料控除につき記載する欄があります。

そのため、それぞれ適切に記入して申告することが必要です。

さらに詳しい内容や書き方は、国税庁のホームページに掲載していますので、こちらをご参照ください。

国税庁ホームページ

控除するために必要な書類

控除するために必要な書類

介護保険料を確定申告により控除するためには、必要な書類をそろえなくてはいけません。

そして、生命保険料控除の介護医療保険料の部分に必要事項を記入する必要があります。

普通徴収の場合

領収証書や介護保険料納付済額通知書

特別徴収の場合

公的年金等の源泉徴収票

確定申告時には、上記の書類を提出する必要があります。

ただし、電子申告を利用すると、第三者作成書類の添付省略により、添付や提示を省略することが可能です。

民間保険の受取人が本人・本人以外のときの手続き

介護保険、受取人が本人以外の時の税務上の取り扱いを知っておきましょう

民間介護保険は、契約者と受取人が誰なのかにより誰が手続きをするのか変わる場合があります。

まずは契約者、受取人、被保険者の関係性について確認しましょう。

契約者、受取人、被保険者の関係性

契約者、受取人、被保険者の関係性

生命保険に契約する時には契約者、被保険者、受取人という3つの名義が存在します。

契約者とは、保険に契約する上での権利や義務を持つ人のこと。

契約内容や受取人の変更ができ、保険料支払いや住所変更などの手続きをする義務も持っています。

受取人は、保険金や給付金、年金などを受け取る人のこと。

受取人は契約者が指定します。

ただし、入院給付金や手術給付金の受取人は、一般的に被保険者と決められています。

被保険者とは、保険の対象になる方のことです。

被保険者が病気やけがをした場合に保険金が支払われます。

注意すべきなのは、契約者と被保険者が違う場合。

この時、契約者にに何かあった場合や入院しても、保険金は給付されません。

被保険者が、契約内容に同意して初めて契約として成立します。

※ここからは受取人と被保険者を同一人物とします。

契約者と受取人(被保険者)のどちらの控除にあたるのか

契約者と受取人(被保険者)のどちらの控除にあたるのか

それでは、契約者と受取人(被保険者)が同じ場合と違う場合で、確定申告を誰が行う必要があるのか解説していきます。

契約者と受取人(被保険者)が同一人物の場合

契約者と受取人(被保険者)が同じ場合は、本人が年末調整または確定申告の際に、介護医療保険料控除として介護保険料を所得から控除することができます。

そのため、手続きを進めるのは契約者であり受取人(被保険者)である本人です。

契約者と受取人(被保険者)が違う場合

契約者と受取人(被保険者)が違う場合は、介護保険料の支払いを行っている方(一般的には契約者)の年末調整・確定申告の際に、介護医療保険料控除として申請します。

保険料の支払いをしていない受取人の所得からの控除はできません

ただし、一定の生命保険契約等で、保険金等の受取人のすべてをその保険料の払込みをする者またはその配偶者その他の親族とする者をいい、契約者が誰であるかは要件とされていないのです。

この要件が充たされている限り、支払った方が控除手続きをすると考えてください。

受取人がだれなのかわからないときの対処法

受取人がだれなのかわからないときの対処法

確定申告の書類には、受取人の記入欄があります。

保険金等の受取人が、契約者本人かその配偶者、その他の親族の氏名、続柄が確認できた場合に保険料控除の対象に

正しく記載しなくては、控除の対象にならないこともあるのです。

そこで、確定申告の際に受取人の欄を空白で提出しないためにも、対処法を確認しておきましょう。

受取人の確認をする方法は以下の2つです。

  1. 契約している生命保険会社のサイトで受取人を確認する
  2. 電話で問い合わせ、受取人を確認する

受取人に関しては、契約している保険会社のサイトで確認することができます。

また、インターネットが苦手な方は、電話で問い合わせて受取人を確認するのが確実です。

介護保険における控除手続きと受取人に関するまとめ

まとめ

公的介護保険は社会保険料控除の対象、民間介護保険料は生命保険料控除の対象になります。

民間介護保険の場合、受取人と契約者が同じか、違うかによって申告者が変わってきます。

期間内にしっかりと確定申告手続きを行い、税金負担が軽くしましょう。

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